第2話 転生前への謝罪(1)

「何太后さま、許してください、許してください。もうあれから1000年以上も歳月が経ちました。だから僕のことをもう許して、解放してください、おねがいします……。僕はもう既にあれから何度も産まれ変わり、過去の記憶も完全に消し去り、幸せに暮らしていました。だからお願い何太后さま……。もう僕にとりつき呪わないでください。僕も貴女と霊帝が他界された後に閣下共々無残に殺害された。だから何太后さまや小霊帝とは僕と閣下も同じ、同じ立場、境遇だから~! お許しを~! お許しを~~~! 何太后陛下~~~!」


 僕は今迄のように彼女に対して他人顔を装う行為を辞めて【何太后さま】と名指しをしながら謝罪……。


 そう気の触れたような顔……。恐ろしい顔をしている何太后さまや小霊帝さまに対して僕は身体を震わせ怯えながら成仏してくださいと祈るように謝罪と命乞いをした。


 まあ、した。続けたのだが。


「いいや、許さぬ。李儒、貴様だけは絶対に許さぬからな~!」


 そう何太后さまは僕のことを許さないと言っていらっしゃる。


 だから僕は今後も恐ろしい日々……。怪奇現象……。ミステリアスな睡眠時間……。浅い寝の睡眠不足の日々……。


 まるで昭和の時代の夏の夜を賑わいさせたの主人公のように、自分の生気を吸われる生活を続けなければいけないみたいだから。

 僕は心身ともに本当に辛いのだが。何故僕がこんな怪奇、ミステリー……。


 両親や友人、知人に話し、相談をしても信じてもらえないような恐怖体験をするようになったか? と申せば。


 僕が今プレイをしている【三國志オンライ戦記】と呼ばれる後漢から三國志時代、晋までの歴史をモチーフにしたRPGとSGLゲームが混ざり合ったようなアプリゲームをスマートフォンでダウンロードし、プレイを始めてから。

 僕は毎日悪夢に魘されるようになった。


 だから僕は少しばかり気になり。SNSで僕のように恐ろしい恐怖体験をしている人達はいないかを調べてみたけれど。

 僕のような恐ろしい恐怖体験や怪奇現象を体験をした人達の記事は記載──投稿されていないから。

 何太后彼女の名前が何故かわかる僕だけがこんな恐ろしい思いをしているみたい。


 でも本当に恐ろしいのはこれからだから、僕はこれから何太后さまと小霊帝さまの身に起こる不幸を思い出しながら、自分の身体を震わせ恐れ慄く。




「きゃ~、許してください~、李儒~! きゃぁ~~~!」


 何太后さまの口から段々と声音が小さくなる絶叫がこのように放たれると。


《ドン!》


《グチャ!》


 と地面に何かが落下──!


 その後は何かが鈍い音を出し、地面で潰れる嫌な音が僕の耳へと聞こえると。


「うぅ、ううう」と呻き声が僕の耳へと聞こえるのだ。


 それも麗しい何太后彼女の顔が地面で潰れ……。頭、顔から血をダラダラ垂らし、流しながら、何太后さまを万里の長城のような城壁から強引に落とした黒い影の男ではなく僕に呻りながら手を差し伸べてくる。


 そして顔が潰れ、悲惨な容姿の彼女の呻り声が止むと。


「朕がそなたに、この身を捧げ性玩具おもちゃになってもいいから許してくれとまで告げ、嘆願したのに。そなたは平然と朕を小霊帝を城壁の上から地面へと放り投げ殺害をした。だから朕は貴様だけは絶対に許さない。七代まで祟ってやるから覚悟しておれ、李儒……。朕のこの無念を必ず晴らし、貴様と董卓に復讐してやるからなぁ~! わっ、ははは~」


 何太后さまは僕の名……理樹と呼ぶ訳でもなく。と呼ばれる後漢の魔王董卓の軍師をしていた人の名を呼びながら復讐……。呪いの言葉を告げてくる。


 そして僕へと復讐、呪いの言葉を告げ終わるといつも何太后さまは自身の潰れた顔……。血まみれの顔でニコリと満身の笑みを浮かべると彼女は今度は僕から城壁の頂上へと視線を変え。


「陛下~、母はここにいますよ~。さぁ~、おいでぇ~」


 何太后さまは城壁の上へと、自分の血まみれの手を伸ばし、小霊帝へと差し伸べ始めだす。





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