第4話 ソウグウ(4/8)

 久しぶりに家族そろっての夕食。

 わが家はパパが不在がちだから、貴重な団らんのひと時だ。

 それなのに、こんな沈黙は絶対にまちがっている。


「なんだか、お見合いみたいでし。ああ、オジョーサンヲクダサイの場面でしか?」


 ちがーーーーうっ!


 テーブルを四人で囲んでいる。私の前にはパパとお母さん。私のとなりには銀色。

 何をどう話したらいいのかわからない。

 パパは宇宙人をずっとにらんだままだ。


「こんな所にいたなんて……」


 パパが放心状態でつぶやいた。

 パパは昔からUFOとか宇宙人に興味があって、時々出かける星空観察も星ではなくUFOが目的だから、かなりガチだ。

 日本がほこるスーパーミステリー雑誌「月刊ウー」なんかは、それこそ子どものころから欠かさず愛読しているという。

 でも、さすがのUFOオタクも宇宙人の存在は半信半疑だったのかな。

 いきなりウチにいるし。


「スミマセン」


 宇宙人の方は、なんだかあせっていた。

 大人の人間にみつかって、やっぱり身の危険を感じたのかな。緊張しているのかもしれない。

 でも次の瞬間、二人はテーブル越しに手を伸ばして、かたい握手を交わした。

 なんなの、この展開。

 満面の笑みを浮かべているパパは、絶対に地球人を代表した気になっている。


「ごめんなさいねえ。ウチは社宅でせまいからお客様用のお部屋を別には用意できないのだけれど、パパの部屋に寝袋を出すから、寝る時はそっちに行ってもらって……」

「ちょっと、お母さん? なにお客様あつかいしてお泊まりの話を進めちゃっているの?」

「え? だってこの子、葵のお友だちなんでしょう?」

「葵ちゃんスゴいね。超国際親善だよ?」


 えー……。

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