転生したらトカゲだった~進化を重ねて最強のドラゴンになれ~
ギッシー
第1話転生したらトカゲだった
ある日目が覚めたら真っ暗な空間にいた。暗すぎて辺りは何も見えない。
何これ! どうなってんの!? ……取りあえず起きるか。
──ぁ痛ーいッ!
そう思い身を起こすと思いっきり頭をぶつけて身もだえする。
なによもう! あぁ頭痛い……。
あっ! でもさっきぶつけた所が欠けて光が漏れてる。
どこかに閉じ込められてたって事かな?
ん~、まあいっか。あそこを割れば外に出られそうだわ。
そう考えた私は痛む頭を我慢して、もう一度天井に頭突きを食らわせる。
何で頭が痛いのに頭突きかって? なぜか手も足も届かないからだよ!
おっかしいなあ、私の手足ってそんなに短かったっけ? 別にモデル体型だったわけじゃないけど、頭の上まで手が届かないはずないのに……。
それはともかく、私の頭突きが炸裂するとパキパキッと小気味いい音を鳴らして天井が割れ、ズボッと頭が外に飛び出した。
そこで私の目に飛び込んできたのは、鬱蒼とした森の景色だった。
何これぇええーーーッ!
私自分の家で寝てたはずなんですけどぉおおーーーッ!
……あれ? 自分の家ってどこだっけ?
日本だったのは確かだけど何県……?
よし! 記憶を整理しよう!
私は十七歳の女子高生だった……はず。
名前はなんだっけ? 思い出せない……。
ん~、これって記憶喪失ってやつ? それに加えてなんか体も自由に動かない。
あっ、そっか! 私が閉じ込められてた所から頭だけ飛び出してるからだ。
まずはここから抜け出そう。
私は体に力を込めて閉じ込められていた場所から抜け出した。
これって何かの卵……だよね? 私、何でこんな場所に閉じ込められてたんだろ?
まあいっか、取りあえず喉が渇いたよ。
何か飲み物はないかなぁ……おっ、ラッキー! 都合よく湖があるじゃん!
よっこいしょっと──フギャッ!
木々の隙間から覗く湖に向かおうと身を起こすが、コテンと後ろにすっ転んでしまった。
あれ? なんか二本足で立てないんですけど?
だがしかし! 喉が渇いて死にそうな私に湖に行かないという選択肢はないのだ。
こうなったら這ってでも前に進んでやるぞ!
身を捻じり腹這いになった私はある事に気がつく。
あれ? 獣みたいに手をついた四本足でなら立てるぞ。
それに、辺りの草木がやたらと大きく見える。なーんか嫌な予感がするなぁ……。
胸のざわめきを感じつつも見通しの悪い獣道を進む。
そして、湖に辿り着いた私は水面に映った自分の姿に衝撃を受けたのだ。
なんかトカゲになってるんですけどぉおおおおおおおッ!!
おおおお落ち着け私、まずは水を飲もう。
グビグビグビッ、ああ美味しい生き返るー!
ふう、ちょっとは落ち着いたわ。落ち着いたところで脳が回転してきた。
これはラノベやアニメでよくある異世界転生ってやつだ。
私もオタクとしてそういう作品を嗜んできたから断言できる。
でもさあ、そういうのって凄い力を秘めた美少年とか、王侯貴族の美少女に転生するから楽しいんだよ。
そりゃあ変わり種の人外転生物もあるけどさ、どうせなら私は美少女のお姫様になりたかったよ!
誰が好き好んで爬虫類に転生するってのさ!
まっ、世を恨んでいても始まらない。試してみるか、お約束ってやつをね!
ステータスオープン!
―――――――――――――――――――――
種族:スモールレッサーリザード
ランク:F
LV :1/5
HP :4/5
MP :2/2
攻撃力:2
防御力:3
魔力 :2
素早さ:7
通常スキル
〖鑑定LV1〗〖鱗LV1〗〖気配探知LV1〗
〖思考加速LV1〗
耐性スキル
〖物理耐性LV1〗
称号スキル
〖転生者LV――〗
スキルポイント:100
―――――――――――――――――――――
私がステータスオープンと唱えると、目の前に半透明のステータス画面が出現した。
ほんとに出たーーーッ!
なるほどねえ、この世界はゲーム的要素のある異世界ってわけだ。
ふむふむ、種族スモールレッサーリザード、つまり小さくて劣ったトカゲって事?
それについて不安はない。
こういう系のゲームにはあれがあるからね。
たぶん大丈夫でしょ。
ステータスひっく! ま、まだLV1だし!
成長すればきっと強くなれるわ……なれるよね?
ってか何でHP1減ってんのよ!
あれか? 卵から出る時に頭ぶつけたからか?
HPが5しかないって事を考えると、割と危なかったんじゃないか?
無事出れたからいっか。
そして何より、〖鑑定〗あるじゃん! 異世界転生といえば〖鑑定〗と言われるほどの有能スキルだよ。
あっ、称号スキルの所に転生者ってある。やっぱり私は異世界転生したのね。
人外転生させられた時は神を呪ったけど〖鑑定〗様を用意してくれるなんて、この世界の神も捨てたもんじゃないわね。
このスキルポイントってのは何かしら?
「ゲコ―ッ!」
私がステータス画面に気を取られていると、大きな鳴き声と共にお腹にヌメッとした何かが巻き付いた。
キャッ! なんか粘々したのが身体に巻き付いてる!
何者だ!
振り向いた先には、大きなカエルに似た生き物が舌を伸ばして私の体に巻き付け、自分の方に引き付けていた。
キャーッ! エッチスケッチワンタッチ―ッ!
乙女の体を舐めるなこの変態カエル!
さては私を引き寄せて食べる気だな!
つーか〖気配探知LV1〗仕事しろよ!
ぜっっっんぜん気付かなかったぞ!
LV1だから効果薄いのかな?
って、よく見たらHP3に減ってるんですけど!
死ぬ死ぬ死んじゃうーーーーーーッ!
「ゲ~~コッコッコッ!」
舌長カエルは勝利を確信したように高らかに笑う。
こういう時、異世界転生した主人公たちはどうしてた?
そう! 答えは〖鑑定〗だ!
いっけー! 〖鑑定LV1〗発動!
私がカエルを視界に収めて念じるとカエルのステータスウィンドウが表示された。
―――――――――――――――――――――
種族:スモールレイクフロッグ
ランク:F
LV :1/5
HP :4/4
MP :2/3
攻撃力:2
防御力:1
魔力 :3
素早さ:3
通常スキル
〖気配探知LV1〗〖酸攻撃LV1〗〖毒攻撃LV1〗
耐性スキル
〖物理耐性LV1〗〖毒耐性LV1〗
称号スキル
なし
スキルポイント:10
―――――――――――――――――――――
なーんだ。このカエル今の私よりくそ雑魚じゃんか。
言うて五十歩百歩だけどね。たいして変わんないわ。
でも、それなら勝機がある。
まずは相手のステータスを見て対策を立てるんだ。
MPが1減ってるって事は通常スキルの〖酸攻撃LV1〗か〖毒攻撃LV1〗を使ったのかな?
私のHPが減ってるし間違いないはず。
ステータスに毒の状態異常はないから〖酸攻撃LV1〗で溶かされてるんだと思う。
ちなみになぜ戦闘中にこんな考え事ができるかっていうと〖思考加速LV1〗のスキルを使っているからだ。
もちろん使い方なんて知らなかった。
でも、なぜか自然と使えたんだよね。
【耐性スキル〖酸耐性LV1〗を取得しました】
私がカエルの攻撃を分析していると、何処からともなく声が聞こえてきた。
何これ? ゆっくり……じゃなかった。音声読み上げソフトみたいな、無機質で感情のない声が頭に直接聞こえてくるわ。
たぶん女性の声だとは思うんだけど……。
ともかく〖酸耐性LV1〗を取得したって事は、やっぱり酸攻撃を受けていたようね。
ふっふっふっ、敵の攻撃で耐性も取得した……勝てる、勝てるわ!
私は数々のゲームで世界を救ってきた女、そんじょそこらのお嬢とは違うのだよ!
この私を甘く見た事を後悔するよカエルさん!
その長い舌で引き寄せるっていうなら、逆にその力を利用してやる!
私はどんどん引き寄せる力を強くするカエルに向かって、力に逆らわず頭から思いっきり突っ込む。
食らえー! 必殺体当たりだーーーッ!
敵の力も利用した私の体当たりがどてっぱらに炸裂し、カエルは舌を放して吹っ飛んでいった。
【通常スキル〖体当たりLV1〗を取得しました】
頭の中にさっきの声が聞こえてくる。
〖体当たりLV1〗を取得って、さっきの技がスキルに昇華したって事かな?
それより今は戦闘中だ! カエルは!?
「ゲゴゥ……!」
吹っ飛ばされたカエルはしばらくピクピク動いていたが、断末魔の声を上げると動きを止めた。
やった……のか?
【経験値を3取得しました】
【スモールレッサーリザードはLV1からLV2に上がりました】
【スキルポイントを取得しました】
カエルが死んだと同時に、またあの声が頭に直接聞こえてきた。
これって誰の声なんだろ?
まっ、そんな事今考えたってわからない。わからないなら考えるだけ時間の無駄だ。
そ・れ・よ・り・もー、初LVアップだーーーーーッ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます