10話
アンジェリカは特に興味深そうに話を聞いてふむふむと納得して行っている様子。
そして、アンジェリカは心の声が漏れて独り言を何やら呟いている。
「なるほど興味深いの、ただでさえ凶暴な魔物が多かった未開のこの土地。それが更に進化し、ここを守るか。外に出れば危険な魔物だが内にいれば守護獣と化す。面白いいのう」
ベルヴェールは心で思う。
(さっきゼロツーが言ってたのと殆ど同じだな)
アンジェリカの説明をよそにベルヴェールはゼロツーに、ある物を渡す。
……
「コホンえっと……あれだ。まずこれを」
ベルヴェールは
魔石の状態で念話が送られて来た事を説明した。
「なるほどなあ、こいつは状況的に考えれば?? んーそうだな。多分ヴァンパイア。時間が出来て、暇になったら魔石と灰を調べて。それから何故? こんな魔巣窟に何処から来たのか。……辿るか」
ゼロツーはヴァンパイアだった灰と魔石を受け取り。
ベルヴェールに尋ねる。
「あっそうだ。渡してた武器達も返してくれる?? 生命ある創世魔術の素材にしちゃうから。あ、愛しいひと。…………コホン、ちゃう指輪は持ってていいから。詠唱の時に媒体として使ってもらう」
ベルヴェールは帰ったばかりだが、二人に尋ねる。
「その実際、刀や槍を使ったが、そのあれは間違いなく神器? ではないのか? 素材にしてもいいのか? あの使い勝手、効果を実際見て感じたが勿体なくないか」
アンジェリカは
ビクッと反応し、何やらソワソワしだした。
ベルヴェールは、そんなアンジェリカを横目に生命ある創世魔術陣の現在も作製中。
(マジックアイテムはゼロツーからいっぱい見せて貰ってるんじゃないか?? ほら? 残念な。
アンジェリカはそれでも、きちんと与えられた仕事を熟しつつ。
だが、やはり気になるのだろう。
チラチラとベルヴェールの使った神器、黒刀と透明な鞘、双刃の槍を見て。
出立前と同じ様子で、またブツブツと何か呟いてる。
(効果とかは知ってるんだよな?? なんだろう流石、天才魔術師? 生粋の研究者て感じだな)
……
ゼロツーがベルヴェールの質問に答える。
「いや、最初からそのつもりだったし。名前つけた時にも言ったろ? 親和性、同調性、少しでもベルヴェールとの結びつきが欲しかったから。使わせたの」
ベルヴェールは武器達をゼロツーに返し。
改めて二人に尋ねる。
「なるほどわかった。えっと黒刀と双刃の槍な。それで? 途中からだが、俺にも何か手伝える事はあるか??」
ゼロツーが答える。
「魔法陣はそのままアンジェリカに任せるとして、そうだな……素材を並べてもらうか」
ゼロツー、アンジェリカの三名は従来の魔法陣より三倍、四倍近く大きくなった魔法陣の最終調整を行っい。
ベルヴェールは自身で狩ってきた。
魔物達、特にグリフォンや番の
もちろん解体は初めてなので、ゼロツーにアドバイスを貰おうとしたがあしらわれそうなので、アンジェリカに教えて貰いつつ行う。
アンジェリカもグリフォン、
ある程度、目処がたった所でゼロツーが口を開く。
「よしそれじゃあ、三人で手分けをした場所、生命ある創世魔術の最終確認するか、まず担当した所を教えてくれ」
まずはアンジェリカが答える。
「うむ。我は大元となる中心の三つの魔法陣。それと重なりの魔法陣。かのう、周囲に関してはベルヴェール殿と一緒に行ったので同じく確認出来ればと」
アンジェリカが答えベルヴェールは頷く。
「ああ」
そして改めて確認する事になり。
仕方ないとゼロツーが話し出す。
「まあ、正直、最初の魔法陣は当初の空間、アンジェリカの部屋では広さが足りなかったしな」
ベルヴェールがなるほどな口を挟む。
「だから、入って来た時、普通の部屋と思ってたのにこんな馬鹿広いんだな」
アンジェリカが改めて説明を進める。
「であるからして。ゼロツー殿の冥界のダンジョンと繋がった空間で広々と魔術陣を描いた。そうじゃな。一番に目に入る。中心にある丸い円を描いた」
そしてとアンジェリカは続ける。
「魔術陣を元に、ほぼ同じ大きさで描いた。三つ山型に並べられた。魔術陣をそれぞれ上に重なる様に四枚のスクロールで重ね。それを一つとなっている」
アンジェリカはここぞとばかりセリフを放つ。
頑張るのよアンジェ!! by作者
「コホン!! その重なった魔法陣を中心とし、更に山形になった魔術陣と同じ大きさの
ゼロツーがベルヴェールに尋ねる。
「ここまで
ベルヴェールは察っした。
カンタムの
(また来たな。
躱すベルヴェール。
「十四を割って七つ囲んだんだろ? でも魔術陣から魔法陣に変えてあるのは?」
ゼロツーは
「フフ……それはニュータイプだからだよ」
ベルヴェールはすかさず。
「もう!! セリフも説明もアウトーー!!」
戸惑うアンジェリカ、仕方ない。
「あのーニュータイプ? ドラグーン・システムとは」
ここでは唯一の地球人ではないのだから。
ベルヴェールも前世はでは知らないはず。
転生した際にゼロツーとも融合した影響だろう。
ベルヴェールはアンジェリカに言う。
「いや!! そこを聞いちゃ駄目だから」
ゼロツーは面白そうにしながらも、カンタムの話しでなく。
真面目に魔術陣の質問に答える。
「簡単に言うと魔術陣と魔法陣を使ってるのは、お前の名前に付けた。
ベルヴェールは何故か悔しそう。
(そこはボケないのか)
「くっ!?」
ゼロツーは思う。
(お? くっころか? でも男じゃなあ。BLでありそうではある。でも今の俺、影だし?? ごめんなしゃどーう。影だけに……フッ)
アンジェリカは尋ねる。
「なるほど。そう言う事だったんですね。ここまででも、かなりの大きさなのですが、七つもの囲んだ。更に同じ大きさの、こちろも魔法陣が三つ並び。それに信号機?? でしたか?? そのような不思議な形になってていたので」
ゼロツーが引き継いで説明する。
「その信号機、もとい横一線に引かれた両端の丸い魔法陣。それには、それぞれアンジェリカの用意した。マジックアイテムや素材や……あ!」
そして思い出したかのようにベルヴェールに尋ねる。
「そういえば。外で倒した素材は??
「なっ!?」
反応したのはベルヴェール。
適当の一言はあまりいい気持ちはしない。
それもそうだろうアンジェリカも同じ気持ちの様子だ。
人知れず心を読めるゼロツーは思う。
(適当て丁度いいて意味もあるんだがな)
…………
だが皆、いやゼロツーの指示? 指導でここまで魔術陣、魔法陣を組み立ててるのだ。
ベルヴェールは解体を澄ませた素材を言われた通りに指定された円に置いて行く。
ゼロツーが反対側に向かい一言。
「じゃあ俺はこっち」
そういうと、ベルヴェール達とは反対側の魔術陣にはゼロツーが用意した。
神器と呼べる程の杖や、剣、ベルヴェールが使った槍や黒刀、そしてアクセサリーの類がアンジェリカと比べると多く用意してあるようだ。
ゼロツーは更に他の魔法陣よりも外側に向かい。
「んじゃ俺は魔術陣と魔法陣追加するわ。アンジェリカはそうだな、
ゼロツーはそう言うと最終確認の為、外側の魔法陣により細かな言葉が紡ぐられ言葉、文章を追加していく。
ベルヴェールは思う。
(魔術式? 錬金術式? てやつか)
ゼロツーの描く言葉には数式や記号と様々な文字、そして地球の文字もある。
アンジェリカはアンジェリカでゼロツーに言われた通りにしぶしぶ運ぶ。
騒がしい
……
ギャーギャーと騒音の大合唱中だ。
(う、うるさい)
アンジェリカは無事に運び終わり。
一つの疑問をゼロツーになげかける。
「素朴な質問なんじゃが、何故? ゼロツー殿は、これまでの
「ああ、それ俺も思った」
ベルヴェールも同意する。
ゼロツーは魔法陣に文章を書きながら呆れて言う。
「
アンジェリカははーと頭を押さえてる様子。
ベルヴェールも同じく呟き思う。
「ええええ……」
(やっぱり神様こわい)
ゼロツーはボソッと呟き。
「そうかよ、それはそうと二人とも」
ゼロツーは改めて作業を続けるようにアンジェリカとベルヴェールに指示をだし。
七つの円の魔法陣に魔術で描いた赤い液体の入った樽をそれぞれ運ばせる。
アンジェリカは運びながら思う。
(何かは分からないが察するに骨等の樽か?)
ゼロツーは言う。
「それを魔法陣にだ。それぞれ、二十八個全てに重なりあった七つの魔法陣。その中にある。十四の円にこれを置いてくれ」
……
ゼロツーの指す物を見てみると金銀財宝。
二つずつ並べられ種類の違う剣や天秤。
金剛石だろうか? で出来た盾など様々なマジックアイテムが振り分けられている。
ベルヴェールとアンジェリカは二手に別れ運んで行く。
ゼロツーは今度は中心の魔術陣に移り。
二人に一言。
「驚くなよ??」
そう一言。
…………
ガラガラガラ
我等
――我等
――吹
ド轟ッ!!!!
…………
……
ゼロツーは徐ろに亜空間倉庫から宝石や魔法金属を山のようにと言っても過言では無いだろう。
何故なら出した瞬間に雪崩れが起きたのだから。
ゼロツーは二人に大きく三つ横に並んだ魔法陣に適当で良いから散らばって置けと曖昧な指示を出して。
ベルヴェールは渋々従う。
「この量を? ……はあ、まじかよ」
アンジェリカは自分が作った。
魔法陣が別物になって行く悲しみより。
ゼロツーの次々に出す。
希少素材アイテムを見て。
もはや思考は追いつかず。
ゼロツーの傀儡と化している。
ベルヴェールが不意にボソッと一言。
「ゼロツーは俗に言うびっくり素材の玉手箱なのかもしないな?」
ゼロツーは聞き返す様に。
「は?」
ただ続けてベルヴェールに返事をする。
「素材の玉手箱? そうかもな。お前らも
ベルヴェールが聞き返す。
「ウェブテスト?? なんで? そんな返しになるんだよ。関係なくないか?」
ゼロツーは言う。
「まだまだ
ベルヴェールが突っ込む。
「いや、だからなんの!? そんな魔術はいやだ」
ゼロツーは面倒くさいそうに手を進めながら、
ベルヴェールと、アンジェリカはゼロツーに慣れてきたのか心の中で思う。
(ゼロツーて)
(ゼロツー殿は)
『なんだかんだ優しい』
玉手箱
……ウラシマタロウの玉手箱ではない。
企業が新卒の選考で採用する。
ウェブテストの名前である。
故に
就活生の能力。
性格の傾向。
客観的に評価し。
自社にマッチしているか? どうか?
判断すること。
ベルヴェールが口開く。
「なんだが思ってたのと違う」
ゼロツーはすぐさま言い返す。
「だったら口じゃなくて手を動かせ」
ベルヴェール仕方ないと他の作業を指示に従いながら補佐する。
そんな中でアンジェリカが質問する。
「はい」
ゼロツーが答える。
「なんだ? もう玉手箱は良いだろ? 本当に時間を忘れて時が経ちそうだ」
アンジェリカは魔力操作だろうか。
? マークを頭に文字通り浮かべてる。
(その魔力の少ない体で本当器用な奴だな)
改めアンジェリカは地球人ではない。
御伽話しなど説明されても、解らないだろう。
ゼロツーは改めて聞き返す。
「なんだ?」
「その素材についてなんじゃが」
「うん」
「我の持ち合わせてる。素材も使えないかと思うてのう……」
「ちなみになんだんだ??」
「その……
――静
一瞬シーンとした時間が流れる。
『………………』
ゼロツーもベルヴェール、二人の反応に違いはあれどアンジェリカに改めて聞き返す。
『
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