星夜の鐘が鳴り響く ~アドベントカレンダー2024~

夕日ゆうや

20XX年 12月1日 タイトル『大地』

 黒く染まった大地にマグマのうねりが赤く斑点のようにボツボツと見える。

 その上空八百メートルを飛ぶ少女がいた。

「SGの反応は?」

「探知……できません。エラーコード2087」

「分かったわ。少し降りましょう」

 わたしはヒルデに指示を出すと、地上に降りる。

 マグマのすぐ近く。

 並の人間なら有毒ガスで十秒も立っていられないが、彼女らは違った。

「さて、お昼にしましょう」

「え。でもまだ探索が……」

「ヒルデは真面目すぎるの。ここで栄養とってから動いた方がパフォーマンスが上がるわ」

「そういうものですか?」

「そういうものなの」

 わたしはマグマの熱で水を沸かし、カップ麺にそそぐ。

「料理は得意なのよ」

「……そうは見えませんが」

「さ。できたよ」

「はい」

 わたしたちはカップ麺をすすりながら携帯端末を取り出す。

「予定ではこの辺りにSG反応があったのよね?」

「はい。でも移動した可能性が高いと思います」

「その意見に賛同ね。わたしもそう思うわ」

 カップ麺を食べ終えると、容器をマグマに投げる。

 この世界では当たり前な行動だ。

 じわじわと溶けていく容器。

「さ。いきましょう」

「そうですね。全人類を救うために……!」

 わたしたちは向かう。

 世界平和のために。


 こうして、わたしの初偵察任務は翌日に持ち越したのでした。

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