第6話 ( ゚д゚)


翌日になり俺は嫌な観念と共に起き上がる。

それから準備をしてから学校に向かう為に自宅を出てから、と思っていると。

玄関を開けた所で何故か山吹が居る事に気付いてから驚く。


「や、山吹!?」

「セーンパイ♪」


それから山吹は俺に抱き着いて来る。

俺は赤面しながら引き剥がす。

そして山吹を見る。

山吹はニコニコしながら俺を見ている。


「山吹。どうしたんだよ」

「ん?いち早く先輩を感じたかったから」

「恥ずかしい事を言うなよ...」

「先輩。私、真面目に先輩の香りが好きです」

「...は?!」

「私、先輩と知り合えて幸せです」


そう話しながら山吹は俺に何かを渡してくる。

それはお弁当の様な物だった。

俺は「?!」となりながら山吹を見る。

山吹は苦笑しながらこう言う。


「私、お弁当作るの初めてでした。だけど必死に必死に必死に...作りました」

「...山吹...」

「朝3時から作りました。あはは。いきなりなんて馬鹿ですよね」

「...俺はそうは思わない」


そう話しながら俺は山吹に笑みを浮かべる。

それから山吹の頭を撫でた。

そして山吹にもう一度、笑みを浮かべる。


「有難う。大切に食べるよ」

「...先輩は優しいですね。本当に」

「...俺は優しいとかそういうのは...まあ無いんだけど。でもそう感じてくれて嬉しいよ」

「先輩も大変な中で有難う御座います。私に...私なんかと先輩後輩の仲で付き合ってくれて」

「...」


俺は山吹の優しげな顔の頬を撫でる。

それから山吹に向く。

すると山吹は俺の頬を撫でてきた。

互いに頬を撫で合う仕草をする。

その中で聞いてみた。


「なあ。山吹。...お前俺が好きなのか?」

「んー。うふふ。どうなんでしょう」

「しかしお前の仕草はもう完全に俺に好意が向いている様な...」

「そうですね。...まあ好きと言ったら好きかもしれません」

「ああ...やっぱりそうな...」

「ただし先輩。今じゃないんです」

「...今じゃない?」

「そうです。...私はこの秘めた思いは胸に仕舞います。私は...2人に復讐してから笑顔になりたいですので」


そして山吹はニコッとする。

俺はその山吹の頬を触れたまま「...」となっていると山吹が「あ。先輩。...頭にこの葉がくっ付いていますよ。しゃがんで下さい」と言う。


「...ああ。すまん。何かくっ付いていた...」

「えい」

「...!!!!?」


しゃがんだ瞬間。

俺の胸ぐらを掴まれた。

そしてそのままキスを交わす。

何を!!!!?


「お前何を!?」

「罠に嵌まった先輩が悪いですねぇ。朝イチのキスを頂きました」

「馬鹿野郎!?」

「良いじゃないですか。大人のキスもした訳ですし」

「...いや。そういう問題か」

「そういう問題です」


俺は盛大に溜息を吐く。

そして山吹から手を離す。

山吹は名残惜しそうな感じでそれを見ていた。

それから山吹は手を繋ぐ事を要求してきた。


「...先輩。手を繋ぎましょう」

「何でだよ...恋人じゃないか」

「良いじゃないですか」


そして歩き出す。

すると前田の声がした。

背後を見ると前田が笑みを浮かべて立っている。


「前田...」

「良いねぇ。朝から見せつけてくれる」

「おはようございます。前田先輩」

「ああ。おはようさん。千智ちゃん」


前田は大欠伸をする。

俺はそんな前田に「?」を浮かべて聞いてみる。


「大丈夫か」

「ああ。眠い。...久々に帰って来た義妹が煩くてな」

「柏ちゃんか」

「そうだ。...何か今朝は張り切って弁当とか渡してきてな」

「柏さんも元気ですね」

「そうだな。アイツはとても良い妹だけど...何か最近、様子がおかしい。世話焼き女房の様にアタックしてくるんだが」


首を傾げる前田。

俺達はその様子に顔を見合わせる。

それからクスッと笑った。

というかそれまさかと思うが。


「何だ?」

「いや。何でもない。...お前自身が気が付かないと駄目なんじゃねーかな」

「...は?ただの妹だぞ」

「でも血は繋がってないんだろあくまで」

「そりゃまあ義妹だしな」

「アハハ」

「?」


そして俺達はそのまま学校に来る。

俺は先程のキスを考え。

前田のそのお弁当騒動の事を考え。

気持ちがやらしい気持ちになってしまう。


「お前はどう思うんだ?」

「あ?何が?」

「柏ちゃんのこと」

「とても良い義妹だって思っているぞ?完璧だ」

「...ああ...成程」

「何だよお前。何を知ってんだ?」

「何も知らねぇ」

「んだよクソッタレ」


前田は「?」となって首を傾げる。

そんなライトノベルみたいな恋模様もあるんだな。

そう思いながら俺は苦笑しながら前田を見る。


「なあ。それは良いけどさ」

「ああ。何だ」

「お前...奴とは対峙したのか?」

「奴ってのはつまり元カノか」

「そうだ。...お前、別れを切り出すって言ったろ」

「ああ。それはもうした。...対面が面倒だからスマホでバッサリ切った」

「成程な。...大変だなお前も」

「(こんなの認めない)って書いてあったけどな」

「何だそりゃ」


そしてクラスに行ってからドアを開ける。

それからクラスメイトに挨拶してから大欠伸しながら椅子に腰掛ける。

そうしてから窓から外を見た。

アイツの気持ちにも応えないとな。

いつか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る