銀行強盗に巻き込まれた女性警官

burazu

人質になりました

拝啓、お父さん、お母さん、由梨の先立つ不孝をお許しください、もしかしたら由梨は殉職するかもしれません。


 って、なんで死ぬって勝手に決めてんの!

 私は山名由梨、警察官をやっています。今日は非番の日だし、支払いもあるので給料をおろそうと思ったら、いきなり銀行強盗に巻き込まれて人質になってしまった。


 平日の昼間で、手数料がかかる前に銀行に行ったら、巻き込まれてしまったのだ。なんというかついてなさすぎでしょう私。


 状況を整理すると犯人は覆面で顔を隠している3人組で銀行員3名と赤ちゃんを連れたお母さんに、若い男の人、それからおじいさんと私を含めた5名の客を人質にとったのだ。


 彼らはバッグに現金を詰めさせ、さらに銀行員に詰め寄っていた。


「おい!念の為、お前は俺達がでるまでの人質になれ、裏口までいけば解放してやる」

「う、分かった……」


 まずい、このままじゃあ犯人を逃がしてしまう、この状況じゃあ警察にも通報できないし、こうなったら……。


「あの、せめて人質は私がなるので、その人は解放してあげてください!」

「なんだ女、てめえはただ巻き込まれただけの客だろう!死にたくなければでしゃばるな!」

「お客様、当行員としましてもお客様をこれ以上危険にさらされませんので、ここは犯人の言うように私が……」

  ああ、そもそも警察官でありながら一般の人をみすみす人質にとられたのが申し訳ないのに、こっちは、だけどへたに警察官を名乗れば犯人を刺激して何をするか分からないし、私の素性は知られない方がいいかもだけど、このままじゃあ逃げられてしまう。


 そう思っていたら警察のサイレンが聞こえる、銀行は犯人があっという間に占拠してシャッターをおろされて外の様子は分からないはずなのに、誰か外の人が不審に感じて通報してくれたのかな?


「どういう事だ!俺達は裏口から入って、誰にも見られていないはずなのに!」

「ちきしょう!それなら予定変更だ!おい、この銀行の本店に繋げ!」

「え!だが……」

「いいから繋げ!」


 今度は本店に電話!犯人の次の狙いってまさか!


「おい!今てめえらの銀行の支店、そうだ◇△支店だ、そこの銀行員と客を人質にしている。解放が望みなら10億円を3時間以内に用意しろ!本店と近くの支店からかき集めりゃあ間に合うはずだ、間に合わなければ人質は皆殺しだ!」


 更に人質の身代金を要求するの!脱出に加えて更にお金を得ようなんて!


 3時間か、できれば安全に人質を解放したいけど、どうすれば?



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