第14話 リリィ 暴走 完
じりじりと京子に迫る酔っ払い暴走リリィ。
真っ青になりながら後退りする京子。
「京子さんだけずるいですよ~ シリウスさんを一人占めして~ 私もシリウスさんとイチャイチャしたいです~」
「あ~いやそうは言ってもなあ、修二はウチの男やさかいな! こっ! こればっかりはいくらリリィはんの頼みでもなあ––––」
「え~いいじゃないですかあ、ちょっと位! そういうイジワル言う人は~…… こうです♡」
京子の顔を抑え濃厚なキスをするリリィ!
「ぶっ!!っ ぷはっ! ちょっ! リリィはん! んっ! ちょっ! 待っ! あかん! んっ!」
「✕△♡〇※✕〇□◎♡~~~!!!!っ」
「京子っ! おい!」
「✕〇□◎♡~~~!!!っ ……」
一頻り堪能したリリィ。
あまりの激しさに今度は顔を真っ赤にさせられ、その後気絶してドサッと倒れる羽目になる京子。
「京子――――!!! おい! 大丈夫か!? 京子―!!!」
「あらら、完全にのびてるね~ 京子♪」
「流石リリィ♪ 見てるこっちまで興奮する手腕だったよ♪ 良い画が取れた!♪」
「馬鹿な事言ってねえで早く何とかしろ! リーズ! 元はと言えばお前のせいだろ!」
「わかってるよ♪ 本音を言うともう少し楽しみたかったけど流石に僕の修二に手を出そうとするのは見過ごせないしね♪」
そう言ってビデオカメラの録画ボタンを一旦切りPSリングにしまうリーズレット。
自分でまいた種とはいえ流石に修二の唇を奪わせるわけにはいかないみたいだ。
「何か手はあるのか!? リーズ!?」
「ふふ♪ 今、京子が身体を張って教えてくれたじゃないか♪」
不敵な笑みを浮かべ自身の唇を軽く舐めまわすリーズレット。
「! お前まさか!?」
「あ、勿論本命は修二だから安心してね♪ それに––––」
「僕……
「すげえカミングアウト来たな。 いや、さっきからだけど」
「ん~? 従姉さん♪?」
「リリィ♪ いくら愛しの君でも流石に修二に手を出すのはいただけないな~♪ だから––––」
「僕がとびきりの世界を見せてあげるよ♪」
「いけません! 総長!」
アイオスの制止を無視して今度はリーズレットがリリィに仕掛ける!
その濃厚で情熱的な攻撃をしっかりとその唇で受け止めるリリィ!
「! ん~♡ ♪♪♪~~」
「んっ♪ はあっ♡(ふふ♪ ん? ! ちょっ…… んんっ! これは中々…… え? 待っ! そんな攻め方っ! あっ♡!!!!!)」
「ん~~~っ!!!! ✕△♡〇※✕〇□◎♡~~~!!!!っ」
「♡✕※✕……」
バターーーンっ!!!!
なんとあの最強無敵のリーズレットすらKOされてしまった!
京子と同じく目をまわしながら倒れてしまうリーズレット。
「きゅ~~♪…… ✕□△♡……」
「って返り討ちにされてんじゃねえか!!」
「ふふ♪ ご馳走様でした♪ 従姉さん♡ それじゃあシリウスさん♡」
「下がって下さい! シリウス殿!」
「! アイオス!っ」
「彼女は自分がどうにかします! 同僚として! 仲間として! そしてその…… 大……切な…… ウォッホン! とにかくですね!」
「ってテレてる場合か! なんでもいいからやるなら早くなんとかしてくれ!」
「承知!」
「リリィ殿!」
「あ~! アイオスさ~ん♡」
今度はアイオスがリリィの前に立ちはだかる!
「リリィ殿! 正気にもどって下さい! いつもの清廉潔白な、それでいて誰よりも優しく思いやりのある貴方に!」
「…… そう…… アイオスさんには私の事がそう見えているんですね……」
「でもごめんなさい…… 本当の私は…… そんなんじゃないんです」
「リリィ殿?」
「酔った勢いでしか自分を出せず…… 憧れだったシリウスさんにはお酒の力を借りないと甘えられないし……」
「おまけにほんのちょっとだけはしゃぎ過ぎて皆さんにもご迷惑をおかけしてしまって」
ちょっとか…… うん、まあいいや……
とりあえず静観する黒崎。
「リリィ殿…… 確かに! 周りに被害を与えてしまうのはよくはないです」
「しかし! 自分は! そんなありのままの貴方もその…… 良いと思いますよ」
「嘘です! アイオスさんだってこんなふしだらな女は本当は軽蔑している筈です!」
両手で自身の顔を覆い泣き出してしまうリリィ。
だがアイオスは続ける!
「そんな事は断じてありません!」
「! アイオスさん……」
「先程はいつもの貴方に…… そう言った自分の気持ちも間違いなく本物の気持ちですが…… 自分は今までずっと貴方の事を見てきた」
「貴方とは同期で何だかんだで長い付き合いになりますし、貴方の事をわかったつもりでいた…… ですが今日! 貴方の隠された…… 抱えていた、その内に秘めた貴方の一面を今日! 初めて自分は見させて頂いた!」
「結局自分は貴方の事を未だ理解しきれていなかった…… 全く…… 自分の未熟さに腹が立つ」
「アイオスさん……」
「ですが! そんな自分ですが今日! また一つ! こうして自分の知らない貴方を知る事ができた!」
「そしてどんな貴方でも貴方は貴方だ! その内に秘めた貴方もまた…… 貴方の一部分である事に過ぎないのだから!」
「それにその…… 積極的な貴方も…… いや! そうではなくてですね! あ〜でも世の中には酔わせた女性にいかがわしい事をしようとする下賤な輩も一定数はいるみたいですし、う〜ん……」
「あっ! つまりその…… 何が言いたいかと言うとですね!」
「もっと自分を大事にして頂きたい…… そして––––」
「どんな姿の貴方も…… 自分が貴方を見る眼は変わりません」
「何かの拍子で誤ってまた酔ってしまったとしても…… 自分が皆を守ります…… 貴方の心が痛まない様に……」
「勿論貴方の事も…… この命にかえても––––」
「ですからリリィ殿…… 今はどうかお休み下さい…… この不肖アイオス! いくらでも貴方の為ならば身を尽くす所存です」
「アイオスさん……」
アイオス…… セリフだけ聞くとまあ、男を見せてる様な気がしなくもないんだが……
そう言う事は面と向かって言えや! 何で途中からヘタレて背中向かせてんだよ!
リリィも今度は泣き上戸入ってるし!
たく! 変人揃いの零番隊の中でもこの二人は唯一まともな常識人かと思っていたんだが……
まさかリリィがこんなアブねえ爆弾抱えてアイオスはこんな残念キャラだったとは……
やっぱ零番隊だな……
小さい頃面倒見た事があるリリィがこんな感じになってしまったのは誠に遺憾ではあるし何とかしてやりてえとは思うんだがこれは中々手強いな~……
さてどうなるか…… って、おっ! これは!
「ありがとう…… アイオスさん……」
「アイオスさん…… 一つだけ…… お願いがあります」
「どうか少しだけ…… このままでいさせて下さい……」
そう言ってそっとアイオスの背にその身体を寄せるリリィ。
「リリィ殿…… ええ…… こんな背中で良ければいくらでも……」
おお! 結果往来もいいとこだがこれはこれで……
何だかんだで二人共良い感じになったみたいだし(酔ってるリリィが覚えてるかは知らんが)後はこのままリリィが疲れ果てて寝てくれるか酔いが覚めて正気にもどってくれるかしてくれれば万事解決!
やれやれ、一時はどうなるかと思ったが、とりあえずはこれでひと安心…… ん?
なんだ? なんか様子が……
「アイオスさん……」
バキ バキバキバキィ!!!!
…… なんか骨が軋む音がここまで聞こえてるんですけど……
「おっ…… おい。 アイオス君?」
「がはっ!」
酔って力加減ができていないリリィに全身が悲鳴を上げ始めるアイオス!
「! アイオス!」
「いいんです! シリウス殿!」
「! なんだと!?」
「自分は…… ありのままの…… ぐふっ! 彼女を受け止めると…… 心に誓った! この…… 程度…… がはああっ!!! の事で音を上げる訳にはいきません!」
「!っ アイオス…… お前ってやつは……」
「見届けて下さい! シリウス殿! 自分の…… 生き様…… を!」
「ぐはあああああああーーーーー!!!!」
「アイオスーーーーーー!!!!!!」
リリィから解放され、泡を吹きながら気絶して倒れるアイオス!
そして彼を解放したリリィはというと……
バタっ!
そのまま気持ち良さそうに仰向けで倒れてしまう。
二人のもとへと寄ってみる黒崎。
「…… 寝てやがる……」
「とりあえず…… 助かった…… のか?」
「アイオス…… お前の漢気、確かに見させてもらったぜ」
「お前の死は…… 決して無駄にはしねえ!」(※死んでません)
こうして色々あった大王夫妻の結婚式––––
その二次会でも発生していた此度の事件?
アイオスの漢気?のおかげで何とか彼一人だけの怪我人で済ます事ができたのでしたが後に彼女の自宅まで運ばれ目を覚ましたリリィは今回の一連の出来事は全く覚えていないのは言うまでもない––––
しかし––––
気絶したリーズが途中までそのカメラに納めていた動画を、後日例によってまた悪ノリしてリリィに見せ、彼女にその悪癖? もとい現実を知ってもらう事になるのであった––––
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます