4 体育
今日は1限目から体育。そう、体育。何をしても評価は2の体育。
体操服に着替えながら遠い目をしていた私に、純恋、琉奈、綺華が話しかけてきた
「心愛ーはよ行こーや」
「今日の体育なにするん?」
「今日の体育ぅドッジボールらしいよぉ」
「えードッジかー...私できないんだよね」
え?今なんて言った?小学5年の体育がドッジ?無理無理無理。とか考えながら4人で靴箱に向かって外に出る。
「寒!!!」
「あ、末だぁ」
「よう。奥埜さん。相変わらず寒そうな格好してんな」
「えーそんなに言うならそのマフラー貸してよぉ」
「無理無理。寒いもん」
「あ、月島いたんだ」
「お構いなくー新婚さん♡」
と月島くん、月島凜、だったかな。月島くんが末次くんと琉奈の関係を茶化して末次くんに脛を結構ガチ目に蹴られて痛がっていた。痛そう。それよりも、いい加減琉奈はこの喋り方やめてほしい。悪寒がする。というか、末次くんはなんでそんな真顔で会話してるんだろう。ある意味怖い。
「はぁい。寒いからまずは校庭3周!いってらっしゃーい」
ふざけんな。
とりあえず皆でなんとか走り終わった。
「今日は皆さんお待ちかねの王様ドッジでーす」
よりによって王様ドッジかよ。で半分に先生が分けた。その結果、
純恋、琉奈、綺華とはチームが分かれ、月島、末次、歌織とその他諸々と同じチームだった。
このチーム運動できる人集まり過ぎじゃないか?
なんだかんだあって『転校してきたばかりだから』というわけのわからない理由で王様になった。流石にだるい。速攻で死ぬよ。とりあえず気配消して隅っこにいよう。
内側の敵との境界線のギリギリ。端っこに居ればバレにくい。それを知っていた私は速攻でそこに移動した。気まずいのだろうか。ボールを持ってる敵の男子は目を合わせても営業スマイルをぶちまけたら目を逸らして末次や月島に向かってバンバン投げる。が、末次と月島の連帯?連携?が凄いらしい。女子にはかなり手加減して投げているみたい。そこそこに気が使えるみたいだな。とか思いながらボールを流し目で見ておく。
あら、いつの間にか相手5人、こっちは4人。
「浅野さん」
ボールを持った末次に呼ばれた。首を傾げると手招きされたからてくてくと近づく。
...え?...ボールを渡された。末次曰く、
「外野に月島居るでしょ?パス出して。」
「え、ほんとだ。え、なんで私?」
「俺投げたらサンドイッチになるから。可哀想じゃん」
投げさせられる私のほうが可哀想だろ。琉奈の目線を痛いほど感じるが無視だ無視。
ボールを受け取り渋々「やあっ!」小さく言った。ボールが前にない。
月島をめがけて投げたボールは後ろに飛んだ。もっと言ったら末次の胸に飛び込むように。こんなのアニメでも見たことがない。
末次と月島がびっくりするほどに笑っている。笑っては居ない。肩がものすごく揺れている。ちょっと睨むと末次は顔を背けた。でも笑っている。ムカつく。いつもなら3m位は飛ぶはずなのに。おかしい。ちょっと蹴りたい。
いや、しかたないもん!ボールがでかいからだもん!野球ボールならいけるもん!
むかっとしたのでバレないように軽く、だけど思いっきり、末次の足踏んでやった。
そこからはもう想像通り。末次が月島に送りつつ当てていった。月島も内野に戻ってきた。それはまあ、勝てた。
もやもやするけど。
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