不条理な条理~The decency of others~

犬神日明

第1話

条理

① 物事のすじみち。もののことわり。物事の道理。

② 裁判などにおいて標準となる社会生活の道理、社会通念、公序良俗、信義誠実の原則などで言い表わされることもある。

―コトバンク


2月の晴れた日の土曜日、ランチタイムが終わった頃吉祥寺の映画館に訪れた。開演時間ギリギリだったが、何とか間に合った。

やれやれ。

電源を切る前に念の為スマホを確認する。部下からLINEが来ている。土曜日にLINEが来るのは珍しく、何かあったのがわかる。開けてみると簡潔に内容が書いてある。

なんだ、そんなことか。

急いで対応方法をタップし送る。

これでヨシ。

そう思ったところで唐突に照明が落ちた。慌ててスマホの電源を切ろうとしたが、真っ暗でスイッチの位置が分からない。間違えてスクショを撮ってしまい、慌てて押し直す。またスクショが撮れた。その時後ろから手が伸びて来て、右肩を掴まれた。

「おい、いい加減にしろ!」

「す、すいません。」

やっと電源を切ることに成功し、バックにスマホを納めた。丁度映画が始まって1秒くらい。画面に見入っていると、さっきの出来事が頭の片隅で反芻される。後ろの席の、顔も知らない男性が言った言葉が思い返される。

「おい、」

まあこれはいい。だか次だ。

「いい加減にしろ!」

彼は確かにこう言った。"いい加減"とはどう言う意味だろう?私だって映画が始まっているのに誰がが光る電子機器をいじくっていれば腹も立つ。隣の人と話を止めなければ、それだって腹も立つだろう。だが彼の一言は果たして日本語として正しいだろうか?始まって30秒も経っていれば分かる。

私も宣伝のための予告編が流れる時間帯だって、同じことをされたら少し腹は立つ。だが我慢する。本編に入ったと言っても、たかが1秒がそれほど彼の視聴の邪魔になったとは到底思えない。

まあいいか。忘れてしまおう。

もう55歳。本音で納得出来ないことにも、対応出来る年齢になっている。映画"りりィ私は泣いています"。ドキュメンタリー映画だが、構成が良く、またりりィさんと斉藤洋士さんの歌声や実力派の歌手、俳優のコメントが全て忘れさせてくれた。

だが映画が終わると、たちまちさっきのことが蘇ってくる。私を断罪した者は、どんな顔をしているのだろうか?脱いでおいた上着を着ながら、さりげなく後ろを振り返る。高級そうな服を着た紳士と、少しくたびれたおじさん。どちらも自分よりは年上に見える。

こっちかな?

金持ちそうな男性の方を見やるが、彼は何事も無かったかのように出口に去って行く。改めて反芻する気持ちに向き合って見る。

アレは彼の尺度であって、世間一般ではどうなのだろう?

視聴に影響を与えたとは思えない1秒にこだわった人生の先輩が、ただの阿保に思える。小さな小さな彼の中のルール。映画館では電子機器はいじらない。確かにそうだが、何も悠然と見入っていたわけではない。彼の周囲の人はさぞ窮屈に感じるだろうし、おおらかさの無い心根は彼自身の首を絞めているんじゃないだろうか。

まあ、そんな人もいるか。

見送ってくれる映画館のスタッフに軽く頭を下げ、目をふせて映画館をでる。

おお、さぶ。

やはりまだ肌寒い。駅に向かい、短いエスカレーターに向かう。後は電車に乗って帰るだけだ。そう思った時、前を歩く老婆が突然立ち止まった、当たりそうになり、私がたたらを踏む。老婆がぶら下げたバックの中を確認している。

ここですんな、ババア!

「邪魔だっ!」

吐き捨ててから、大きく老婆を避けてエスカレーターに向かう。そんな自分に驚く自分がいる。

こんな些細な事で怒るなんて。

チラッと後ろを見ると、かの老婆が呆然と立っている。

悪いことしたな。

思って見るも、後の祭り。そのまま上り、改札を過ぎて電車に乗った。

映画面白かったな。ラーメンでも食って帰るかな。

そんな事を思いながら、家路に着いた。


翌日いつも通りに通勤電車に乗る。見知った顔も何人か居る。通勤時間帯が同じ名だけでお互いに名前も知らないが、何回も同じ電車に乗るうちに顔を覚えてしまった。その程度の顔見知りの一人の中年男性の尻の辺りから破裂音がした。

この野郎、屁をこきやがったっ!

そう思いついたら、もう止まらなくなってしまった。

「アンタ、今何した?えっ?何したよっ!」

いつもの自分ならあり得ないことだ。黙って見過ごす分別くらいは持っているつもりだった。屁をこいた男性が心外そうな目を向けてこちらを見ている。

冗談じゃない。

理はこちらにある。平然と見返して、そのまま数分間。目的の駅に着いた。そこからは次の電車が異なる事は、経験値として知っている。まだこちらを睨んでいる男性を冷ややかに見やって乗り換えの改札に向かう。

雑魚が!

頭の中で吐き捨てる。そうして心を落ち着かせてから、JRの電車に乗り換える。

朝から気分が悪いなぁ。

会社のある駅に着き、そんな事を思いながら会社のビルに向かう。一棟まるまる自分の勤める会社のものだ。正確には親会社と子会社が仲良く入居している。挨拶を交わす程度の関係性の若い社員から声をかけられる。

「山瀬さん、おはようございます。」

「ああ、おはよう。」

だが何か言い足りなく感じてしまった。

「僕が君くらいの時は、もっと早く出社したもんだがな。」

言われた社員がポカンとしてから、尖った目に変わった。

いけない、またやった。パワハラ扱いにされる。

昨今は言葉一つ間違えただけで、すぐに何かのハラスメント扱いを受ける。“〇〇ハラ”だの“□□ハラ”と次々と誰かが開発する。皆レッテル作りに余念がない。精神的な病気と同じで、何か名前を付けないと問題が生じるとでも思っているらしい。新種の生物でも発見したかのように騒ぎ立てる。目の前の彼は顔見知り程度の関係なので、嫌味を言えるほどの距離感ではない。

「だ、だからさ。羨ましいなって。」

納得した顔にはなってくれなかったが、彼を促して会社に入った。

「お早うございます。」

入り口で警備員が挨拶して来た。

「おはようございます。」

横の彼が答えてサッサとビルに入って行く。ところがここでまた強烈な想いが込み上げて来た。

「あなたは良いですね。頭も使わず立っているだけ。食い倒れ人形と何か違うのかな?」

キョトンとされてから、睨みつけられた。それはそうだろう。それこそただの顔見知り。彼と立ち入った話などしたこともない。怒り顔の彼を無視してエレベーターに向かう。

俺はどうかしたのかな?

昨日からどうも変だ。あの男性に注意されてから何かがおかしい。それまで自分が生きて行く上で構成して来た尺度、何かが起こった時に判断する為の人としての基準。そこに今見たことのないものが入り込んでしまったかのようだ。

なんだろう?

自分の部署がある階のボタンを押して考え込んでしまった。ドアが閉まる瞬間、閉じようとした扉が長い爪を持った指に止められてしまった。

「チッ。」

思わず舌打ちしていた。開いた扉からよく肥えた女が入って来た。同時になんともきつい香水の香り、というよりは異臭も入って来た。私の顔を見て今度は彼女の口から言葉が発せられた。

「フンッ!」

彼女とは旧知の仲、と言っても仲が良いわけでは無い。むしろその逆で仕事上で絡むと何度も無視されたり、邪魔をされたりする。以前彼女がまだ若く、もう少し痩せていた頃社内不倫をしていたことを総務部に私がバラしたことがある。なぜわざわざそんな事をしたかと言えば、その不倫相手が私の後輩で得意先の会社にわざわざこの女を連れて行って、応接室でイチャイチャし始めたのだという。なぜそれがわかったか?ほの会社では用心のために、管理職の者があらゆる場所に設置された監視カメラをチェックすることになっていたのだ。

彼がモニターに映し出されたものを見て、面白がって他の社員にも見せた。その中に後輩が面会を求めた社員も居たので、しばらくそのまま見ていたそうだ。するとなんとあろうことか、二人が始めてしまったのだという。声が聞こえなくとも、行為の内容は分かる。今度は唖然としてしまい、皆で顔を見合わせていると、意外に早くその行為が終わった。だがその時に訪問を受けた社員の気分が悪くなってしまった。その社員は女性であり、たった今目の前で行われた行為がよほど信じられなかったのだろう。真っ当な人間なら当たり前の反応だろう。片やお仕事中なのだから。男性社員だって良い気はしなかったろう。アダルトビデオならもっと魅力的な男女が演じてくれる。同じような本番行為だとしても、どちらが観たいかと言えば明らかに後者の方だろう。

「私、行きたくありません。」

女性社員が言うので、仕方なく管理職者が何も知らない別の社員に断りに行かせた。自分で行くべきかもしれないが、どんな顔をして行けば良いかわからなかったのだそうだ。私はこの話をその得意先の部長から教えてもらった。冗談としてではなく、取引停止を告げられた理由として。

「何とかなりませんか?」

私は食い下がったが、呆気なく断られた。

「まぁ、あり得ないですからねぇ。」

当然といった形で別れを告げられた。中堅の得意先だが前年比には確実に影響を与える数字なのは間違いない。当時の所属長と総務部長に相談して、組織として動いてもらって二人の仲を引き裂いた。男性社員には妻も子もおり返って進んで受け入れたが、この女は独身で、彼に何かを期待していたのかもしれない。どこでバレたのかは分からない。だが糾弾したのが私であると分かってから、執拗に嫌がらせを繰り返された。

その事を思い出してしまった。するとまたムラムラと強迫観念に囚われてしまった。今何をすれば良いのか。もうそれほど時間は無い。すぐに目的の階に着いてしまう。私は後ろから彼女の股間に手を差し入れて、鷲掴みにした。

「そら、そら!コレがして欲しいんだろ?」

パンティを探り、指を彼女のソコに差し入れて、何度か思い切りこねくり回した。

ドン

彼女の腰が砕ける。

チーン

そこで扉が開いた。その音が不思議と仏壇のおりんの音に聞こえてしまった。指が滑っているのに気がついて、自分の鼻に向けてみた。

「臭っせっ!」

思い立って彼女の鼻に指を近づけてみた。彼女はボゥとして無反応だ。彼女にとっては慣れた匂いなのかも知れない。だからこんなに香水を振り撒くのか。不潔な匂いと過剰な臭いの二重奏だ。

風呂に入ってよく洗えば良いものを。

無反応なデブは面白くも無い。彼女の鼻に指を突っ込んで指を拭いた。

いけね、こっちも汚ねぇか。

締まりかけたドアに手を伸ばして、肉の塊を置いて出て行った。


エレベーターでの一件から、また自分の中に何がが入って来てしまった気がする。私の中にあった何かを押し除けて私の心の中、大切な尺度の部分に確かに居座ってしまった。

なんだろう、この感覚は。

生まれてから無垢な幼児期を過ごし、思春期で自我が芽生え、大学生の頃に自我を構成し、社会に出てからより鮮明に自我を構築して来た。そこまで何年もかかったし、急に人格が変化した経験などこれまでで一度も無い。まして良い年齢になれば、自我が大きく変貌を遂げることなどありもしなかった。少しだけの成長か、少しだけの退行か。それが今、目まぐるしく変化しているように思える。

なるべく人と接しないようにしていたが、折悪く役員から呼び出されてしまった。

「チッ、」

電話を切ってから短く舌打ちした。近くの部下に気づかれたが、気にはならなかった。私が舌打ちするところを彼は始めて見たのだろう。まだ見つめている。

「なんだ?何か文句でもあるのか!」

部下を叱り飛ばしてから、役員室に向かう。ドアをノックすると中から偉そうな声が聞こえて来た。

「遅い!」

ああ、そうですか。

ドアを開けて中に入る。目顔で彼の机の横に立つように指示された。仕方なく彼の横に立つ。何のために豪華な応接セットがあるんだろう。ソファは本来座られたがっているはずだ。そう思って作られたもののはずなのだ。誰が作ったのかは勿論知らない。ロボットなのかも知れない。だが設計者は人間であろうし、目的はそのはずだ。

「例のプロジェクト、その後どうなっている?」

その事なら先週報告したではないか。彼自身が行った社長へのプレゼンが失敗し、やり直しを命ぜられたばかりなのだ。いったい何をどう説明したのか。同席を許されていなかったので、プロジェクトチームのメンバーには社長から指摘を受けた箇所が分からない。彼自身が分かって居ないのだから分かりようが無いではないか。

この社長の評判も宜しくはない。"天井天下唯我ハクション"。社内ての社長のあだ名は社員なら社長以外皆んな知っている。いつも威張っているが、彼が具体的な指示を出した事はかつて一度も無い。いつもくしゃみばかりしている。この社長に理解力を求めるのは無理な事だ。だから必要であれば幼稚園児にするように、プレゼンを行う必要があった。パワーポイントというソフトを使って、紙芝居のように絵や写真を沢山使わないと、天井天下唯我ハクションさんには伝わらない。グラフや表といった数字が絡むと、くしゃみがあくびに変化する。我々プロジェクトチームが作成したのはあくまて実務者向けのもので、せいぜいが役員会向けのものなのだ。役員会なら社長以外の役員が判断する。社長は別に眠っていても構わない。

その資料を勝手に使って、社長だけにプレゼンしたのは何処のどいつだ。社長への根回しと自己アピールのつもりだったのだろう。ところがとんだ叱責を食らって差し戻された。それはそうだろう。寝物語をねだる幼児に、相対性理論の説明をしたって泣かれるだけだ。資料は完璧に近く練り込んである。数字もかなり確実性のあるものだ。そこに変更点などメンバーの誰もが思いつかなかった。

私が黙ったまま突っ立ていると、明らかに苛立って怒鳴りつけられた。

「間に合うのかっ、役員会は明後日だぞ!」

「何度も聞いたよ。うるさいな。」

唖然とする役員を無視してソファに座る。客側では無い。役員室の主側に席を取った。

「ど、ど、ど、」

吃りだした役員に変わって、先を続けてやった。

「“ド”はドーナツのドだ。どうかしたか?」

怒りに震えながら、また吃る。

「な、な、な、」

うるさい男だね。面倒臭いな、まったく。

「“ナ”なんか鍵盤にはナいね。なんか、あったかい?」

役員は私より歳上だが、まったく気にならなかった。ようやく息を整えた彼が、私とは別の名前を呟いた。

「本城君を呼びたまえ。」

指名されたのは我がプロジェクトチームのサブリーダーだ。上ばかり見ている男で、今回も役には立たなかった。目の前のコイツの子飼いの部下である。プロジェクトチームに無理矢理入れたのもこの役員様だ。ソイツを呼んでも何も解決はしないだろう。

私が何でソイツをコイツの為に呼んでやる必要があるものか。

呼びたければ自分て呼べばよろしい。立ち上がってから、言い漏らしが一つあった事に気がついた。彼の顔は見たくも無い。

あんな狐顔、誰が見たい?

「今後用事があるなら、俺んとこまで来いや。暇なら相手してやらなくも、ナい。」

そこで小首を傾げた。

やはり面倒臭いか。

「かな?」

言いおいてサッサと役員室を後にした。

さて、ラーメンでも食って帰るか。

まだ終業時間まで何時間かあるだろうが、関係ない。この時間ならラーメン屋も空いている頃合いだ。


会社を出て少し歩いた。有名なラーメン屋の前で足を止める。

まぁ、ここでいいか。

自動扉が開いたので中に入る。空いている席に座った。先に入った若い男が、何やらカウンターの中に向かって言っている。

「えっと、野菜マシマシの、麺バリカタ、スープ濃いめで、あとニンニクもお願いします。」

分かったのか分からなかったのか。カウンターの中から返事は無い。カウンターの中には若い男と私くらいの年齢の店主らしい男が居る。どちらかが返事するか見ていたら、ぶっきらぼうにその店主らしい男がほざく。

「食券。」

男の視線は手元に向けられている。

いったい誰に言ってるんだ?ましまし言ってる奴か?まさかお客様のこの俺ではあるまいな。

面倒くさいので座ったままで居る。その男が客である俺様に向かって睨んできた。

「おい、聞えないのか?ウチは食券のシステムなの!」

「メニューを出したまえ。」

男に言いつけた。

「ハ?」

信じられないモノを見るような目でまた睨まれる。

まったく。どっちが客だか分からない。三波春夫が健在なら、こんな世の中嘆くだろうに。

生前の三波春夫が良く言っていたフレーズ。

「お客様は神様です。」

当時大流行したものだ。これは需要と供給で成り立つあらゆる経済活動において、双方に一種の勘違いをもたらせてしまった。三波春夫はレコードを買ったり、コンサートに来てくれる客への感謝を最大限に表しただけなのだろうが、金を払う側がなんでも誰でも地位が高いという勘違い。それまでの日本人が確かに持っていた、双方向の感謝という心持を忘れさせる勢いで浸透して行った。三波春夫が悪いのではない。言葉が勝手に独り歩きしたのだ。

1960年代の日本は敗戦後、奇跡の復興を遂げ各家庭に三種の神器、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が行き渡った頃だ。そろそろ需要側も供給側も別のものを求め始めていた頃だろう。そこにサービスという価値観が注目され出した頃ではないだろうか。昔からあったサービスは例えばみかん一個おまけしてくれたり、10円負けてくれたり。その程度のサービスでしかなかった。需要側も必ずそのお店で買うという対価を返していた。それがいつの間にか目に見えないサービスや過剰な値引きを双方が重要視するようになって、需要と供給の人間関係が崩れて行った。

需要側はより安く、より良いものをという反比例するモノを求め続け、供給側はあらゆる無理をして答えようとする。おかしな価値観で支配された我が国内には、その為に偽証がはびこり大手企業の無理強いが弱者を責め立てるようになってしまった。供給側が狂い出したのだ。巨大な店舗を気まぐれのように建造し、採算が合わないからと放棄する。その地に残ったのは巨大な廃墟と駐車場だった更地とシャッターだらけの商店街だけ。その地で暮らす者達は不便しか強いられない。

今目の前のこの男は、ある意味その狂った社会への反発心を持った気骨のある人物なのかもしれない。だがやり過ぎはダメだ。客商売の範疇を超えて、芸術家と収集家の関係になるのはどう考えてもおかしい。だから言ってやった。

「メニューだよ。無いのか?飲食店のくせに。」

「あ、あのウチはそういうの置いてないんで。」

カウンターの中に居る若い方の男がのたもうた。

「なんでかね?」

その若い男の方で無く、店主に尋ねた。店主は無視して作業を続けている。

「おい、返事をしないか。さっきは声が出てたじゃないか?」

「あ、あの。食券機に写真がありますから。」

また若い男がのたまう。菜箸を持った両手がフワフワと動いている。

「おまえには聞いてないだろ。この男に聞いてるんだ。」

若い指揮者を黙らせた。前から思っていたのだが、ラーメンの湯切りの動作も指揮者のソレに見えてならない。湯切りでそんなに格好付ける必要などあるものだろうか。年寄りの指揮者が乱暴に告げた。

「おい。帰ってもらえ。」

「“もらえませんか”だ。日本語は正しく使いたまえ。」

断罪すると顔を真っ赤にして怒鳴って来た。

「何しに来やがった。てめぇ、クレーマーか?」

ラーメン屋に入って来た人間に、何しに来たも無いものだ。ラーメンかチャーハンかを食いに来たに決まっているではないか。それに暇な爺さん、婆さんと一緒にしてもらっては困る。わざわざラーメン屋にクレームを言いに来るほどこっちは暇人では無い。

「食事をしに来たんだ。食券が必要ならお前が買って来い。」

腕を組んで命じる。

「な、なにを!」

「だいたい何で客に色々言わせるんだ。お前もラーメン屋の端くれなら、お前が美味いと思うラーメンを持って来い。ホラ、早くしろ!」

ぐうの音も出なくなった店主にはもう興味が無くなった。ラーメンももういい。どうせこんな男の作ったラーメンなど美味かろうはずも無いでは無いか。立ち上がるとカウンターの中に良いものを見つけてしまった。大きな容器に刻んだニンニクが詰まっている。ひょいと手を伸ばして掴むと、結構重かった。仕方なく両手で持ち上げた。

「な、何すんだっ!」

店主が怒鳴ったが無視した。容器を頭の高さまで持ち上げて、カウンターに座っている男の頭に向かって中身をぶちまけた。

「うわっ!」

男が悲鳴を上げる。

「あんたのお望み通り、ニンニクマシマシだ。良かったね、君。」

言ってから疑問が生じた。

ハテ?コイツが言ってたのは野菜マシマシだったっけ?

だがまぁ良いだろう。ニンニクだって立派な野菜だ。もうコイツは今日は何処にも行けないかもしれない。そんなことこちらの知ったことでは無い。ちょっと過剰にサービスして差し上げただけのことだ。店の出口に向かう。自動扉が開いた。

「あ、ありがとうございましたぁ。」

カウンターの中の若い男の声だった。恐らくは反射的に出てしまったのだろう。条件反射とは恐ろしいものだ。最後は礼まで言ってもらえるとは。やはり自分の取っている行動は正しいのかもしれない。


家に帰ると妻に驚かれた。

「どうしたの?あなた。こんなに早く。」

「うるさいな。いいから尻を出せ!」

妻のスカートをめくった。

「ちょっと何すんのよ、やめてよ、やめて!」

「うるせぇ。亭主が疲れて帰ってきたんだ。サービスしろ。」

「ほんとにやめて、浩一がいるのよ。」

浩一とは中学一年生の息子で、小生意気にも家で引きこもりなんかしてやがる。どうしようもない餓鬼だ。抵抗する妻を押さえつけて、履いていた下着をズリ下ろす。ズボンから一物を出し、ソレをそのまま妻の中に挿入した。

「あ、っく。」

妻が慌てて自分の右手を噛んで声を殺した。そこで大事なことを思い出した。

いけね。まだ食ってなかったっけ。

腰で妻を押しながら、キッチンへと向かった。そこで妻を立たせ、行為を続ける。

「インスタントでいいからよ。ラーメン作ってくれや。」

嫌がる妻の頭を叩く。

「ほら早くしろ。」

暴力を恐れた妻が鍋に水を入れ始めた。そしてコンロに火を付ける。湯が沸く間、乱暴に妻の胸をもて遊ぶ。

「な、何やってんだよ⁉」

物音を聞いて不審に思ったのか、浩一が隠れ家から出てきた。顔を見るのは久しぶりだ。だから挨拶でもしておこう。

「よぉ、浩一。久しぶりだな。」

「よおじゃねえよ。何やってんだって!」

偉そうに聞いて来やがる。俺は正直に答えた。

「何ってお前、見りゃわかんだろ。お前だってこうやったから生まれて来れたんだ。いやお前の時は正常位だったかな?」

「分かん、分かんないよっ!」

浩一が両手をぶんぶん振り回して駄々をこねる。

「分かってんじゃねぇか。おう、コレが和姦ってんだ。よく覚えとけ!試験に出るぞ。」

教えてやると両手を振り回しながら襲ってきた。カウンターで右の拳を入れてやったら、もんどり打って転がった。

「こ、浩一!」

叫ぶ妻の頭をまた叩いた。

「お前は早くラーメンを作れば良いんだ。」

妻が取りにくそうに袋入りのインスタントラーメンを取り出してきて、袋を空けて乾麺を鍋に入れた。

「何分だ?」

聞くと妻があえぎながら答えた。

「さ、3分。」

「あと卵も入れてくれや。」

冷蔵庫まで妻を腰で押し進める。妻が冷蔵庫の扉を開けて、卵をとった。そして聞いてきた。

「どうします?もう、入れ、る?」

「もう入れてんだろ。卵もこっちもやっぱり生がいいや。」

ようやく出来たラーメンに卵を片手で割り入れる。鍋ごと麺をすする。面倒なので箸は菜箸を使った。どうにも掴みにくいが仕方が無い。とそこで絶頂を迎えた。

「おう、おお。」

たっぷりと妻の中に出した。妻はもうぐったりとしている。箸を普通の箸に変えて、器は鍋のママでラーメンを食った。あんな店主の店のラーメンでも、このくらいには美味いのだろうか?妻が這って息子に近づいていく。看病を始めたが我が子は未だ目を覚まさない。

大げさな餓鬼だ。引きこもって気絶の練習でもしてやがったのか。

食い終わって妻の方を見ると浩一の胸に耳を当てている。

「大変、心臓が止まってる?」

慌てふためいた妻がスマホを取り出して救急車を呼んだ。

「なんだ。死んじまったか。」

童貞のうちに実の親の性行為を見せたら、どんな大人になるのか楽しみだったのだが。まぁいい。死んじまったモノは仕方が無い。覆水盆に返らず、だ。逃げも隠れもする気は無かったが、ちょっと散歩がしたくなってきた。何の気なしにキッチンにあったフライパンを手にもって、玄関で靴を履いて外に出た。

公園にでも行ってみるか。

右手でフライパンを持ち、左手にポンポンと当てながら道を歩く。公園に向かう途中、道幅いっぱいに広がって歩く学生服の女共と出くわした。俺が目の前に来ても、どこうともしない。だから思いっきりフライパンでぶん殴ってやった。一人、二人、三人。四人目の顔を見て後悔した。結構好みのタイプだったからだ。

しまった。あんな婆さん、抱くんじゃ無かった。もったいないことをした。

後悔しながらその女子学生の乳を揉んだ。結構発育している。恐怖で声の出ないのを良いことに、股ぐらにも手を突っ込んでパンティの中を探る。入れ場所を見つけたので指を入れて楽しんだ。腰が砕けるまでしてやった。指を鼻に近づける。少しだけいい匂いがした。あのデブはもう発酵が始まっているのかもしれない。

すると今度は歩道を走ってくる自転車に出くわした。大学生くらいだろうか。スリムな自転車にスリムな男が乗って走ってくる。ものすごいスピードを出しているというのでもないが、歩道を走るにしては速すぎる。しかも道路の左側だ。つまり右側通行をしているということだ。近づいてくる男に向かって、右手のフライパンをぶち当てた。ウエスタン・ラリアット・オン・ザ・フライパンだ。まともに顔面に喰らった大学生が、サーカスの曲芸師のように綺麗に一回転し、だが着地には失敗したようで両膝から落ちた。

グシャ!

膝の皿でも割れたのか、鈍くて派手な音がした。

結構痛いもんだな。プロレスラーってな大変な商売だな。

感心して自分の右腕を揉む。

「キャー!」

通りかかったオバハンが金切り声を上げた。

自分を何処かのお姫様だとでも思って居るのか?何がキャーだ。こっちがギャーだ。

「フンッ!」

右手のフライパンの側面を大きな口に叩き込む。

「ブベッ!」

オバハンが声にならない感想を漏らした。

そうそう、それでいい、それでいい。それでこそアンタの不細工な面に合っている。

歩き始めると足下に蟻が動いているのが見えた。

おっと、危ない。

足を大きくよけてよろけてしまう。蟻は踏まないことに決めている。カンダタのようにいつか地獄で蜘蛛の糸を垂らしてもらえるかもしれないではないか。

公園に着くともう夕方なのに小さな子供が砂場で遊んでいる。近くに親の姿は見えない。どうしようかと思ったが、その子供は俺に何をしたわけでもない。俺は連続殺人鬼ではないのだ。だから見逃してやることにした。これで蜘蛛の糸が絹糸くらいになればしめたものだ。

少し休むかな。

見回すとベンチを見つけた。誰かが座っている。まあいい。邪魔ならそれを理由に排除すれば良いだけの話だ。

ん?なんだ、坊さんか。

頭が禿げて袈裟衣を着ている。だが男にしては身体が小さいし、妙にやさしい顔をしている。近づくと挨拶されてしまった。

「今日もいいお天気でしたね。」

高い声で言われた。

なんだ、コイツ。女なのか?尼さんなのか。そりゃ珍しい。坊さんに公園で会うのも初めてなら、それが尼さんだという確率は何万分の1程度だろう。私はしげしげと彼女を見つめた。何かフライパンをお見舞いする理由を探すために。

「ほんとに今日もいいお天気で良かったこと。」

そうか、これだ!思いついて声をかけた。

「なんで1日の終わりに天気を喜んでんだ?え、おい。尼さんのおばあちゃんよ。」

いくつくらいか。80は超えているだろう。彼女は細い目で俺を見つめている。

「1日の終わりには、その日のことを感謝するようにしているんです。」

彼女が言っている意味がわからない。

「何で?もうあと何時間かで、終わっちまうんだぜ。無駄だろうが!」

フライパンを振り上げた。彼女の罪状は“無駄なことをする尼さんだから”に決めた。

「それはなぁに?」

彼女から尋ねられて思わず手を止めた。右手にあるものを確かめてから、彼女の目の前に差し出して見せる。

「フライパンだよ、フライパン。まさか知らねぇのか?寺じゃフライパンは使わねぇのか。」

俺が言うとニッコリ笑ってこう返された。

「そうね。フライパン。フライパンはお料理をいただくために使うものでしょ?人を殴るためのものではありませんよ。」

スッと立ち上がってフライパンを掴む俺の右手に、そっと彼女の右手を添えた。その途端、俺の身体に電流が走った。思わずフライパンを取り落とした。

な、なんだ、なんなんだこれはっ!

右手のひらから何か清涼なものが、身体の中に浸み込んで来るのが分かった。右腕、胸、そこで上下左に流れ、左手、両足、首、そして頭に何者かが入ってきた。

光?

眩いばかりの光の群れに襲われる。膝がガクッと崩れ落ちる。そのまま尻もちをついた。頭の中にあったもの、芽生えつつあった新しい自我があっという間に否定されていく。

ああ、そんな、マジか⁉

新世界を生きるような顔をした若造。

自分への批判は受け付けず、他人の批判ばかりする社会人。

役職と比例して、人格まで高まったと勘違いする愚かな上司。

一度車を止めるという行為を怠り、歩行者道にはみ出して来る車の運転手。

人が用事があって待っているのを知っていながら、長々と私用電話を続けるOL。

何人も並んで居るのに持参したCD全てにサインをねだる外国人。

ちゃんと説明したのに望んでいない髪型に仕上げる理髪店。

おすすめ料理全てが不味い居酒屋。

碌に診もしないでやたらに薬を処方する医者。

欲しく無いものまで売りつけようと、しつこい電気店の店員。

子供の躾を怠る親、子供の成績が悪いことで自己反省をしない教師。

全く聞かせるつもりも無く、ダラダラと話す大学教授。

見たくも無いのに、はみ出た腹の肉を平然と見せて歩く若い女。

落とし物や行方不明者など、成績にならないものは探す気もない警察官。

自分が目立つことばかり考えて、奇抜な質問を繰り返す政治家。

道の中央で立ち止まり、堂々と会話するアジア系外国人。

会話の内容では無く、着ている洋服で客を値踏みする夜の女達。


「そいつらを許せとでも言うのか?」

思わず口を吐いて出た言葉に彼女が答えた。

「そうよ。許してお上げなさい。」

「な、なんで?悪いでしょうよ。アイツらは!」

私の反論を彼女は受け付けなかった。

「あなたが変わればいいの。あなたの心の中にある判断基準を、善の心を持って見直してご覧なさい。そうすると見えてきますから。」

判断基準の見直し?

「そ、そんな。みんな同じじゃないのか?私だけが特別じゃ無いはずだっ!」

絶叫した私に彼女が首を振って見せる。そして告げられた。

「他人のことはどうでもいいの。大切なのはあなた自身。あなたが変われば周りも変わります。」

いや、でも。

まだ納得が出来ない。誰が奴らに感謝するのか?


道路の左側を歩く者、ながらスマホで急に立ち止まる者は市長から感謝状が贈られるのか?

右側通行する自転車、自分の私道でもあるかのように猛スピードで走る自転車に乗っている者は住まいがある東京都から何か免責でももらっているのか?

自分の進行方向しか見ていない車、一時停止を無視する車、好き勝手な場所に車を止める運転手は時の首相から料亭で接待でも受けるのか?

彼氏が券売機で買っているのに、その横の券売機を塞いで立ち続ける愚かな女は断罪されるべきではないとでも言うのか?

ウォシュレットなのにガチャガチャ言わせながら、何メートルもトイレットペーパーを使うマヌケは国連に招かれて演説、「環境問題と私の排泄」でも披露するのか?

風邪を引いたと自覚しながら会社に出社し、マスクもせずに咳を撒き散らすボケナスが勤勉な社員だとでも言うのか?

電車の中で我が子が泣き叫ぶ姿を見て、まあ可愛いなどとほざく若い女は聖母マリアになれるのか?

部下の手柄を独り占めして、部下は口封じの為に左遷させるような男が社長にでもなれるのか?

得意先の担当者が女性だからと、社内の無関係なイケメン社員を商談に連れていく営業マンがポイントゲッターになれるのか?

彼ら彼女らはお国から紫綬褒章でも貰うのか?


「いいんです。あなたは今どう思いますか?」

いまやすっかり僕の頭の中は光で包まれてしまっている。

ああ、そうなんだ。そうだったんだな。小さいことに腹を立てるのは、自分が人間として扱われていないと感じてしまったからなのだろう。お互いがお互いを思いやれば、気にするほどのことでもないのだ。相手がそこまで成熟していなければ、こちら側でその分を補填してやればいい。僕はようやくそのことに気が付けた。よかった。まだ生きている。だから犯してしまった罪を償う機会も与えられているではないか。手元に血のこびり付いたフライパンが落ちている。彼女が料理を作るためのものだと思い出させてくれたが、もう一度違う目的に使わせてもらうとしよう。

僕は落ちていたフライパンを握りしめ立ち上がった。そこで彼女と目が合った。その目には不信感がある。彼女に向かって90度のお辞儀をした。最後に人間に戻してくれた。お礼はしてもし足りない。まるで女神さまのようではないか。フライパンを自分の頭から出来るだけ遠ざけた。そして思いっきり自分の頭に叩き付けた。

ガン

まだだ、まだ足りない。

ガン、ガン、ガン

「およしなさいっ!」

彼女の静止を振り切って公園の出口までよろめきながら走った。公園の前の道路を猛スピードを出したトラックがよぎろうとしている。僕は迷わず道路に我が身を投じた。意識が無くなる瞬間、走馬灯が走った。学生の頃の悪ふざけ、妻との恋人時代、元気に生まれてくれた浩一、バリバリこなした仕事。そして最後に見たものは、若い社員、太った女、年下の役員、ラーメン屋の店主、その他の僕の犠牲者の顔だった。皆あざ笑っている。彼らをほんとに許してしまって良かったのだろうか。消えゆく意識の中で、その疑問だけが僅かに残った。


「う〜ん、先生。良いですね!コレはいけますよ。」

目の前で担当の編集者が原稿を褒めてくれる。

「そうですか。」

短い言葉で応えておく。今は彼が言った言葉に引っ掛かりを感じていた。

「人それぞれ異なる条理を持っている。それを形にすると、他人にとっては不条理になる、か。」

さも感心したと言った顔で首を振っている。

それよりも、さっきあんた何て言った?

私の頭の中で彼が冒頭に放った"う〜ん"という言葉が何回も反芻されている。その言葉は本来なら否定に向かう言葉の筈だ。

「う〜ん、言いたいことは分かるんだけどね。」

「う〜ん、なんか足りないんだよな〜。」

とか。それに加えてコイツ、今首を横に振らなかったか?

「どうですか、先生。せっかく原稿をお持ち頂いんですから、食事でも奢らせて頂けませんか?」

私が黙っているので遠慮しているとでも思ったものか。こんな提案をして来た。

「今後のこともご相談させて下さい。ね、いいでしょう?」

いや、今私には打ち合わせの前にやることが出来た。応接ブースの棚に丁度良いサイズの置物がある。馬の形をしている。

そうだな首の部分でも持てば良いだろう。

おもむろにに置物の馬の首を引っ掴み、持ち上げた。狙い通り、確かな重さがある。思い切り振りかぶって、目の前の男の頭目掛けて振り下ろした。

ゴン

鈍い音がして同時に男が前のめりに倒れた。

ガッ

念の為テーブルの上の彼の頭にもう一度馬を叩きつけておいた。彼の苗字は鹿田という。

これでめでたく馬鹿の出来上がり。いや、違うか?

馬鹿田の方が正解か。

「馬鹿だっ!」

そう、日本語を間違えるやつなんて皆んな大馬鹿者なのだ。私は目の前で頭から血を流して倒れている大馬鹿者を捨て置いて立ち上がった。

「キャー!」

異音に疑念を持ったのか、様子を見に来た女性社員が悲鳴を上げた。

うるさいな。アンタも同じ目にあいたいか?

私が振り上げた馬の置物見て、また悲鳴を上げて走り去った。どうやら彼女は命拾いしたようだ。

自分が書いた小説に、いつのまにか作者本人が取り込まれてしまっていたようだ。そのことに今ようやく気がついた。ここに来るまでに出会った馬鹿者ども。私にぶつかって来て謝りもしないので、肩の高さまで抱き上げて思い切りコンクリートの地面に叩きつけた幼児。信号が変わっても、動かなかった老婆の尻を思い切り蹴りつけてやった。やんちゃな服を着た若造がいきがって歩いて来て、見ず知らずの私を睨みつけたので、その顎にフックを見舞ってやった。彼らがどうなったかは知らない。知ったこっちゃない。

さてと、ラーメンでも食って帰るか。

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不条理な条理~The decency of others~ 犬神日明 @futtotto

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