百合ゲーの悪役魔女に転生した私もハーレム作っていいですか?
三色ライト
第1話 悪役魔女に転生してしまった
あ、どうもみなさんこんにちは。黒雛心、女子校に通う現役JK……いや死んだから退役JK? まあいいや、とにかく私は普通のJKでした。
ところでみなさんゲームってお好きです?
アクション、FPS、恋愛シミュレーション、シナリオゲームなど、様々なジャンルがありますよね。
私はそんなにゲームとか好きじゃなかったんですよ。むしろ現実の女子たちが、体育後の汗ばむジャージで戯れあっている光景を眺める方が好きだった普通のJKです。
しかしある日出会ってしまったんですね。そう、【Eden〜純白の魔女と漆黒の魔女〜】に。
あれは青い鳥のSNSが黒いXに支配される頃に発売されたかな。
好きな絵師さん……よく女の子同士がイチャコラするイラストを上げていたんですけど、あ、いやいや画風が好きだっただけです。で、そしたらそのEdenというゲームのメインビジュアルを担当するとかで。
まあ日頃お世話になっているし(意味深)買ってみるかー、と軽い気持ちでポチって届いて起動してみたらびっくり。
Edenはアクションと百合ストーリーを掛け合わせて、新鮮な衝撃を私に与えたのです。
あ、ちょっとオタクの長話失礼しますね。
◆◆読まなくていいよZONE◆◆読まなくていいよZONE◆◆ 読まなくていいよZONE◆◆
Edenというゲームはアイリス(初期はなんでもない魔女見習い)が王国を襲撃した漆黒の魔女ドロリスを撃ち倒すまでの物語なんです。
正義感の強いアイリスはドロリス討伐隊に志願しますが、実力足らずで追放されてしまいます。
そこに同じく追放された女の子たちと手を組んで、独立勢力を立ち上げました。最初は無名だった彼女たちは、いつしかドロリスの放った魔獣や罠を攻略するうちに名が知られていきます。
純白の魔女と呼ばれるまでに急成長したアイリス。その理由は、仲間との愛情こそ彼女の魔力の根源だったからです。そう、仲間との愛情……R15ゲームだったのが惜しい!!
とまあ色々(意味深)あったのでしょう。アイリスは強くなってドロリスの城を突き止めました。そして死闘の末、ドロリスを倒してめでたしめでたし
◆◆読まなくていいよZONE◆◆読まなくていいよZONE◆◆ 読まなくていいよZONE◆◆
はい神ゲー。私はハマりました。
主人公アイリスと、悪役ドロリス。
どちらも美人で、どちらの仲間も素敵で、終始ニコニコでプレイできました。
さて、ここからが本題です。なぜ私は長々とEden、そしてアイリスとドロリスについて語ったのか。
繰り返しますが、私は死にました。しかし意識があります。目が見えます。手が動かせます。
ちょうど目の前に鏡がありますね。
鏡には呆けた顔で手をぶんぶん動かす少女が映っています。
その少女は腰まで伸びた純黒の髪をさらり揺らして、大きくてキレのある蒼い瞳を明滅させています。
肌は新雪のように白くて、桃色の唇が映えるかんばせを持ち、ひと言で美少女と片付けるには惜しいほどの美貌を誇っています。
さあ私が親指を曲げました。おっと鏡に映る美少女も親指を曲げました。
「…………いやまさかね」
初めて声を出しました。17年発してきたオタク特有のダミ声が、透き通った凛々しい声色に変わっていることに気がつくのは一瞬のこと。
黒いローブを翻して、やはり鏡に映る美少女もまったく同じ行動を取った。
バサッというローブから発せられた音が静寂に還った瞬間、私は叫んだ。
「…………私、転生しているやないかーーーーい!」
しかもっ!
この見た目、服装、あと部屋!
見間違うはずもない。何度も何度も何度も見てきた顔と服と部屋だ。
この少女は他でもない、私が人生で唯一ハマったと言えるゲームの、【悪役】
ドロリス・シュヴァルツ……その人なのだ。
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