ヤンキー少年が竜の子どもを拾ったので、全力で逃げたいと思います。

藤泉都理

第1話 拾っちゃった




 同級生どころか、学校の生徒、先生、売店員、食堂員、用務員などなど、学校に携わるすべての人間から怖がられているヤンキー少年が、土砂降りの中。あわれ段ボールに入れられては濡れそぼつ子猫を拾ったとしよう。

 キュンキュンするだろう。

 萌えるだろう。

 ギャップ萌えだろう。






 では。

 同級生どころか、学校の生徒、先生、売店員、食堂員、用務員などなど、学校に携わるすべての人間から怖がられているヤンキー少年が、土砂降りの中。あわれ段ボールに窮屈そうに入れられては、雨を炎で掻き消しまくる竜の子ども拾ったとしよう。

 キュンキュンするかい?

 萌えるかい?

 ギャップ萌えかい?




 否。




砂原さはらが竜の子どもを拾ったぞーーー!!!」

「この学校は。いや!この世界はお終いだーーー!!!」

「逃げろ逃げろ逃げろおおおおお!!!」


 地獄絵図は此処に在り。

 校庭での出来事を見ていた数十名の生徒、先生、用務員たちは阿鼻叫喚を極めた。

 私も然り。

 兎に角、砂原から逃げるべく、廊下の窓から校庭に落としてしまったハンカチを見捨てて、傘を投げ出して、駆け走った。ひたすら駆け走り続けた。我が家まで必死の形相で走り続けたのだ。











(2024.11.30)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヤンキー少年が竜の子どもを拾ったので、全力で逃げたいと思います。 藤泉都理 @fujitori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画