お正月特別SS

 前書き


 新年あけましておめでとうございます。


 作者のイコです。


 昨年はたくさん私の作品を読んでいただきありがとうございました。

 今年もどうぞよろしくお願いしたい。


 今作品が2025年一発目なので、お正月特別SSを投稿したいと思います。

 本編とは一切関係のない季節感ですのでその辺は短編特別としてご覧ください。


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《Side フライ・エルトール》


 学園都市の寒空に、新しい年を告げる鐘が響き渡った。


「さぁさぁ! みんな、新年だよ! 宴会の準備は整ってるから、今日は思いっきり楽しもう!」


 私はフェル爺さんに頼んで貸し切った豪華な宴会場に、仲間たちを招待した。


 豪勢な料理がテーブルに並び、壁には色とりどりの飾り付けが施されている。酒の樽も山のように積み上げられ、見ただけで胸が高鳴る。


 エリザベートがため息をつきながら扇を片手に呟いた。


「本当にあなたは道楽息子ね。こんなに豪華な宴会を開いて、年始早々浮かれすぎじゃないでしょうか?」

「いやいや、新年くらいはみんなで楽しく過ごさないと。エリザベートももっとリラックスしてよ」


 私が笑って返すと、エリザベートは軽く肩をすくめて微笑んだ。アイリーンがすぐ隣で私のために料理を取り分けながら、不満げにエリザベートを睨む。


「フライ様、こちらの料理をどうぞ。エリザベートも、もっと優しくしてくださいませ。フライ様が開いてくださった宴会を楽しむべきですわ」

「いやいや、僕はみんなが楽しんでくれればそれでいいよ」


 アイリーンは微笑みながら、取り分けた料理を私に差し出す。相変わらず過保護だけど、それも彼女らしい。


 一方で、ロガンとバクザンが早速酒を酌み交わしながら、何やら腕相撲を始めていた。


「おいバクザン! 新年の力比べだ! 俺に勝てるか!?」

「フン、獅子の王子とかなんとか知らねぇが、フライの兄貴の舎弟として負けられねぇんだよ!」


 二人の大きな声が宴会場に響き渡る。周りにいたレンナやジュリアも興味津々で見守っている。


「なんだい腕比べかい? 私が代わりに勝負してやってもいいぜ」

「いいぞ、レンナ! そっちの腕っぷしも見せてみろ!」


 レンナが力強い笑みを浮かべながら、ロガンに挑む。


 一方、セシリアはエリザベートと反対隣に座って、優雅に果実酒を飲みながら、エリザベートに牽制するように身を寄せる。


「フライ様、ここまで豪華な宴会を開けるのは、あなたの懐の深さゆえですね。ですが、くれぐれも飲みすぎないように」

「セシリア嬢、君までそんなことを心配しなくても大丈夫だよ。それより、君も楽しんでる?」

「ええ、もちろんですわ。新年にふさわしいひとときを過ごしていますわ。好きな殿方の隣にいられるのですから」

「セシリア様、あまりフライ様にベタベタしないでください!」


 二人の間で新年早々火花が飛び散って見えるのは気のせいかな? 


 視線をテーブルに向ければ、モムモとテルは食事を楽しみながら、モムモが持ち歩く水の入った容器をテルが興味津々で覗き込んでいた。


「モムモ、その水ってやっぱり特別なの?」

「はいなのです! これがないとお皿が乾いてしまうなのです!」

「なるほど……ご主人様、モムモに専用の水タンクを作ってあげていたものね!」

「はいなのです! 今は快適なのです!」


 テルの発言に、一緒にお酒を楽しんでいたチョコが腕を組んで唸った。


「それなら、私が無限に水が湧く水筒を作れば!」

「そんなことできるの?」

「理論上は可能なはずだ!」


 三人は仲良しな様子で、会話に華を咲かせていた。


 ノクスは端の方で少し静かに酒を飲んでいたが、ミミが近づいていく。


「ノクスさん、これ美味しいです! 一緒に食べませんか?」

「ああ……ありがとう。こういう雰囲気はまだ慣れないが、悪くないな」

「私もなんです」


 ミミの横にいたトアも、普段とは違った着飾った様子で過ごしていた。


 普段は研究者で、ボサボサの髪に白衣を纏っているだけだが、今は髪の毛を整えて、綺麗なドレスを着ている。


 そんなトアにノクスは見惚れているようだ。


「うんうん。みんな楽しそうで何よりだね」


 彼らの様子を見て、私は思わず笑みを浮かべた。仲間たちがそれぞれ楽しんでいる姿を見るのが、何よりも嬉しい。


 宴会の中盤、トアがなぜか爆発した煙のようなものを引き起こし、会場が一瞬騒然となった。


「トア! 何してるの!?」

「す、すみません! 新年にちなんだ発明品を試してみたんですけど……ちょっとだけ威力が強すぎたみたいで!」


 私たちは呆れながらも、結局みんなで笑い合った。


 トアの失敗作は爆発を起こして、窓から空へと舞い上がる。


 そのまま綺麗に空で爆発を起こして、花火が完成した。


「あっ、成功でした」

「トア、室内では火をつけちゃダメだろ」

「そうでした!」


 トアは驚きながらもどこか抜けているところが彼女らしい。


 宴会の終盤、私はジョッキを掲げて、仲間たちに声をかけた。


「みんな、今日は集まってくれてありがとう! 新しい年が始まったけど、僕はこうしてみんなと笑い合えるのが本当に幸せだよ。今年もよろしくね! 乾杯」


「「「「「「「乾杯ー!」」」」」」」」」


 みんなが声を揃えてジョッキを掲げる。その瞬間、笑顔と賑やかな声が宴会場に満ちた。


 ハチャメチャな宴会だったけれど、それがまた最高に楽しい正月だった。


 新しい年が始まる。


 どんな困難が待ち受けていようとも、この仲間たちとなら乗り越えられる気がする。


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 あとがき


 どうも作者のイコです!


 今回はお正月特別編ということで、フライと仲間たちの賑やかな宴会を書きました。みんなにとって、今年も良い年になりますように!

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