第八章:クラムスの正体

 クラムスは少しずつ晴翔に近づく。その手には黒い鎖があった。

「俺の姿が見えるようになったのは計算外だった。あの日、お前の部屋でニールとの戦いに勝利した。」


「しかし、ニールの破損したリフレクターに俺の姿が反射し、お前の目と耳に入った。その作用で俺の姿は丸見えってわけだ。」


「瞬間の出来事で、咄嗟に誤魔化すのが大変だったよ。むしろ、視覚化されたことでお前を導くのには好都合だったがな。」


「さて、俺を裏切るつもりか?」


 晴翔は震える手でリフレクターを握りしめた。鏡の中のニールが、弱々しい声で言う。

「争ってはいけない…君に守護神を倒す術はない…争えば奴の思うツボだ。」


 晴翔の中には、決意が芽生えていた。

「ニールを解放しなければ…」


「俺のことを騙してたんだな!」

 そう叫ぶと、晴翔はリフレクターを振りかざした。

 その瞬間、鏡から眩い光が放たれ、クラムスを一瞬だけ怯ませた。晴翔はニールを助け出す方法を模索する。


 クラムスはすぐに態勢を立て直し、冷たい声で言った。

「いいだろう。後悔するなよ。」

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