第17話幼黒石竜子

 幼黒石竜子ってどんな姿をしてるんだろう?

 せっかく念願のドラゴンに進化したんだから、自分の姿を見たいよね。


 そう思った私が自分の姿を見れる物を探していると、洞窟の奥に小さな池があるのを発見した。

 洞窟に池? 地下水脈から湧き出してるのかな?

 〖暗視〗のLVが上がって良く見えるようになったし、ここなら水面に映った自分の姿を見れるかも。


 そう考えた私が水面に身体を映すと、そこには背中に小さな翼を持つ黒いトカゲの姿が映っていた。

 えっ? これって私……?

 トカゲじゃん! ドラゴンになってないじゃんかよ!

 クッソ騙された! どういう事なの、教えて天の声の姉さん!


【石竜子は本来トカゲと読みます。幼黒石竜子ようこくせきりゅうしとはこの種族の当て字です。つまり石竜子はリザード系の種族でありドラゴンではありません】


 私には天の声の姉さんが喋ると同時に、ウィンドゥに日本語の字幕が映って見える。

 つまり、竜の字があったからドラゴンに進化したと勘違いしたってことーーーッ!

 わかりづらいわ!

 ちっくしょー、ぬか喜びだったのか……。


【ただし、竜の字が示す通り、竜へ進化する可能性を秘めています】


 おおっ! まだ期待できるって事か!

 他の種族に進化してたらドラゴンになれなかった可能性もあるし、幼黒石竜子を選んだ私の選択は間違っていなかったわ。

 これも運命を操る(自称)我が力が働いたのかなぁ?

 ドラゴンに進化できる確率は〇%とか教えてくれたらわかりやすいのにね。

 

 次は新しく取得したスキルを見てみよう。

 〖飛行〗〖隠密〗〖闇魔法〗〖麻痺耐性〗〖魔法耐性〗だ。

 〖隠密〗は蟻地獄が持っていた気配を隠すスキルだね。

 他はどうなんだろ?


【〖飛行〗スキルとは翼で風を受けて飛ぶのではなく、魔力で空を飛ぶ飛行スキル。その場で滞空する事もでき、自由自在に空を駆ける事ができる。スピードはスキルLVと魔力のステータスによって変化します。使用中はMPを消費し続けるので注意が必要です】


 へー、思ったより汎用性の高い便利スキルだね。

 移動も楽になるし、自由に空を飛べるなんて気持ちいいだろうな。


【〖闇魔法〗とは闇属性魔法を操る魔法スキル。LV1で使えるダークミストは、黒い霧を発生させる魔法です】


 闇属性魔法か、ダークミストは相手の視界を奪って不意打ちしたり、戦略的撤退をする時に使えそうだね。

 使い方次第で応用が利きそうなスキルだ。


 〖麻痺耐性〗と〖魔法耐性〗はそのまんま、麻痺と魔法に対する耐性だった。

 耐性はなんぼあっても困らんし、持ってるだけで効果のある便利なパッシブスキルだ。

 他にもいろんな耐性があるだろうし、耐性シリーズは今後も揃えていこう。


 次は貯まったスキルポイントを使って新しいスキルを取得しようかな。

 現在のスキルポイントは1480ポイント。前回取得できなかった〖HP自動回復〗〖MP自動回復〗、さらに新しいスキル〖痛覚緩和〗、この三つを取得するわ。


【通常スキル〖HP自動回復LV1〗を取得しました】

【通常スキル〖MP自動回復LV1〗を取得しました】

【通常スキル〖痛覚緩和LV1〗を取得しました】


 私がスキルを選択すると、天の声がスキル取得を告げた。

 よっしゃ、これで回復手段が増えたわ。

 HPとMPが自動回復できるのはかなり有用なスキル。

 〖痛覚緩和〗を選んだのは戦いの最中に痛がっていたら隙ができるし、単純に私が痛いのが嫌いだからだ。

 私が特別痛がりなんじゃない、誰だって痛いのは嫌でしょうよ。


 これはかなり強くなったんじゃないの?

 このどんどん強くなっていく感覚楽しいー! ゲーム好きにはたまらんね。


 その後、私は新たに得たスキルを試してみる。

 〖ダークミスト〗は任意の場所に黒い霧を発生させる事ができた。

 まだ範囲は狭いけど上手く使えれば応用が利きそうな魔法だね。


 残念だったのは〖飛行〗のスキルだ。結論から言うと、私は飛べなかったんだ。

 なんでだよ!

 いや、正確にはちょっと体が浮いたけどね。私は自由に空を飛びたいんだよ。

 魔力が足りないのか? それともスキルLVの方か?

 どっちにしろ私が空を飛べる日はまだ先になりそう……。


 さて、新しいスキルも試したし、次は何をしようかな?

 次にやるべき事を考えていると、グゥ~ッと低い音が洞窟に響いた。


 まさかまだ敵が潜んでいたのか!?

 なんてね、私のお腹が鳴った音だよ。ってか、進化するとやたらお腹が減るんだよね。

 さっき倒したストレイドッグを焼いて食べるか。


 私は外で薪を集めて戻ってくると〖着火ライター〗で火をつけた。

 えへへ、私ソロキャンで焚火するのって憧れてたんだ。

 焚火の炎のゆらぎを見詰めていると、なぜだか心が落ち着くんだよねぇ……ゲホッゲホッ……ッ!

 狭い洞窟の奥で焚火はまずったか……煙が充満するぅ……一酸化炭素中毒で死んじゃうぅぅ……ッ!

 こっ……これは早急に改築工事が必要だわ!


 〖ダート〗を使って急いで煙突を作り、なんとか煙を外に逃がす事に成功し、ストレイドッグを完食する事ができた。

 因みに味はカエルや蚊や蜘蛛に比べたら美味しかったよ。モグラより美味いくらいだった。

 でも、素材の味だけだと物足りなく感じてしまう。


 塩とか調味料があればもっと美味しいんだろうな。森に探しに行ってみるか?

 例えばさっき食べたストレイドッグの肉、あれは素材の味と言えなくもないけど味気なかったしありだな。

 よし! 次にやる事が決まったぞ!

 美味しい料理を作るためにも調味料集めだ!

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