最弱魔力の最強術師!?

毘沙門 子子

第1話 さあ、新らたなる人生を始めよう

 俺が自らの喉を掻っ切る。

 仲間たちが悲しそうな目で見ている。


「―――フリオ!」

「フリオまた会おう―――!」

「必ず会いにいくぜ」

「―――師匠は、わたしのものだから」


『転生システムが起動します』


 この世界の人間は、レベルがMAXに達すると、転生という儀式が行える。

 転生を行えば、現世の力の一部をほぼ受け継いだまま来世に行くことができるのだ。


 転生が行えるほど強くなれる人間はほんの一握りだが、俺はこれをもう何度も行っている。


 俺は、千年前から歴史に名を残す、ちょっとした伝説級の大魔導士だ。

 現世では齢30を超え、世界一の魔術師や、魔導王と呼ばれている。


 俺の体が、光りに包まれる。

 俺は仲間たちに、今世での最後の言葉を放つ。


「斥候のエルザ。お前は、ちょっと真面目になれ。

騎士のメア。お前は、生真面目さを抑えろよ。

戦士のゴルカン。お前は、酒を控えたほうが良い。

我が弟子ルルア。お前はいつもそれだ、元気でな」


 俺が微笑みと共に言うと、仲間たちは涙を浮かべながらも、笑顔で返す。

 世界から声が聞こえてくる。


『どの〝ステータス〟と、〝才能スキル〟を引き継ぎますか』


 決まっている。


「もちろんステータスは魔力、スキルは【魔力2倍】だ」


 世界から届いた懐かしい声に返事をすると、俺の魂は天へ昇って行った。

 俺は世界の声に、心のなかで告げる。


 (ありがとう、次の人生も、どんな物になるか今から楽しみだ)と。


 そして俺は心に誓うのだ。


 (次の人生でこそ、目的を果たしてみせる)と。




~~~


挿絵です。近況ノートへのリンクです。


https://kakuyomu.jp/users/mine12312/news/16818093089530156802


本作のヒロイン、ナグ・フェロウバーグです。


今日中に8話更新予定ですが、その間にツエー好きの方には恐らく満足いただけます。

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