公爵令嬢は掃除する

おもち

序章

第1話 第三位神ノワール

帝国歴988年7月15日


窓の外は晴れ渡り、雲一つなくまさに青天

窓の下ではメイドたちが洗濯物を干している

庭の先には中世風の街並みが並び、ゴシック調の教会の尖塔を望む先には金色を敷き詰めたかのように収穫間近の小麦がたなびいている


肩肘をつきながらボーっと眺めているとついつい独り言が出てしまった

「ハァ。。。これからどうしよう。。。。。。」

間髪なく後ろから声がかかる

「ご心配など必要ありません、第三位神ノワールさま」

ビクっとして肩越しに後ろをチラ見すると

デイジーが瞬きもせずこちらを見つめている

ハァとため息をつきながら

「あなた、ホント気配を消すのがうまいわよね」

「お褒めいただきありがとうございます」

「皮肉なんだけど。。。」

「それにまだノワールになってないし、あくまでもブランさまの使徒のいち少女よ?」

「ブランさまは時が満ちれば約束通り第三位神へなって頂けると考えておりますし、わたしもそう思っています」

デイジーは直立不動のまま確信しているかのように話す


「しかし、いかが致しましょうか?」

「ん?」

「薄汚いゴミらや有象無象の汚物供がこの帝国内ですら吐き捨てるほどおります」

「果実が腐ると周りの果実にも影響を及ぼします」

「この世界で考えるといかほどになるかと。。。」

デイジーは微笑を浮かべている

「この家へ転生してからおばあちゃんしか知らないわたしははじめて両親の愛情や家族を知ったわ。今の力じゃすべてを変えることができないことは知ってる。この家族・この家を守れればいいの。なんならお父様が国を統べればいいし、帝国なんてしったことじゃない」

「とくに使徒に選ばれてからの家の取り込み・干渉・引き抜きのエグさったら。。。ホント腐りきってる」

「綺麗にしてやるわ」


「ゴミ掃除は得意としておりますのでお任せを、ノワールさま」

デイジーは一礼してからそう言った

「だからノワールじゃなくてユーディス。今はユーディス・フォン・シュヴァーベン。」


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