義母と実母が可愛すぎて俺の理性がマジでヤバい ~スキンシップが激しすぎる義母と実母に挟まれて俺は親離れ出来そうにありません~
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
第1話 運命の動き出す音が聞こえた――。
◆◆◆◆
あれは、ある夏の日――。
あの日は特に暑く――エアコンすら生ぬるい風を送る中、俺が彼女の手を取った瞬間、運命の動き出す音が聞こえた――。
おそらくあの瞬間から俺の人生が始まったのだろう――。
◆◆◆◆
スライド式の木製扉を開き、綺麗に整えられた部屋の中へと入った。
床には埃一つ無い丸いフワフワのベージュ色のカーペットが敷かれており、その上に背の低い小さな木製のテーブルが設置されている。そのテーブルの上には乱雑に閉じられた16インチのノートPCが充電器に繋がれた状態で置かれていた。
充電ケーブルに引っかからないよう慎重に跨ぎ、ベッドの脇に置かれたスマホを目を向ける。こいつは暫く前からけたたましいアラームを鳴らし、持ち主の目覚めさせようと朝から必死に頑張っているのだが、肝心の御主人様は子どもの様な寝顔を浮かべ、ヨダレを垂らしながらすやすやと眠っている。
スマホ君の頑張りは分かるが、もうそろそろ休憩に入ってもらいたい所なので持ち主である女性の肩を揺する。すると彼女は、顔を歪ませて眉間にシワを寄せたかと思うと、「ンンッ……」という悩ましげな唸り声を上げてゆっくりと瞼を開いた。
「おはよう……」
芋虫のように毛布の中でもぞもぞと身体を動かしたかと思うと、片方の袖でヨダレを拭い片方の手でスマホのアラームを停止させた。朝の一仕事を終えたスマホはようやく落ち着きを取り戻す。
一方、まだ頭が回っていない様子の彼女は、上半身を起こすと首の座っていない赤ん坊のように前のめりに倒れそうになっている。
「そんなに眠いのなら二度寝したら? 今日はお休みでしょ。」
俺は彼女の部屋のカーテンに手を掛けながら話すと、彼女はあくびとも唸り声ともつかない声を上げながら、猫のように大きな伸びをしてこちらを向いた。そしてボサボサの頭を掻き、頬を膨らませながら反論をする。
「ヤダ。だって今日は大地と一緒に過ごすって決めたんだもん。そのために昨日、頑張って仕事を終わらせたんだから二度寝したら勿体ないでしょ。」
「そう、じゃあカーテンを開けるよ。」
彼女の合意を待たずにゆっくりとカーテンを開く。彼女の部屋の大きな窓から太陽の光が燦々と降り注ぎ、それまで薄暗かった部屋の中を明るく照らした。彼女はまだ陽の光に目が慣れていないようで目を細めながら手櫛で髪をとかす。そして、こちらに向かって両手を突き出しブラブラと揺らした。
「起こして。」
「自分で起きなさい。」
俺は彼女の手を払い背を向けるが、彼女は背中越しに甘えるような声で囁く。
「ね~え~。お・こ・し・て・よ~。ね~え~。」
両手を突き出しブラブラとしている女性、”一ノ瀬 灯里(いちのせ あかり)”は俺の義母だ。しかし、義母にしては若い。
言動や振る舞いもそうだが、実年齢もかなり若いのだ。俺こと”一ノ瀬 大地(いちのせ だいち)”は現在18歳なのだが、 灯里は34歳――16歳しか離れていない。しかも、灯里さんは年齢よりも若々しい容姿をしており、先日も「学生に間違えられちゃった~♡」と喜んでいた。
彼女は若い頃、人魚の肉でも食べたのではないかと思っている。
◆◆◆◆
俺には親が居ない。正確には”俺を生んだ親の顔を見たことがない。”
俺の実母は名家の生まれらしい。しかし彼女は男遊びが酷かったらしく、親の目を盗んで子供を出産した――つまり、それが俺だ。
その後、俺は生まれてから直ぐに親から引き離され親戚の家をたらい回しにされた。
そんなある日――明里さんに出会ったのは茹だるように暑い夏の日だった。
◆◆◆◆
携帯ゲームで遊ぶ2人。
部屋の隅にいる僕。
2人と僕の間には、目に見えない分厚い壁がある。彼らはこの家の子供で、僕はこの家の子供ではない。
本物の子供と偽物の子供、この”2つ”には天と地程の差がある。
僕はいつものように部屋の隅で気配を消して大人しくする。こうすれば、誰かからイジメられることは無い。これが僕の身につけた生き残るための方法だ。
明るく振る舞えば「うるさい」と言われ叩かれる。機嫌を取ろうとすれば「ムカつく」と言われ蹴られる。泣くと更に暴力と罵声が酷くなる。
どうすれば良いか必死に考えた結果、誰かの目に付くから酷いことをされるということに気がついた。だから、ひたすら気配を消してやり過ごす。そこら辺に転がる石になるのだ。誰からも気づかれない。それが唯一の安心――。
今日は親戚の人達が来ている。
大人達は広い居間で何やら難しい話をしている。恐らく僕のことについて話しているのであろうが、僕には関係のない話だ。新しい親戚の家に行っても”静かに”、”誰からも悟られず”、”気配を消して”過ごす。
これは、 生まれてきただけで大勢の人達に迷惑をかけている僕が出来る唯一の生き方だ。
◆◆◆◆
部屋の扉がゆっくりと開き大人の女性が入ってきた。部屋の中を見渡す彼女と目が合う。
肩口まで伸び、内側へふんわりとカールした栗毛色の髪、その中央にある顔は人形のように整っている。確か、親戚の中にアイドルがいると聞いたことがある。それが彼女だと確信できる程の美女だ。
ただ……彼女の表情は、その顔立ちと同じように――人形の様な表情……。まるで感情を感じ取ることが出来ない動く大きな人形……。美しいけれど恐ろしい何かのように感じて体がこわばった。
それまでうるさく遊んでいた2人も、ゲームの手を止めて静かにしている。
彼女は一歩一歩こちらに近づいてくる。死刑前の囚人のような気持ちだ。膝を抱えた手に力が入り自然と膝に顔を埋めた。
僕の隣に腰を下ろす彼女の気配を感じる。それと同時にふんわりと甘い香りがした。
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