第5話 ハーピストの溪谷へ
〖ウルの森 最新部〗
「機天騎士団 第二先遣隊は俺と行動を共にしろ。第一先遣隊は騎士副団長〖サーシャ・アーノルド〗が行動不能だ。〖ウルの森〗で、第四先遣隊。第五先遣隊が到着するまで待機しろ……第三先遣隊は〖開発課〗の護衛の為、設営所で護衛にあたる様に」
「「「「「ハッ!」」」」」
〖ウルの森〗の入口の時の様にロロギアさんが騎士団の方々に命令をしています。
「ロロギア団長。しかし、シュリル家のご令嬢があんなに強いなんて聴いてませんでしたよ。何で隠してたんですか?」
あの方は確か、〖機天騎士団〗の第二先遣隊のリーダーである、〖ハルス・リキド〗さんですね。
「ハルス……お前、もっと緊張感を持てよ。これから向かうのは準禁則とはいえ〖ハーピストの溪谷〗なんだぞ」
「いや、それは分かってますがね。何でシュリル家のご令嬢があんなに強いか聞いてるんですよ。コネ入団とはいえ。アーノルドさんに勝っちまあなんて逸材じゃないですか。是非、うちらの機天騎士団に入団してもらった方が良いんでは?……痛てぇ! 何すんすか! ロロギア隊長」
「……口を謹め。ハルス、お前は俺の弟分だから、忠告しておくがな。テリクス家とカンデラ家を敵に回したくなかったら大人しく任務に当たれ、お前の家、リキド家が潰されないようにな」
「俺の家が潰される? そんな馬鹿な話あるわけが……」
「数日前にシュトロノム家がお取り潰しになっただろうが……」
「あっ……確かに」
「それ程に、シュリル家、テリクス家、カンデラ家の権力は高いって事だ。良いか、他の団員にも伝えておけよ。馬鹿な考えでマリア・シュリルに手を出したら、ただでは済まないとな。そして、このロロギア家も例外なく容赦しないとな。分かったか、弟分」
「……はい。了解しまった。ロロギア隊長…肝に銘じておきます。それと第二先遣隊はなるべく隊長に近しい人選を選んでおきます。アーノルド副団長の息のかからない隊員を」
「おぉ、それは助かるぜ。最近は商人上がりの貴族が幅を効かせ始めてるから、辟易(へきえき)していたからな」
「ああ、だから、最近、入団してきた騎士達と距離おいてんすか? こないだのリリクのレストランも馴染みしの連中しか居なかったスよね?」
「お前、俺の忠告が終わった途端にいつも通りに戻ったな……馬鹿。いちを俺から誘ったわ。だが断られた。アーノルドにな。〖私達は商人上がりの出です。ですので私達は私達で食事をさせて頂きます〗とな」
「うわぁー、それって明らかに自分の派閥を作って、後々はロロギア団長を引きずり下ろす気、満々じゃないスか。感じる」
「だから、口を慎め馬鹿ハルス! お前はアーノルド家も敵にまわしてえのか?……まぁ、さっきの騒動でアーノルドの評価はかなり落ちるだろうな」
「ですね。まさか、実律型人形(マギ・オートマター)になったとはいえ、あのシュリル家のご令嬢を侮辱したうえに決闘を挑んで負けたんですもんね。辺境送りスかね? やっぱり」
「分からん。これから入る〖ハーピストの溪谷〗での、アイツの手柄次第だな……最も、少しも本気を出していないマリア・シュリルに、手も足も出なかったんだ。身を守るだけで精一杯だろうよ」
「ですね。俺もロロギア隊長の話を聞いたら、手柄よりも自分の命を第一に考る様に決めたっス」
「ああ、そうしろ……夜が明け始めたな。ハルス、自分の持ち場に行け。切り替えろ。そして、気をつけろよ……色々とな」
「……ウッス。何かあれば直ぐに知らせるスッ、隊長」
「おう……そうしてくれ」
ロロギアさんはハルス・リキドさんとの話を終えると、先遣隊の先頭へと移動しました。
「これより。未踏の地〖ハーピストの溪谷〗へと入る! 気合いを入れろ。気を引き締めろ。侮るな! そして、叫べ! 我々は誇り高き〖機天の騎士団〗」
「「「「「我々は誇り高き〖機天の騎士団〗! オオオオオ!」」」」」
ロロギアさんの声掛けと共に〖機天騎士団〗の方々が決意の雄叫びを上げています。
「コ、コイツ等! アホなんじゃないの? 何で大声上げてんのよ? これじゃあ、〖ハーピストの溪谷〗に入る前に、あっち側の連中を刺激しちゃうじゃない」
「昔から、ロロギアさんはこんな感じですから。そうですよね? リク先生」
「そうですね。これがロロですよ。そして、厄介な騒動をもたらし、僕達が解決する事になるのです」
〖ハーピストの溪谷 スサーの街〗
「何か? ウルちゃんの森の方、騒がしくない?」
「何かしらね? 溪谷入り口の鳥獣達が刺激しなければ良いんだけど」
「心配なら見に行く? 何かルルエラ様の気配も近くから感じるしさぁ」
〖幻神鳥(ハーピィー) リエラ〗
「そうね。ハルピュイア御姉様にも褒められたいもの」
〖幻神鳥(ハーピィー) リリカラ〗
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