第9話:給仕モンスター登場!異世界初のフルコース

「フルコースを出すのは決まったけど、料理を運ぶ『給仕役』がいなきゃ始まらないな」

光三郎はショップリストを眺めながら、フルコースの顔になるべきキャラクターを探していた。そして目に止まったのが「妖精」の項目だ。


【妖精モンスター】


• 小さな翼を持つ愛らしい妖精モンスター。

• 高い知能と器用さを持ち、言葉を覚えて簡単なコミュニケーションが可能。

• 初期費用:300DP(維持費:1日10DP)


「これだな。見た目も可愛いし、きっと冒険者たちにも受けがいいはずだ」


光三郎がリリィを召喚すると、そこに現れたのは身長30センチほどの小柄な妖精だった。ピンクの髪に白い翼、そして丸い目で光三郎を見上げる。


「こんにちは、私はリリィ!えっと……ここはどこ?」


「ここは俺のダンジョンだ。お前にはここで『給仕』をやってもらう」


「きゅうじ……それって何?」


リリィが首をかしげる姿に、光三郎は「給仕とは何か」を説明し始めた。



光三郎はダンジョンの一室を使い、リリィに給仕の基本を教えることにした。初めてのことばかりで戸惑うリリィだったが、彼女の器用さと素直さは光三郎を驚かせた。


「まずはお客様を席に案内して、こう言うんだ。『ようこそフルコースダイニングへ。お席はこちらです』」


リリィは小さな声で繰り返す。

「えっと……『ようこそフルコースダイニングへ。お席はこちらです』……こんな感じ?」


「おう、バッチリだ!次は料理を運ぶ練習だな」


光三郎はリリィに小さなトレイを持たせ、その上にカップを乗せて運ばせた。最初はバランスが取れず何度も落としそうになったが、繰り返すうちにスムーズに運べるようになった。


「お待たせしました。本日の前菜です」

リリィが笑顔で練習のセリフを言うと、光三郎は拍手した。

「いいぞ!その調子で次はもっと複雑な動きだ」



次は、料理を出す順番やタイミングを学ぶ段階に進んだ。光三郎はフルコースの一連の流れをリリィに教え込む。

「前菜を運ぶ時は、軽い挨拶を忘れるな。『最初の一皿です』って感じだ。次に、スープだけど運ぶときは熱いもののだから慎重に運べよ」

「メインは一番注目されるからな。堂々と運べ!」

「最後デザートは『本日の締めの一品です』なんて言えば完璧だ」


リリィは次第に流れを覚え、料理を運ぶ動作も慣れてきた。


何度も練習を繰り返し、ついにリリィはフルコースをスムーズにサーブできるようになった。光三郎はテストとして自分が「客役」を務め、リリィの給仕を試してみる。


「ようこそ、フルコースダイニングへ。本日は特別な料理をご用意しています」

リリィの柔らかな声と笑顔に、光三郎は感動を覚えた。


「おお、完璧だ!これなら冒険者も文句なしだな」


「本当?私、上手にできてる?」

「もちろんだ。次は本番で、冒険者たちを驚かせてやろうぜ!」


光三郎はリリィと共に、フルコースのメニューを完成させた。

1. 前菜:特製サラダ(10DP)

シャキシャキの野菜に特製ドレッシングを添えた一皿。

2. スープ:コンソメスープ(20DP)

鶏肉と野菜の旨味を凝縮した濃厚なスープ。

3. メインディッシュ:ステーキ(50DP)

柔らかな牛肉を豪快に焼き上げた一品。

4. デザート:特製プリン(15DP)

カラメルソースをたっぷりかけた甘い締めくくり。


「これで冒険者たちに忘れられない体験をさせてやる」

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