20話
ベルヴェールはドラゴンオークのどって腹に風穴を開け、顔と全身に浴びた返り血を浴びる。
気休め程度に見えづらくなった視力で、やりにくい相手、
そして続けざまに、今まで放てなかった魔術を放っていく。
【
「ここに
自身に再度火炎のバフをかけ更に上空に落ちゆる煉󠄁獄の雨に強化魔術をかけた槍の矢の一撃を放つ。
放たれた一撃は空は酸と毒気の黒い雲から青い空に、魔術的に変わり、地は氷上の世界から再び赤に変わる。
ベルヴェールは双刃の槍を再びカゲロウに持たせヘルハウンドと対峙させ続ける。
「オワリはじまり
更に紅く染まる地に降り立つベルヴェールは精霊化が進み下半身から翼は最早、火炎そのものの炎獄の天使、火魔術速度を
「その火で満たせ
目まぐるしく変わりゆく紅の地の世界は、”蒼炎”に
――怒轟!!
轟!!
轟!! ー怒怒!!
轟ーー轟! ドーーン
――轟!!
轟。
目まぐるしく変わる火炎に、アイスゴーレムオークは全て爆発し飛散する毒気と酸、だがあまりのわ熱さに気化するより飛沫する毒牙は尚達が悪くウーロンオークとヘルハウンドを苦しめる。
「ブグ…………ガア」
「ガルルウウ……」
……
ベルヴェールの固有魔術結界複合……火と闇の複合、半位十キロを対象に上空含め囲むように出来た蒼炎の煉獄に捕らえた者(対象者)は地下から幾つもの火柱が上がり鞭の様に対象者を攻撃し絡め取って行く。
加え先程のグリフォンと同じく。
闇の第五階梯『
炎の鞭は包みこむ様、絡め取られ逃げ様にも逃げられず攻撃を受け続ける地獄。
また術師自体の火属性魔術の攻撃も対象者は防ぐ事は出来ても避ける事は難しい。
ベルヴェール自身は半精霊化、外見も体自体に炎に覆われ一体となり。
結界内では火属性の消費魔力が限りなく零に抑えられ術式展開速度も大幅に飛躍する。
「はあーー!!」
ベルヴェールは黒刀に火属性の魔力を流しながら闇魔術第一階梯の『
【
……対象の精神に作用し倍の痛みを感じさせる。
「火盗り牙」
火属性の突きの攻撃で胸元にドスッと鈍い音を立て。
ウーロンオークの混合結果で耐え抜いた身体を無視し貫く……
「ブガアアァァッッ」
突き刺した箇所から闇魔術の痛みと焼ける痛みをそれぞれ味合わせる。
「……ラアアア」
グリッと筋肉で捕まれた感触に軽く眉を顰め。
次にウーロンオークが右手で短剣を振り上げているのを横目にベルヴェールは火魔力を流しつつ力任せに一気に刀を引き抜く。
――突っ!! 噴ッ!!
――壱拾……ジュウゥ……
だがウーロンオークは、スプリガンオークとしての本質なのか振り下ろした右手だけを
その豪腕の一撃を振り落ろされると同時に……
「夕ひぐらし」
火属性、下段からの切り上げ豪腕の一撃を払い前にベルヴェールは後方に距離を取る。
「ブゥゥ……」
刀身に僅かばかりウーロンオークの血がこぼれ落ちるが蒸発する。
……ジュウゥ
(まじかよ気配察知で気付かなかったらまともに食らってたかもな……とう言うより手数多すぎだろ)
ベルヴェールは周辺の温度を感じ無いのだが、周囲は文字通り再び火の海と化しており。
ウーロンオークとヘルハウンドの体力を蝕むと同時に気化した毒気が体内を犯し続ける。
ウーロンオークも負けじと回復魔術を自身にかけながら身体の部位をそれぞれ大きさを変えながら、変則的な連撃をベルヴェールに返して行く。
「ブゴオオオ!!」
――斤!!
――斤!!
「ブガッ!! ブガッ!!」
――弾ッ弾!!
――砕!!
短剣に、属性を乗せた魔力弾、倍化させながらのサイズ変更を織り交ぜた。
腕や足での打撃、ヘルハウンドはカゲロウが抑えて居るようだが、ウーロンオークも形振り構って居られないようだ。
だが……
――突!!!!
ウーロンオークの死角、背後から急にドラゴンオークとの戦いで倒れていた。
グリフォンのただ凶悪な嘴が、グサッとウーロンオークに突き刺さった。
「ブゴッ!? オ……オ」
ベルヴェールは一瞬に隙を突き……
「
高魔力を込めた剣技……絶剣(必中)の炎環結界。
――塵、塵々……散り空気も地も何も無い焦げた空間。
ウーロンオークの沈黙? 戸惑い。
「…………」
グリフォンは、まだ精神干渉魔術が効いてる様子。
故にウーロンオークへ攻撃したのだろう。
ベルヴェールは続け様に魔術を放つ。
「
――瞬と目に見えない閃光の連撃。
――斬!!
――斬!!
「ブガ……ガ……」
ウーロンオークの倍化した右腕と左足を切り落とし続けざまにグリフォンを斬る。
――瞬っ斬!!
「グガ…………」
再び赤く染まった黒刀はグリフォンの首の付け根、肩から胴体にかけて一閃。
――斬ッ
「ガ……ウ……ウ」
ウーロンオークへの止めをカゲロウ達との戦いでボロボロになったヘルハウンドが身を挺するも胴体を真っ二つに斬る。
一連の動きはここまでだが、ベルヴェールは無理に術と
「……天剣……流剣!!
武技
【天剣】
……その名の通り翼持つ亜人族の剣技。
【流剣】
……連撃に特化した
【
『瞬殺戦火』《バトル・コンビネーション》
……透視眼、神経伝達の加速、危機予測というオリジナル魔術混合。
・相手が攻撃する寸前、攻撃の予測線を眼で捉えてる。
武技と術式を無理やり繋げた事による隙を無くす為、ベルヴェールは上空高くに上がりウーロンオークを見据える。
(何!?)
ウーロンオークはその一瞬の隙に、切られもがれた左足に短剣を差し回復魔術をかけて不安定ながらも、しっかりとと両足で立っていた。
生き抜く意志を強く感じるやりにくい相手だが、ベルヴェールも腹をくくりウーロンオークに目掛けて“
「
【
……『灼熱息吹フレアブレス』『火竜息吹ドラゴン・ブレス』の上位互換魔術。
魔術階梯十三(禁呪)
水素プラズマの炎であり、並の構造体を容易に蒸発させる威力があり単体に特化した魔術。
【
……ゼロツーの知識(竜王)が扱う炎を改良した魔法で、龍の顎門となって炎を吐く。
・加減を失敗すると街一つ燃やし尽くしてしまう。
改良型なので、魔術階梯は禁呪相当でこちらは拡散と収束の調整が可能。
『Dooooonーー!!』
――轟!!
『Dooooom!!!!』
――怒轟!!
――轟!!
『Dooooonm!!!!』
最初から、これをやれば良かったのでは? と思う程の火炎の魔力がウーロンオーク目掛けて放たれ。
森を穿ち切り開く。
ウーロンオークが倒れたかは分からないが結界がある生きのびてる可能性があるベルヴェールは再び急降下し再び火の海になった地表へ探知魔法で確認する。
(やっぱり生きてるな)
ベルヴェールは続けて魔術を展開しながらウーロンオーク目掛けて黒刀を振るう。
「
【
……魔術階梯五、上級火葬系攻撃魔法。
指定範囲内を火で囲んで密閉して閉じ込めてしまう魔術で、無理に開けようとすると開けた所から空気が流れ込んできて、爆発的炎上が起こってしまう。
「
【
……ベルヴェールオリジナル、闇✕火炎の複合。
刀に展開した不通の中に火を灯し、不通を一点解除することで放つバックドラフト現象を利用した攻撃。
酸素だけでなく魔力も利用しているのでその威力・速度は絶大で貫通性に優れ、展開した不通の闇は大きさの関係で常時展開。
【
……ベルヴェールオリジナル武技。
斬撃、突、居合、様々な太刀に火炎の魔力を纏わせる攻撃する。
放出系魔術と違い圧縮した魔力を纏うので対象者に纏わせた魔力が触れるだけで、その瞬間、爆炎に飲まれ塵となる。
単純に“火”、”炎”の威力だけなら、
――砕!! 散!! 怒轟!!
天上から降下した勢いでウーロンオークの結界を突き破り
最早、断末魔も何も無かった。
こうして野望に身を焦がしたのだろう上位種、特殊個体のオーク達、そしてお互い戦いを楽しむはずだったグリフォンに関しては最後ベルヴェールに操られ死ぬと言う名誉も誇りも無い最期を遂げたのだった。
終わったのだったが、まだ仕事は残っていた。
「……この燃え盛る森をどうするか」
いわゆる終戦処理である。
ゼロツーからは、消し飛ばしてもいい的な事を言っていたが流石に気が引ける。
かといって水や氷の基本属性はないのだ。
先程凍らせたのはあくまで
(さて……どうしたものか)
しばらく考えてゼロツーの魔術を試す事にした。
【
……死魔術によって、範囲内のあらゆるエネルギーを奪い、奪うエネルギーは選択と調整可能。
魔力だけや、熱量だけ等、また温度もマイナス百度にとどまる程度まで奪うといった制御もできて、また範囲内の質量エネルギーを奪うことで物質だけを消し去ったりと応用の幅は広い。
「
(くっ……記憶に詠唱文が無かったせいか魔力消費が激しい……)
それでも今回の戦闘で魔力自体は二割も使ってなかったのだが、ここで基本属性を持っているとは言えど三割程の魔力を合わせて持って行かれた。
周囲の火は熱量を失い鎮火、歪だが、氷の世界になる。
ちなみにゼロツーの
ベルヴェールは氷の世界を眺めつつグリフォンやオーク達を収納して行き、改めて今回の三つ巴の戦いを振り返っていた。
ウーロンオークへ感じた違和感……そしてグリフォンとの戦いも泥を塗る様な結果になった事を考え。
誰も彼もが幸せになってハッピーエンドとは行かないようだと思うのだった。
またそれは消え去ったウーロンも同じで、今回の戦いを振り返っていた。
ウーロンオークは特にベルヴェールに恨み等は抱いていなかった。
それに、気になる事も一つ。
能力は二つ。
一つは魔力視……相手の魔力がわかる。
二つ目は、魂判別が出来る。
本来なら、
……群れを束ねると言う能力に欠けていたのかもしれない、それか魔眼の話を他のオーク達にしていたら挑まなくても良かったかも知れない。
タラレバの話だが、それでも引けなかった。
何故ならベルヴェールの魂がウーロンオークと
前世での”
それが、負けずして負けて尚、負けた原因だ。
ベルヴェールにもまた魔力視や魂識別の
そしてここは冥界のダンジョンと違い。
死んだら生き返らないのだ。
だが
(私は必ずもう一度転生して、あの
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