【六話】

第7話

六話 シナリオ


その日を境に梶とのメッセージのやり取りが始まった。由宇は梶に、岬と倫也のことを洗いざらい話をしていた。そして離婚するべきか悩んでいることも。

そんな由宇に梶は「よかったら弁護士を紹介しますよ」と言った。聞けば兄が弁護士なのだとか。

由宇はこの先、倫也とやり直すのは難しいのではと感じていた。それに楓をこんな劣悪な環境で育てられるはずがないと思い、離婚を決めるのだった。


梶同席のもと、彼の兄と会うことに。まずは今までとっておいた浮気の証拠を提出した。そしてこれからの段取りや、やるべきことを梶の兄にレクチャーしてもらう。離婚と一言でいってもやることが膨大すぎて、由宇は聞いただけで目が回りそうだった。だけど一度やると決めたら諦めないのが由宇の強み。それに梶がいると思うと、心強かった。梶に対して好きだとか恋だとかいった感情ではなかった。ただ自分の味方でいてくれるのが嬉しかった。


着々と離婚の準備を進めるさ中、梶と由宇が保護者の間で噂になっていることがわかる。楓は友達から仲間外れにあい、由宇は保護者から無視されるように。そして梶は他の園に飛ばされるかもしれないというのだ。


それを知った倫也が激怒し梶の元へ。そして口論に。

「由宇は渡さない!」

激高する倫也に対し梶は冷静に対処。そいう言う関係ではないと言い切った。年下なのに大人な態度で守ってくれた梶に、由宇は思わずきゅんとしてしまう。


保護者の間で噂になっていること、夫婦のことに巻き込んでしまったことに責任を感じ、由宇はこれ以上の協力は遠慮すると梶に伝える。だが梶は「それでもあなたを守りたい」と強い口調で言った。この時点で梶は由宇に惚れていたのだ。

「園には自分からきちんと説明します」と梶に説得される由宇。梶はその後も由宇がピンチの時や辛い時は駆けつけてくれた。


倫也の不倫が発覚してから半年がたった頃。由宇の両親、倫也の両親、そして弁護士同席のもと、離婚の協議が行われた。ここで倫也の母が由宇に対して暴言を吐く。倫也が不倫したのは由宇が悪いからだと。離婚なんて許さないと母はわめき散らかすが、父親がまだまともな人だったため、なんとか母親を黙らせ由宇に謝罪。

倫也は最後まで離婚を拒んでいたが、父親に説得されしぶしぶ離婚届に判をする。

由宇は自分が放った無責任な一言で、たくさんの人の人生を変えてしまったと、痛感していた。

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