01-34.夜明けの光

 やがて夜が明け始めた。廃屋はいおくの窓からし込む光が、薄暗い部屋の中を照らし始める。


「……朝?」


 彼女はゆっくりと目を開けた。朝の光は、昨日までの絶望を一瞬だけ薄れさせるようだった。


 立ち上がると、窓の外には広がる荒野が見える。鉛色の空はまだ暗い雲におおわれていたが、地平線の向こうにわずかな朝焼けの光がのぞいていた。


「私は……どこへ行けばいいの……?」


 その問いはまだ答えを持たない。しかし、彼女の中に生まれた小さな光が、もう一度足を進める力を与えた。


 彼女はゆっくりと翼を広げる。その羽ばたきは、世界のどこかで答えを見つけようとする小さな意志の象徴だった。

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