第33話:冒険者たちの新生活
ダンジョンの奥に新たに建てられた一軒家の前に、女性冒険者4人組が立っていた。堂々たる建物の佇まいに、全員が驚きの声を漏らしている。
「これが……私たちの新しい家なの?」
リーダー格の剣士が呆然とした表情で家を見上げた。
「まさか、ここまで立派な家を用意されるなんて……。さすがに驚いたわ。」
冷静な弓使いが、壁の作りをじっくり観察している。
「すごい!窓が大きい!」
小柄なシーフが跳ね回りながら笑顔で感想を口にする。
「外見だけでも十分すごいけど、中はどうなってるのかしら?気になるわね。」
赤髪の魔法使いが興味津々な様子で家を見つめた。
そんな彼女たちの様子を見て、光三郎がリリィを伴いながら歩み寄り、気楽な口調で声をかけた。
「どうだ?住みやすそうな家に見えるか?」
リーダー格の剣士が振り返り、少し驚いた表情で尋ねる。
「あなたが……この家を作った方なの?」
「ああ、改めて自己紹介するが俺がこのダンジョンを管理してる光三郎だ。よろしくな。」
冒険者は、光三郎の気さくな態度に安心し、それぞれ気軽な調子で自己紹介を始めた。
リーダー格の剣士が一歩前に出て、軽く手を挙げて口を開いた。
「私はセリーヌ。このパーティのリーダーで剣士をやってるわ。みんなを守るのが私の役目よ。」
次に赤髪の魔法使いが胸を張りながら明るい声で続ける。
「私はレイナ!攻撃魔法が得意なの。派手に敵を片付けるのは任せて!」
金髪の弓使いが控えめに笑いながら続けた。
「イリス。弓使いで、遠距離からサポートするのが専門よ。」
最後に、小柄なシーフが満面の笑みを浮かべながら元気に声を弾ませた。
「そして私がティナ!罠解除とか探索が得意なの。ちょっと動きが速いところが自慢!」
光三郎は彼女たちを見て笑顔を浮かべた。
「なるほどな。それぞれしっかり役割が分担されてるんだな」
冒険者たちは光三郎に案内されながら、一軒家の中を見て回った。最初に足を踏み入れたのは広々としたリビングだった。その瞬間、全員が声を上げる。
「広い……こんな家に住むの、生まれて初めてかも。」
「このテーブル、大きいし、丈夫そうだね。宴会を開いても余裕がありそう。」
「壁際の棚、装備や道具を置くのにぴったりじゃない?これ、本当に冒険者向けに作られてる!」
「天井も高いし、窮屈さを感じないわ。空間の使い方が素晴らしい。」
さらに、光三郎がリビングの隅に設置された設備を指差しながら説明を始めた。
「ここには水道、冷暖房、それに冷蔵庫と洗濯機も設置してある。」
その言葉に、冒険者たちは再び驚きの声を上げた。
剣士が蛇口をひねると、勢いよく水が流れ出る。さらに、横のレバーを操作すると、お湯まで出てきた。
「水だけじゃなくて……お湯まで!?魔法を使わずにこんなことができるなんて信じられない!」
シーフは水が出る様子をじっと見つめながら興奮した声を漏らす。
「これって、いつでも好きなだけ使えるの?外に出て水を汲む必要がないなんて、すごすぎる!」
弓使いは冷暖房のスイッチを入れて、涼しい風が出てくるのを感じて感動している。
「これ……部屋全体が涼しくなるなんて。魔法の道具でもここまで便利なものはないわ。」
魔法使いは冷蔵庫を開け、冷気が出てくるのを見て目を輝かせた。
「この箱、食べ物を冷やして保存するためのもの?……まるで氷室を持ち歩いてるみたい!」
さらに洗濯機を前にしたシーフが、興奮気味に尋ねる。
「これって、服を入れるだけで洗ってくれる機械なの?本当に、そんな夢みたいなことができるの?」
光三郎は彼女たちの興奮を楽しそうに眺めながら答えた。
「その通りだ。それがあると手間が減るだろう?好きに使ってみてくれ。」
次に冒険者たちは装備整備スペースに向かった。セリーヌが作業台に手を触れながら感心したように言った。
「しっかりした作りね。剣の手入れをするには十分すぎる環境だわ。」
イリスも弓掛けを見つけて微笑む。
「弓の保管に最適なスペースがあるなんて……本当に冒険者向けね。」
その後、裏庭に出た彼女たちは、湯気を立てるジャグジーを見つけて一瞬言葉を失った。
「これ……温泉?家に温泉があるなんて!」
「ただのお湯とは違うわね……すごく気持ちよさそう。」
「こんな贅沢を毎日できるなんて、ここに住むのが楽しみすぎる!」
冒険者たちはリビングに戻り、新しい生活への期待を語り合った。
「こんな家に住めるなんて夢みたいだわ。ここならどんな冒険から戻ってきても癒される。」
「水道や冷暖房、冷蔵庫まで……普通の家には絶対ない設備があるなんて。」
「これで生活が快適すぎて、もう街に戻る理由がなくなりそう。」
「よーし!ここを拠点にして、もっと大きな冒険に挑戦するぞ!」
光三郎は彼女たちの様子を見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「これだけ喜んでもらえたら十分だな。次はもっと住みやすい環境を整えないとな。」
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