【全6話】ウィザードパンク!~タイトル考えるのぶっちゃけメンドクセェ!つまりは碌でもない世界に転生したら俺は碌でもねぇ職業について碌でもねぇ事に巻き込まれるんだよ!畜生!本当に碌でもねぇな!【短編】

たけすぃ@追放された侯爵令嬢と行く冒険者

第1話 ウィザードパンク! 1

「こんなカルフォルニアみたいな青空の下で死ぬつもりはねぇぞ!」


 男――独立調停官、通称独立傭停ようていナイヴ・ライフスは車内で仰向けに倒れながら叫んだ。確かに目に入る空は抜けるような青空で綺麗だった、例え屋根が吹き飛んだ車の中から見ても。


「カルフォルニアってどこ!?聞いた事ないんだけど!」


 ナイヴの叫び声に、同じく後部座席で仰向けに転がっていた少女が叫ぶ。


「俺のママの故郷だよ!」


 跳ねた車に蹴り上げられたケツが痛い、内心でボヤキながらナイヴは少女――文化的貴族種、つまりはエルフの少女に出鱈目を叫び返す。

つい今しがた、頭が吹き飛びそうになったのに出てくる言葉がそれかと、呆れそうになる。


 ナイヴは吹き飛んだ屋根から頭を出して後方を確認する。

 嗚呼くそ最悪だ。


 再び内心でボヤク。

 何が楽な仕事だ畜生。街のチンピラに誘拐されたお嬢様を助けるだけだって? ゴリゴリの魔術技巧ウィズテクマフィアじゃねーか。


 ナイヴは自分達を追いかける魔術技巧ウィズテク装備に身を包んだ大男を確認すると、運手席に座るゴーレムの頭を蹴る。


「もっと飛ばせ!」


「安全運転したいんですけど?」


 ゴーレムを操る人工精霊がそう答えるが、無視して頭をもう一度蹴る。この状況で悪趣味な相棒の人工精霊ジョークを聞いている暇はない。

 大男が肩に担いだ筒に、新たな触媒カタリストを装填している。追撃はすぐに来るだろう。


 チンピラが運転する車を気軽に吹っ飛ばしたら、中からあんなデカブツが出てきた。相当に趣味の悪いビックリ箱だ。

 ゴーレムが二度目の蹴りで文句も言わずにスピードを上げるが、今度はエルフの少女が文句を言ってきた。


「私の外部記憶領界アカシックレコードを確認してもカルフォルニアなんて地名無いんだけど!」


 そりゃ俺の前世にある地名だからな! 何に拘ってるんだこの馬鹿と思いながらナイヴは歯噛みする。反撃しようと腰の触媒カタリストポーチをまさぐったら見事に全て割れていた。金がないので安いガラス製の触媒容器にしたのを後悔する。

 奮発して買った魔法銀製の触媒容器が一つ無事なだけだ。


 金がないせいで初手から最後で切り札だ、そして赤字だ。どうあがいても赤字だ。

 ナイヴは「カリフォルニアってどこよ!?」と叫ぶ少女に耳を塞いでろと叫ぶと、魔法銀の触媒容器を取り出した。


 クソッタレが! どいつもコイツも人を利用しやがって! 転生者ランナーを舐めんなよ! ナイヴは心中で叫びながら赤字の額を計算して、再度心中で罵詈雑言を叫んだ。

 触媒容器バレット銃杖ガン・ロッド魔法陣チャンバーに装填する。


 ワイヤーで構築された魔術回路が駆動する熱がナイヴを冷静にさせる。

 銃杖の照星を追手の大男に合わせる。


 殺意は邪魔だ、怒りも。

 オーケー俺。冷静になれ、冷静さこそが平穏への切符だ。


 ナイヴは短く息を吸い込み、暴発防止用の呪文キーワードを口にした。


侵襲魔術ハッキングゴースト起動!」


 ナイヴは初手で最後の切り札を切った。



***あとがき***

カクヨムネクスト賞に参加しています。

全6話になります。

完結まで20時に更新されます。

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