ワールドスター

葉っぱ

第1話

それは、彼の努力の姿に憧れてから始まった。

たまたま、見かけたその姿。努力を重ねるその姿に

自分より一歳は年上かと思うぐらいの男の子が空き地でボールを蹴りながら走る姿。

ひたすらそれを繰り返すその姿に魅せられる。

だからぼくは話しかけた。


ーあの、こんにちは


そう、話しかけたら彼は、それを一旦やめて、不思議そうにオレンジの目を俺に向けた。


あの、ー


きっかけは、おれ、だけど。


このとき、先輩、どうしたら良かったんだろう。


俺、おれ

ーーー


教科書に載っていた不思議な世界の話、

幸せはどこ、って言う名前の世界、

俺が居る世界は、自分、と言うらしい。

なぜ、かと、言うと、

幸せはどこ、の世界の人々の中で、

リーダーの人がこう言ったそうだ。


幸せはどこ、自分、


みなさまが教えて下さいました。


自分が決めて良いのだと、

教えて下さって本当にありがとうございます。


話はそこで伏せられていた。



ああ、痛いなあ。


何度も蹴られた腹を摩ることも出来ずに、地に横たわるまま顔を蹴られる。


「ワールドスターを取ってこい。」


「い、やです。」



ワールドスター、世界の星、この世界の中心、軸となる人物が持つ星のこと。


ぼくの"前"の人も今から10年前にその世界の軸のワールドスターを奪うことが出来ずに結局、仲間に''消された"。


だが、"消された"が唯一救いなのは未だにそのひとが"忘れられる"ことなく、捜している人たちがいる。


ワールドスター奪われてしまえば、その世界は時を止めて、その間に世界を支配され、全てのいのちは他の世界向けての商品にされ売られ、人口的に、例え人間やまたその世界で地球以外のいのちも星も実験体になり、他の世界向けての商品製造(戦争に使う化学兵器など)、そして、

そして、世界を壊し、ワールドスターも、

用済みとして、壊され、世界に帰れずに、

囚われて、世界奴隷になる。



とくにこの世界は、能力者の宝庫。


世界を支配したら、支配者である異界人たちの貴族は、大人だろうが子供だろうが殺し合いのコロシアムを観戦する。


嗚呼、吐き気がする。


ギリッと、また頭の上にある足が力強く踏む。


「ナナシロ、お前はアイツのように逆らうんだな、なら


ー実験させてもらうぜ、スタジアムを真っ赤に染めてなっ!」


「!?」


ぐ、と、痛みに堪えながら、

駿馬先輩の所へ行こう、そう思って、

飛ぼうとした時、頬を殴られた。


「うっぜえんだよっ、このっ、偽善者がっ!」


その言葉に合わせて、腹に蹴りが、後頭部に激痛が走る。


「がはっ」


そのときだった。


「やあ、こんにちは」

 力、欲しくないかい


「嫌です、いり、ません」


あなたは、知りました。


我々を、ね。

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