第十章:ニール

「晴翔、聞いて…」

 ニールの声が、彼の耳に届いた。


「君は今、自分を見失いかけている。クラムスが望むのは心の闇だ。これ以上、増幅してはダメだ!」


 ニールの言葉にハッとした。心の中に湧き上がる怒りや恐怖を必死に押さえつけた。そして、深呼吸し、叫んだ。


 晴翔の目から涙が溢れ出す。

「俺は……俺に戻りたい!」


 涙でぐちゃぐちゃな顔で叫ぶと、リフレクターの中で囚われていたニールの姿が鮮明になり始めた。リフレクターに光が集まり、ニールの拘束が緩んでいく。


「なるほど…面白い。」

 クラムスがそう言い、手を振り上げると、部屋全体が闇に包まれる。晴翔は目を閉じ、リフレクターを強く握りしめた。

 鏡が砕けるような音が響き、ニールが淡い光となって晴翔の前に現れた。


「晴翔。私も戦えそうだ。」

 天から降りてきた光り輝くリフレクターをニールが握りしめた。

 クラムスと対峙する準備が整った。

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