第2話

 去年の十一月、バスケ部員三年生の引退試合。

 第二中と同じ市内にある坂下中が対戦相手だった。

 先生同士が仲が良いみたいで、あちらも同じく三年生の引退試合とのこと。

 合同で市の体育施設を貸し切って行われ、結果は接戦の末、うちの中学校の勝ち。

 相手チームは、そこまで強いわけじゃなかったけど、第三クォーターまでポイントガード一人に振り回されていた。

 それが、彼『真柴ましばあおい』くんだったんだ。

 たった一人でドリブルで切り込んでくることもあれば、フェイントで味方にパスを出して攻めさせたり、臨機応変に動き回る。

 人一倍小さい彼は、すばしっこくもあって攻撃性抜群。

 いつしか彼の動きから私も目が離せなくなってしまうほどに巧くて、うちのチームは一時は負けていたのだけれど。

 インターバルを置いて第四クォーターが始まって一分も経ってない頃だった。

 うちのパワーフォワードと競り合って、体格差で負けた彼が弾き飛ばされた形になってしまう。

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