今川義元から無慈悲な要求をされた戸田康光。よくよく聞いてみると悪い話では無い。ならばこれを活かし、少しだけ歴史を動かして見せます。主人公は戸田忠次。
俣彦
雪斎和尚
第1話要求
1546年。三河国大津。
戸田光忠「忠次はおるか!」
戸田忠次「父上。如何為されましたか?」
戸田光忠「忠次。いくさである。」
戸田忠次「左様に御座いますか。して相手は?」
戸田光忠「敵は今川だ。」
戸田忠次「……今川でありますか?」
戸田光忠「うむ。此度のいくさは厳しいものとなる。」
戸田忠次「勝算は?」
戸田光忠「正直な所。無い。」
戸田忠次「一方的に攻撃を仕掛けて来たのでありますか?」
戸田光忠「そうであったら既にいくさになっておる。」
戸田忠次「……そうでありました。と言う事は我らの権益の明け渡しを要求して来たのでありますか?」
戸田光忠「そうだ。奴らが言って来たのは……。」
1、今橋城を明け渡せ。
2、これを拒絶した場合、武力を行使。今橋城とその周辺並びに宝飯郡内の所領を没収する。
戸田光忠「これらは全て我らが自力で以て獲得した場所。到底受け入れる事は出来ぬ。」
戸田忠次「しかし今川と戦って勝ち見込みは……。」
戸田光忠「長い目で見た場合は不可能である。ただ短期間であれば、退ける事は不可能では無い。今川に我らの力を見せる事により、妥協を引き出そうと考えている。」
戸田忠次「最初の攻撃を退ける見込みは……。」
戸田光忠「やらなければならない。」
戸田忠次「……先程、教えていただきました今川の要求を書き出してみたのでありますが……。」
戸田光忠「書き起こしてどうなるものでも無いであろう?」
戸田忠次「気になる所がありまして……。」
戸田光忠「ん!?どうした申してみよ。」
戸田忠次「2つ目の項目を読む限り、今川は……。」
今橋城以外何も求めてはいないのでは無いか?
戸田忠次「今川が欲しているのは今橋城だけ。そのほかについては、うちが敵対した場合の条項であります。」
戸田光忠「……そう言われてみれば、そうだな。」
戸田忠次「我らが必要とするものは今橋城ではありません。今橋城の役目は豊川並びに朝倉川を渡って来る敵を防ぐ事であります。この機能。二連木城にも備わっているものであります。」
戸田光忠「……そうだな。」
戸田忠次「我らにとって大事なのは、収入源となる今橋城周辺並びに宝飯郡の海岸地帯にある権益であります。これらについて今川は
『敵対しない限り没収しない。』
と言っています。これはうちにとって悪い話ではありません。」
戸田光忠「うむ。」
戸田忠次「今橋城1つのために、収入源を失う危険を冒すのは得策ではありません。」
戸田光忠「お前の言う通りだ。」
戸田忠次「ただ1つ。懸念すべき点があります。」
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