第8話女房の小手先伸弥(こてさきしんや)

馬鹿正直な孝は恐るべきピッチャーに育ったものだ。


 背番号18を背負う社長の八束孝(やつかたかし)は思っていた。


「握り方を正して球種を大胆に増やさないと潰れます。」


 そうか、成程な・・・。


あるとき投球が不調に為った事が有る。


 ワインドアップを止めて、セットポジションから投げたりノーワインドアップで投げたりスリークォータ―で投げたりもした。


 が、ボールの握り方にまで及ばなかった。


ボールの握り方が不正だと暴いたのは、キャッチャーの小手先伸弥(こてさきしんや)

だった

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