原稿用紙1枚で完結する殺人事件集

沼津平成

第1話

 今、学校では、姜高弘かんたかひろをだれを殺したか? という問いで盛り上がっている。

 自白しよう。殺ったのは僕、須賀守助すがもりすけだ。高弘はなかなかの美男で羨ましかったんだ。

「おい、高弘。もう一度お前の奏でるあの歌を聞きたいよ……」

 僕は窓からそう放った。担任の宅男が僕に気づいて、

「まさかおまえか?」

という視線をおくった。どーでもいい。

「また会おうな」

『会おうな』

 高弘の声がふっと、聞こえて途切れた。

 僕は窓を見つめた。一階から宅男の足音があがってくる。「筈!」僕を筈と呼ぶあの人は、宅男と高弘、二つの声を持つ男。


……ああ、そうだよ。

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原稿用紙1枚で完結する殺人事件集 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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