01-27.翼の光

瓦礫がれきを一つ一つどけていった。瓦礫がれきの重さに体が震え、背中の翼が自然と動く。翼が触れるたびに瓦礫がれきくずれやすくなり、少女に手が届きそうになった。


「もう少しだよ……」


彼女の声が落ち着きを取り戻すと同時に、背中の翼がかすかな光を放った。その光は暗闇を切り裂き、少女を照らした。


「……きれい」


少女がぽつりと呟いた。その声には恐れよりも驚きと安堵あんどが混ざっていた。少女を抱き上げると、その傷だらけの体をそっと地面に横たえた。


「痛いところは?」


「足が……」


彼女は少女の足を見る。り傷や裂傷れっしょうがひどく、血がにじんでいた。どうすればいいのか分からなかった。ただ、心の中で「助けたい」という思いがき上がる。すると背中の翼が再び光り始めた。


「……これ、何?」


彼女自身も分からなかった。ただ、その光が少女を包み込むと、血が止まり、傷口がふさがっていった。少女の表情に少しずつ安堵あんどが広がる。

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