第90話 それぞれの動き 2

《side フリーダム》


 オレの名前はフリーダム。


 学園都市で自由同盟っていうイカしたチームをまとめてる。


 オレたちは束縛が大っ嫌いだ! ってなワケで、今日も好き勝手やらせてもらってるぜ!


「おいおい、見ろよ、これがオレの相棒ラドン様だ!」


 オレがドンっと肩を叩いたのは、ラドン――いや、ラドン様って呼ばねえと怒るドラゴンだ。


 でっけえドラゴンのくせに、乗り心地最高なんだぜ! こいつに乗ってるだけで、風がオレを呼んでる気がするってもんだ。


「ラドン様、今日も最高っだなぁ! オレたち自由同盟がこのフィールドで一番目立つ存在って証明してやろうぜ!」


 周りにいる仲間たちがゲラゲラ笑いながらうなずく。こいつら全員バカだけど、絆だけはマジで強え。なんせ、オレたちは”仲間命”の同盟だからな。


「おい、リキヤ! 酒持ってこい! 決起集会だ。ラドン様も喉が乾いてるっつってるから、お前たちのドラゴンにも飲ませてやれよ! エネルギー注入ってな!」

「お、おう! 待ってろ、フリーダム兄貴! こいつは新しく仕入れた魔物酒だぜ! ラドン様の喉を潤すにゃコイツしかねぇ!」


 リキヤが持ってきた樽酒をドバドバ注いでやる。ラドン様が大きな口を開けてガバガバと樽ごと飲み干した。その姿にオレたちは大爆笑だ。


 それぞれのドラゴンに酒を注いで、愛情を注ぐ。


 俺たち自由同盟は竜騎士っつう、イカした仕事を目指しているからな。相棒は大事にしねぇとな。


「やっぱ、ラドン様は飲む量も豪快だよなぁ! んで、ほら見ろ、ラドン様、酒入ったら気合い入ってきただろ?」


 ラドン様は鼻息を『ブォオオオォっ』と吹き出し、近くの木を吹っ飛ばす。その勢いにオレたちはさらに盛り上がる。


「ヒュー最高だぜ!」

「ラドン様がいれば、どんな敵も薙倒せるっての!」

「なぁ、兄貴! クラウン・バトルロワイヤルって、何したら勝ちなんだっけ?」

「そんなもん簡単だろ! 目の前のやつらをぜーんぶ! ぶっ飛ばして、俺らがこのフィールドの王様になるだけだ! それに、オレらは最強の武器持ってんじゃねえか!」

「最強の武器?」


 俺様は自分の胸をドンッと叩く!


「そうだ魂の絆ってやつよ」

「マジかよ! カッケエエ!!」

「だろ? それにな、ラドン様がいるからよ! こいつに乗ってガァーって突っ込んじまえば、全員ひっくり返るに決まってんだろ!」

「あっはっは! さすが兄貴! 作戦も勢い任せだぜ!」


 作戦(?)を決めたオレはラドン様の背中に乗り込んだ。他の奴らも各々のドラゴンに乗り込んで、準備を整える。


「おい、頭脳担当(自称)のシュウジ。これから俺たちはどうする?」

「フリーダム様のしたいようにしましょう」

「よっしゃ行くぞ! このフィールドの連中にオレたち自由同盟の力を見せつけてやる! ぶっ飛ばして、ぶっ飛ばして、最後は酒盛りだ!」


 ラドン様がブォオオォと吠えたかと思うと、一気に飛び立つ。オレたちは風を切りながら空を駆け抜けた。


「フリーダムの兄貴! あそこに敵っぽい連中がいるぜ!」


 シュウジが指差した先には、ゴブリンやオークの魔物たちが嫌がった。


「魔物なんざ! 俺たちの敵じゃねぇ! 蹴散らすぞ!」

「おう!」

「任せとけ!」


 俺たちが突き進んでいくと、マーメイドの綺麗な女たちが水辺でくつろいでやがる。


「最高じゃねぇか!?」


 そんな女たちを横目に、今度は岩場でモジモジしてる学生同盟の連中がいた。見た目は真面目そうだけど、オレたちからすりゃただのいいカモだ。


「おーい! そこの真面目そうな奴ら! お前らもこのフィールドに来たってことは、戦う覚悟はできてんだろぉ?」


 オレが叫ぶと、連中がビクッと反応する。


「な、何者だ!? 我々は争いを避けるためにここに陣地を構えただけだ! 立ち去れ!」

「立ち去れだぁ? おいおい、ここはクラウン・バトルロワイヤルだぜ? 立ち去るとか何とか言ってる場合じゃねぇだろ! ほら、ラドン様にちょっと挨拶してみろよ!」


 ラドン様がドォンっと岩場に降り立つと、岩がズリズリ崩れていく。その威圧感に相手は完全に呑まれてた。


「や、やめろ! 我々は戦いたくない!」

「戦いたくねぇ? そんなのオレたちには関係ねぇんだよ! このクラウン・バトルロワイヤルで一番目立つのはオレたち自由同盟なんだ! それを証明するためには、まずお前らをブッ飛ばす必要があるってだけだ!」

「ラドン様、やっちまえ!」


 オレの掛け声とともに、ラドン様が突っ込む。でかい体を活かして岩場を崩しながら、真面目そうな学生たちを次々と吹き飛ばしていく。


「うおおおおおお! これぞ自由同盟の力だ! 酒と暴力で天下を取るんだ!」

「兄貴、これで俺ら、フィールドのヒーローっすね!」

「ヒーローっていうよりは悪役だけどな! でも、それでいいんだよ! オレたちは、どこまでも自由に、好き勝手やるだけだ!」


 ラドン様の背中に股がったまま、仲間たちとハイタッチをする。


 オレたちは風を切って走り抜けた。俺たち自由同盟は、このフィールドで最強を証明するために、突き進むだけだ!


「邪魔する奴らは全員ぶっ倒す!」

「俺たちが進む前には誰も邪魔できねぇぜ!」

「フリーダムの兄貴! このまま優勝をかっさらってやりましょう!」

「おうよ! 俺たちが最強だ!」


 ラドン様と仲間がいりゃ、俺たちは最強だ!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 今日はここまで!

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