第10話 お座敷遊び
ドラマや映画の中でしか見たことがない、芸者さんとのお座敷遊び。
ホストとゲスト、合わせて十五名様ぐらいの小じんまりした接待のお部屋でした。
先に来店していたホストの幹事さんが、せっかく芸者さんを呼んだんだから、踊りや唄の鑑賞以外に、お座敷遊びもぜひしたい。
もうすぐホストも到着される間際になって言われました。
私ではお返事できませんので、ベテランの仲居さんにご報告。
すると、やはり『遊び』の打ち合わせまではしていなかったようでした。
控室では、お部屋に呼ばれた芸者さんが三味線を軽く爪弾いて、既に音合わせをしています。
ベテランの仲居さんは少しだけ困った顔になりました。
そして、「余興で何か出来ないか、
芸者さんに確認します、じゃないんです。
姐さんに聞いてきますので、なんて粋でした。咄嗟に口には出来ませんよ。
さすがはベテラン。
肌がゾクリと粟立ちましたね。これぞ料亭といった貫禄がありました。
程なく戻っていらしたベテランさんは、野球拳と
私も
この時は仲居になって本当に良かったと、感激しました。
控室から芸者さんと舞妓さんもお部屋にいらして、ベテランの仲居さんとホストの幹事さんと打ち合わせを始めます。
そんな時、舞妓さんが踊りを披露する『舞台』として、板間に敷かれた
すると、舞妓さんの顔つきが一瞬にして変わりました。
めちゃくちゃ恐い顔で睨まれました。もう殺意に近いぐらいの目の色です。すぐに謝りましたけど、あの目は今も脳裏に鮮明に焼きついています。
すみませーんと、土下座したかったぐらいです。
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