3.「9割引」dedeさん
タイトル:9割引
キャッチコピー:なし
作者:dedeさん
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093089663325140
評価:★3
味のご希望:なし(甘口)
あらすじ:受験生の男子中学生が女性家庭教師を襲っ……あわわわわわ淡い恋物語。
初めに、自主企画に参加してくださったことに感謝申し上げます。
dedeさんは、ぬりや是々さんと同じく私が出したお題「サーモンピンク」に沿って書いてくださいましたが、そのことは講評には含めません。
ただ、エピソードタイトルが「サーモンピンクと聞いてまず鮭の切り身を思い浮かべた自分はきっと悪くない」というのは個性的でおもしろいなと思いました。
ええ、全然悪くないです。
[講評]
おねショタ度は高めです。
家庭教師と受験生という黄金の組み合わせは、とても良いものです。
大事なことなのでもう一度言います。
女性家庭教師と男子受験生の組み合わせは、非常に良いのです。
完読してまず最初にすごいと思ったのは、起承転結がはっきりあって、各パートがそれぞれの役割をきちんとこなしていることでした。
読み手にスムーズに読み進めさせるために有効な手段だと思います。
また、会話の内容が自然で良い。
日常会話として違和感が全くないんですよね。
しかも「サーモンピンク」で始まるわりには、各家庭に普通にありそうなスーパーで割引されていた鮭を冷蔵庫に入れるシーンから始まるので、とっつきやすいですね。主に私が(笑)
女性家庭教師が主人公くんにコーヒーを渡す場面では、日常生活の中でよく聞く音や香りが少ない文字数でばっちり表されています。
本当にコーヒーの香りがしてきそう。
さりげなく書かれていますが、ポイント高いです。
そう、日常なのです。
これが起承転結の「起」。
ストーリー運びも現実との整合性も、問題ない。
違和感ないので。
そんな日常の中でも主人公くんはゾクリとしちゃうのですが、その理由がしっかり書かれている点も高評価です。
そしてサーモンピンクがまたクローズアップされ、自然な会話で流れるように進む。
これが起承転結の「承」の始まり。
【ここから先ネタバレあります! ご注意を!】
「承」では、主人公くんは女性家庭教師のことがすごく好きなんだなということがよくわかります。
リップをプレゼントだなんて!
きゃあああーーー!!!
……っと、失礼しました。
女性家庭教師が軽くあしらったらちょっとムカついちゃうんですよね。
いいですね、中学生っぽくていいです。
今日も日常が営まれるはずだった、でも衝動的に……というのが、起承転結の「転」。
だってカチンときたから! みたいな流れですよね、わかるわかる。
男子じゃなくても主人公くんの心理がわかりやすいので、もうここで読み手の心はがっちり掴まれちゃいます。
その「カチン」の元がサーモンピンク=鮭っていうのもいいですね。
きちんと「起」「承」が生きています。
起承転結の「結」で主人公くんは「恐がられたよな」と反省しますが、本当に恐がっているのは女性家庭教師……もそうかもしれないけど、主人公くん自身かなと思いました。
思春期あるあるなんですよね、きっと。
自分の成長や言動に何となく自信が持てなくなっていく感じ、わかります。
何であんなこと言っちゃったんだろう、しちゃったんだろう、自分自身を制御できない、なんて家族や友達相手にもあることです。
そして大多数が厨二病を罹患……げふん、失礼しました。
とにかく、そのあたりも「無抵抗な俺」などの言い回しで上手に表現されています。
おそらく女性家庭教師はそれをわかっていて、ちょこっとおしおきするくらいで済ませる。
これぞおねショタ黄金パターンですよ!
きらっきら! きらめいています!
言葉には出さない「わかってるんだからね♪」で男子が尻に敷かれる。
芸術的に美しい……たまらん……!
そこからラストへ一直線なのですが、最後のセリフがまたいいですね。
「10年早い」→「10年も待てそうにないし。来年なら、いいよ」と、タイトルが全回収されますから。
書き手としてですが、ちょっとぞくっとしました。
だって、タイトルは「9割引」なのに、冒頭で出てくるのが半額の鮭じゃないですか。
「あれ? dedeさん間違えた?」……とは思わなかったけど、「何でだろ?」とは思いました。
これがもしミステリーや暗喩てんこもりで話が進んでいく作品なら「何かあるんだろう」と慎重になって読みますが、そういうタイプのお話ではないので油断していました。
こういうところが怖い……おっと、甘口でしたね……。
こういうところが本当に見習いたいくらいすごいなと思います。
(私、タイトル付けるの苦手……)
[総評]
黄金のおねショタを見せていただけたことに、深く感謝しています。
普段あんなにかわい……げふ……おもしろいことを柔らかくおっしゃっているのに、これだよ……いつもこれにやられるんだよ! と思いましたが、応援コメントには書きませんでした。えっへん。
本当に良いおねショタ(ショタおね)でございました。
大変おいしゅうございました。
ありがとうございました。
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