隠キャボッチの俺が、金髪碧眼・巨乳で陽キャな学校で一番可愛い『花守 花音』さんに懐かれました〜俺、いつものようにソロキャンプしてただけなんですけど〜
第18話 GW明けの皆の反応。そして花音が俺の妻に!?
第18話 GW明けの皆の反応。そして花音が俺の妻に!?
「なんとかギリギリ! すっごく美味しかったよねぇ!」
「またやんないかなぁ……焚き火バームクーヘン……」
どうやらあの日、Cafe KANONに来客しただろう女子のクラスメイトたちはスマホの画面を見つつ、キャッキャしている。
俺もKANONさんのSNSを確認したけど、焚き火バームクーヘンがプチバズをおこしていたようだ。ほんと、あの日頑張ってよかったと思う。かなりの報酬もいただけたわけだし。
「なぁ! 花守さんに彼氏ができたとか、そういう噂知らないか!?」
と、今度は妙に焦った袴田くんの声が聞こえてくる。
「な、なんだよ袴田、藪から棒に……」
「だ、だって! KANONさんのページに、チラッと男っぽい肩が写っていたんだぞ!?」
俺もそれは確認していた。まぁ、顔も何もわからない、バームクーヘンを焼く俺の肩がチラッと写ってしまっていただけなので、別に良いやと思っていたけど、まさか袴田くんを焦らすことになるとは……
「バイトの人だろ? 多分?」
「も、もしかして彼氏なんじゃ……! ゴールデンウイークは花守さん、彼氏とあんなことやこんなことを……!」
「悪い、袴田……想像力が豊かすぎる今のお前キモすぎる……」
聞こえてしまった袴田くんの言葉を聞いて、俺も正直キモいと思った。
だいたいお前が花音のことをあれやこれやと考えるのはおかしいだろうが。
まぁ、良い。あんな奴のことは放っておいて、俺はRINEを開いて、花音へのメッセージ送信を開始する。
何かと忙しい花音なので、こうして送れる時にメッセージを送っておいた方が良いのだ。
A.KOUDUKI『次のキャンプは遠出をしようと思って』
花音へ、ずっと憧れていた県境の山の中のキャンプ場の詳細を提示する。
ここはよく整備され、レストランや温泉施設などもある、人気の場所だ。
しかしここはファミリー利用限定で、俺のようなソロはお断りなところだ。
でも俺のそばには花音がいてくれている。
花音『いいね、ここ!』
と、即効既読が付き、メッセージが帰ってきた。
A.KOUDUKI『返信はやっ!』
A.KOUDUKI『今日は種田さんと昼食じゃ?』
花音『そだよ~』
花音『話しつつ、RINE打ってますなう』
なんと器用な……まぁ、陽キャな人の中にはそういう芸当ができる人がいると聞いたことはあるが。
A.KOUDUKI『別に後でも良いのに』
花音『だってすぐ返したくなるんだもん!』
花音『葵くんには!』
花音『だから
――俺にだけは……そういわれると、無茶苦茶嬉しく、同時にとても恥ずかしく思う俺だった。
花音『で!』
花音『このキャンプ場だと私、電車、バス、歩きで向かうことになるね!』
あー、そういえば、このキャンプ場って車やバイクでないと、結構アクセスが複雑なんだっけ。
まぁ、順調に行けば、最後の徒歩は10分程度なんだけど……
A.KOUDUKI『ごめん、花音のアクセスの仕方失念してた』
A.KOUDUKI『別のところにします……』
花音『ここ、レストランもあるんだ!』
花音『イタリアン、美味しそう!』
花音『温泉も!』
花音『ここにしよ!』
花音『私、ここがいい!』
花音『ちょっとした旅行気分にもなれるし!』
俺に気を遣ってなのか、花音からの妙にテンションの高い連続ポストが舞い込んでくる。
A.KOUDUKI『いやでも……』
花音『このキャンプは葵くんへのお礼もあるんだから!』
花音『だから、葵くんの行きたいところを選んで!』
花音『だって、ここ家族じゃないと入れないんでしょ?』
花音『ってことは、その日の私は葵くんの、』
なんでそこで文章切るのよ!?
花音『ごめん……』
花音『送信ミスった』
A.KOUDUKI『妻ってことにしときます』
例えば予約を取るための設定とはいえ、花音のことを妻だなんて……こっぱずかしぃ……!
花音『ラジャー!』
花音『妻役、頑張りますっ!』
花音『当日はいっぱいラブラブしようね』
花音『あ・な・た♩』
A.KOUDUKI『だから、これはあくまで予約を取るための設定で!』
花音『じゃ!』
それっきり俺のスマホはおとなしくなってしまった。
花音のあのポストへ返すのも、なんだかアレだし……
とりあえず、オンラインでキャンプ場の予約でも入れておこうと、キャンプ場の予約サイトへアクセス。
プランを選んで、詳細入力……うわぁ、なんだよ、この氏名記入欄……フルネームで参加者を入力しないとダメなんだ……徹底してるなぁ……
香月 葵と花守 花音……じゃなかった……『香月 花音』……っと……
たとえ、設定とはいえ、自分の苗字に花音の名前をくっつける。
それがどれほど恥ずかしいことか。
●●●
「さて、今日明日は長旅だから、しっかりよろしく頼むよ相棒!」
俺はそう愛車のスーパーカブへ語りかけ、発進させる。
今日は花音との県境の山の中のキャンプ当日。
まずはこの街唯一の駅の、バス停へと向かってゆく。
駅前は休日ということもあり、都会からの人や外国人観光客でごった返していた。通常の土日でこれなのだから、この間終わったばかりのゴールデンウィークはどうだったか、容易に推しはかれる。
「おっはよー葵くん!」
駐輪場にカブを止めバス停に向かうと、いつものマウンテンパーカーを羽織り、荷物を持った花音と出会した。
「おはよ。相変わらず保冷バックすごいことになってるね」
「えへへ! 今回も気合い入ってますから! じゃあ、これよろしく!」
俺は花音から、保冷バックを受け取る。
今回は俺のわがままでかなり遠出となり、花音にはとても苦労をさせてしまう。
そこで保冷バックは俺がバイクで持って行くと決め、こうして出発前に顔を合わせているのだ。
「中身はお楽しみだから、異変を感じた時以外は開けちゃだめだよ。わかった?」
「了解。っと、来たみたいだよ」
バスストップへ、大型バスが横付けされた。
「じゃあ、あっちでね! 運転、くれぐれも気をつけてね!」
「花音も寝過ごしたりするなよ」
花音は笑顔で大型バスへ乗り込んでいった。
花音はこのバスで県庁所在地へ向かい、その駅から在来線に乗り換えて、市民バスに乗り、最後は徒歩といったとても複雑な経路を辿ることとなる。ほんと、田舎って車かバイクがないと、まともに動くことさえままならないと改めて感じた次第である。
しかしバイクがある俺であっても、今回の道程はちょっとしたツーリング気分だ。
「さて、俺もそろそろ」
花音の見送りを終えた俺は、預かった保冷バックをバイクにくくりつけ、いざキャンプ場へ。
俺の場合は、まず山を越えて県庁所在地へ入り、そこから国道をひたすら走るといった経路だ。
花音ほど複雑ではないものの、単調な道を長時間走ることとなる。
せっかくの花音とのキャンプなんだから、道中での事故なんてもってのほかだ。
俺は慎重に運転をし、まずは山を越えた。
そして予定よりも早く、県庁所在地である街中に入る。
時間は予定よりも若干早い。
そう判断すると、ふと、少し寄り道をしてみようかといった気持ちが湧き起こる。
そこへいったところで何が変わるわけでも、ましてや会えるわけでもない。
むしろ会えたところで、今更どうするんだと思う節はあるものの……それでも、せっかく山を越えてきたのだから、せめて今、
「でかい学校だなぁ……」
今、樹が通っている学校は私立山内学院大学の附属高校だ。
この学校はスポーツに無茶苦茶力を入れていて、オリンピックや国体の選手なんかをバンバン排出しているし、そのための立派なトレーニング施設や、学生寮がそこかしこに建っている。
そして樹は水泳の選手として、特待生でこの学校に入り、今目の前にある立派な屋内プール施設で日々泳ぎに専念している、と思う。
【
いや……樹は悪くない。悪いのは俺の方だ。
もしも、あの時、お互いにボタンのかけ違えさえなければ、俺と樹は……だけどもし、俺のそばに今でも樹がいたら、花音とはここまで仲良くならなかった気もする。
「頑張れよ、樹。めざせ、オリンピックだ」
せめて言葉だけでも、以前のように、親友として……
俺はひょっとすると、この施設の中で一生懸命泳いでいるかもしれない樹へエールの言葉を送り、カブのギアを入れる。
「ーーっ!?」
その時、ちょうど施設から出てきた、男子学生のように長ズボンを履いた、ショートカットの女性生徒と目があった気がする。
まさかと思いつつ、俺はより深くアクセルを捻って、施設の前から走り去る。
"おいくんっ!"
すると、長ズボン履いた女子生徒は道に飛び出してきて、バックミラーへその姿を写し、そう叫んだような気がした。
【ご案内】
本日より近況ノートにて陰キャンプ・スピンオフ第一弾:『俺は長ズボンを履いた不思議な女の子『木村 樹』と友達になる』を掲載いたします。
なお、こちらの作品は一部分を<サポーター限定公開>といたします。あらかじめご承知おきください。
ぶっちゃけ、このサポーター限定公開部分は本編では決して描かない、暗ぁ〜くて、少々辛い部分となります。なのでそういうのが大丈夫だったり、本編とのギャップを楽しみたい方向けの部分となります。
またこちらのスピンオフを読まずとも、本編はご理解いただけるようにしております。ただお読みいただければ、本編の深みが増すかと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに第二弾もありますので、掲載開始の際はこのような形でご案内いたします。
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