シャドウ+ワールド! -What a beautiful COLOR World!-
†らみえる†
Que.Prologue?
??→ ??_step!_FIRST_DEATH∞「BAD_END.01_希望への道、セイバーロード!」
少年の存在は、
「嘘、でしょ?……僕が、████……? 本当に、ベルが……? どうして……!? 嫌だ、そんな訳……──ッ、ッアアアアアッ!!!!ルシファ────」
転移。
──偽りの、そして誕生して間もない少年は、三度目の『絶望』を叫んだ。そして同時に
だが、願い届かず、『叫び』は途切れる。
少年を闇へと突き落とした『ルシファー』と名乗る男から告げられた
そして少年の脳内には『
視界は『
「──あっ、は?……ぁぁ……あっ、?」
表と裏。二つのセカイを経由して
見渡す限り燃え盛る、どこか見覚えのある
「ぁ………………は。ぁ、?」
──熱い。身体に熱風と燃え盛る炎が、少年を嘲笑うかの様に気まぐれに触れ、そしてついに燃え移る。
それは少しずつ、足元から少年の身を焼き焦がして行くが、少年は既に思考が停止していた。今起きている状況を脳が『危険』と判断する事を拒む。
「ぁ?」
少し後退りして。少年は、ようやく気付いた。
何故か動く度にぴちゃっ、と音がする。
足に染み込む、赤い。ナニカ。不思議に思った末に何とか認識出来た脳が、不安感を抹消すべく『安心感』を得たいが為に、勝手に目が逸れる。
それは生温かった。それの正体。
「……………………………………………………ち?」
そう。それは
少年は足元の血の川を、
「ァ、ガ」
源泉は、メイド服を着た少女だった。
その少女の『
そのメイドは────ボロボロで本来、
何故かは分からないが、その少女を
その光景は、何とも形容し難い禍々しさと神秘さを放っていた。
「ま、すたあ、にげて……!」
喉が焼き焦がれて掠れた弱々しい声に、ここでようやく少年の思考が追いつき、振り向こうとする──、
「──ほーら! はいグサッとー!」
振り向く直前、筋肉が硬直した。そして狂気に満ちた愉快そうな声と共に、何者かに背中からぐしゃっと、心臓を貫かれる。
「ぁぁあ、熱っ!……は、え? 痛い、」
少年は自身を貫いた銀色の
理解した瞬間、身体を焼く炎の熱さが、胸の痛みが本格的に少年を襲った。
「ぁあ、ぁ!──あああ熱ッ!?……ッぁ、い、痛い……!! ッいだい……!!!! 痛い痛い痛い痛い痛い……!!!!」
理解したのに理解がまるで出来ない。
けれど痛みは加速し、耐えられず倒れ、少年は地面に顔面を強打する。
それは平和ボケした都会暮らしだった中学生にはとても耐え難く、想像を絶する痛み。
口からは見たことも無い量の鮮血が、水風船が割れたかの如く吹き出し、その鮮血に
「──お、いーねいーねェ!その調子ィ! ほらそら次!次ィ!どー鳴いてくれンだよォ!?」
身体を渡り、バチバチという頭に燃え移った音は、愉快すぎてコメディの様。しかしそれは炎が少年を笑う音。
その音と共に、背後から微かに聞こえる狂人の歓声。狂人は倒れた少年の背中を何度もリズムカルに突き刺して少年の悶絶を楽しんでいた。
────抵抗は出来なかった。いや、出来るはずが無い。
何故なら、少年は『最弱』だから。
──そんな『最弱』の少年の身体に力はもちろん、感覚すら入らず、モルモットから熱さと痛みに悶え苦しみただ発狂するだけの蝋人形に成り下がる。
「…………あっが、熱っ、あっ、ああっ!!いだい!!あづい、あづい!!いだいっ いだいっ いだいっ いだいっ いだいっ いだいっ!!!! 誰かぁっ!!助け──ゴホッゴホッ、ゴボッ──ぁ?……!!」
瞼が焼け、眼球が焼け、蒸発する。発狂しようとして咳をする度に、炎と煮沸された血が喉を焼き、何度も何度も大量に吐き出てくる。
いとも容易く、それが当たり前であるかのように無罪の少年は現在進行形で処刑されている。
──何故?
──どうして僕が?
その理不尽にも程がある異様な光景、肉が焼ける熱さ、明るすぎる視界、出血多量の寒さ、眠気、段々と弱くなる痛み、狂人の快楽に狂う笑い声、その全てが少年の恐怖心を煽る。
「あづいっ……あがっ……」
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ……!!
「……あ」
今、視界が焼け切れた──だが、それでも記憶はまだ、ある。存在している。
今にも脳髄液で茹で上がりそうな脳は、『絶望と憎悪』という強大な『
そして、暗黒の視界の中で
失明する前の唯一の記憶を頼りに、少年は全て焼け死んだと思っていた筋肉で、目の前に居る少女に向かって死にきれなかった芋虫の様に、僅かずつ這い出す。
「ケヒッ!いーねェ!……おォい!『
「ま、すたぁ……! つぎは、かならず、しあわ──」
刹那──鳴り響く銃声。共に少女の
「チッ、もォ終わりかよ、『ヒーロー』らしく立ち上がって哀れな
常軌を逸した倫理観。
狂人ならば、当然であるが。
「……んか妙にあっけねーな、『
その狂人の声は、視界が無くても明らかにこちらに向けていた。これから起こる
(はぁッ、はぁッ……!! 女の子が……死んだ……?! 僕も……?!いつ、死ぬ!?……いやだ、怖い……! でもなんで僕が……?なんで僕だけ……? 助けて……!!)
意味不明に襲ってきた理不尽と恐怖に苦悶する少年に、安息を与える暇も無く──第二フェーズ。熱さや痛みは去り、今度は本格的な寒気と眠気が襲ってくる。
つまり身体中の神経が焼け死に、調理されたというワケだ。寒気は天から下りる天使を呼び覚まし、眠気はラストオーダーだ。
「なーガキ……遠くに見え…か!?天…が!苦……か?辛いか?楽にな…たい…?」
快楽。
意識が段々と遠のいてくる。その感覚は少年を天国に誘うかの様に心地よかった。
しかし同時に少年は、それとは全く逆の、身体が、影のような誰かに奪われる様な不快な感覚も存在していた。
「気持ちい…い…ろ?大丈夫。ほら…国ま…後…う少し!頑…れ頑張…!グサッ!グサ…!ケヒヒッ、ヒャハハハハハハ!!!!」
「さむい、っ……いや、だ……しにたく、ない、っ……あがっ……こわい……たすっ、けて……あがっ……らとねぇ、っ……べる、っ……」
──死にたい。だが本能から放たれた言葉は、穴だらけの身体は、嘘を付く。
今もなお、背中を刺され続けるこの地獄から、いち早く抜け出したいと思っているのに、身体は生存本能剥き出しで生きようとする。
笑えてくる。この期に及んで、まだ、生きようとしているのだから。
「ヒヒっ──ぁ、ぁぁっ!……ころ、す」
──殺意と記憶。
少年の
「ケヒッ!あー!いーィジャン!!いーィジャン!!って……は?殺す?何言ってんだテメェ?」
そうだ──思い出した。
途切れ途切れになっている意識が覚醒する度に少年の中で溢れ出る、怒りを超えた
巡り滾る『
『ケケッ……叫べ、殺せ。
「……ッッ、!!!!」
──その瞬間、少年の理性は弾けた。
「全部……全部ッ、殺してやるッ!!僕を造ったヤツも!!僕をバカにしてきたヤツもッ!!全員ッ、この手でッ!!……ッ、
その『殺意』は自身への度重なる理不尽によるものなのか?不幸?不運?不遇?燃えながら少年は自身の力不足を強く恨んだ。
そして自分自身は何故産まれたのかを──
「ぁ、あ。しゃるど──」
「ッ!?コイツッ!?──」
先に死んだ少女の名前も思い出し、口にする。
そして虚無の
「……
死んだ。
---
〖新規セーブデータ作成中…〗
Now Loading…
Now Loading……
〖セーブデータ作成完了。〗
---
微かに二つ。──『運命の少女』の声がした。
自分から託された『意志』を握りしめ、フリダシに戻り、この
彼女は『勇者』。
そんな彼女は──転移し、あまりにも簡単に、呆気なく、かつ絶望的に死亡した『偽りの少年』を優しく歓迎する様に出迎える─────
それは────希望しかない、光の教会で。
彼は『魔王』。
「否、おかえりです!マスター!」
「はぁ、やれやれです、是」
白と黒の。死んだ筈の少女がどこかで何かを呟き、同時に少年こと────シドは初めて始まり──……そして初めて、
終わった。
---
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます