第12話 決戦前夜

   ◇裁判1日前◇

 裁判まであと1日前と迫った今日、俺は久しぶりに土田と面会していた。


「これが来田が使っていた証拠の品々、これが犯行時間前後の周辺の防犯カメラの映像、けっこう集まったよ。思ったより用心が足りなかったね来田も」


 なんていいながらさも当然のように大量の証拠を見せてくる土田、もうコイツが化け物のように見えてきた。  

 なんて思いながらも、俺は土田に感謝を述べた。

 どうやらこの情報も、濱嶋団の"裏切り勢力"が収集に協力してくれたらしい。


「それでさ、君は出所したら何かすることあるの?多分会社もクビだよね」


 しばらく証拠の物品を眺めていたら、土田がそんな事を尋ねてきた。


「さて、どうしたもんかな。自宅に帰っても誰もいないし、実家にでも帰ろうかな」


 そう言うと土田は一瞬険しい顔を見せてから、直ぐに可愛らしい笑顔に切り替えて、俺に話しかけてきた。


「それもありかもね。まあそんな事は追々考えるとしてさ、明日は絶対勝とう!これを勝たないと何も意味がないわけだしね」


 俺は思わず口角が上がってしまったのを隠しながら、土田と共鳴するように、勢いよく叫んだ。


「そうだな。絶対に勝とう!」


 俺たちは、透明な壁越しに手を合わせ、明日の勝利を誓ってから、面会室を後にした。

 話している途中の土田の表情は少し気になったが、まあそんなに気にすることはないだろう。


 そう思って俺は、今日で最後になるであろう硬いベッドの上で眠りについた。

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