妹の拒絶

僕らは双子.


生まれたときからずっと一緒だ.


僕の兄は少し、いやかなりおかしい.


狂っているといった方が正しいだろうか.


僕の世話を甲斐甲斐しくやいて、どこに行くにも着いてくる.


交友関係にまで口出ししてくる始末だ.


本音を言うと面倒くさいし、僕、いや私の好きなようにさせてほしい.


いつからだろうか、私に【僕】というように強制して、好きだったお姫様みたいな綺麗なスカートを取り上げてズボンを履くよう進めてきたり.


当然のように彼氏ではなく彼女を作るよう進めてきたり.


兄は私を『女』としてではなく、『男』として見るようになった .


まるで私を通して私じゃない誰かを見ているかのように.


兄は自分のことを棚にあげて私の注意ばかりしてくる.


おかしいのは兄なのに.


だからほんの少しの反抗心で彼氏を作った.


そしたら兄が壊れた.


私をいない者かのように扱うくせに誰も出ていないドアの前で私の名を呼んだり、私が部屋にいるときに部屋に入ってくるようになった.


私のせいで兄が壊れて、申し訳ないと思う反面自由だと思ってしまう自分も怖い.


兄が私以外を見て、私、いや僕を探すかのような行動に鳥肌がたつ.


私のせいで兄が壊れてしまうのならば、


―[双子として生まれなければ良かった。]―


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る