公園に寄った私がみたもの感じたこと

コラボイズ

つまらない日々

 眺めていることしかできなかった。


 カラスの鳴き声がやけに癇に障る。明日は大学の成績公開日である。


 手を繋いで歩く人々や幸せそうな家族を見ると、胸のどこかが締め付けられるように感じる。


 高校の頃想像していた華やかな大学生である自分はどこにもいない。だらだらと毎日を過ごしたことで大きくなった体で足元が見えず、何かにつまづき転びそうになった。


 少し前の方にある飲食店から出てくるのは、かつて私が入っていたサークルのメンバーたちだろうか。あの金髪の人を見たことがある気がする。


 私は大学入りたての頃、入学式でたまたま勧誘された外国の子供と遊ぶサークルに入っていた。大学に入ってサークルに入る気は無かったが、あの金髪からの勧誘を断るだけの度胸は持ち合わせていなかった。初めの方はサークルに顔を出していたが、だんだんと顔を出す回数が減り、入学後1ヶ月経過する頃には、行かないようになっていた。


 それからは特にバイトをすることもなく、日々を過ごしていた。


「二次会いく人〜」金髪の男が言っている。次々と手を挙げ、ほとんどの人が手を挙げた。


「あれ、御無向ごぶむかいじゃん、久しぶり」後ろの方から私の名前が呼ばれ、振り向くと背の高い男が立っていた。


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