何気ない日常。

@HANAMIHANATABA

第1話

 何もない日常に僕はうんざりすることもなかった。

「やあ!おはよう」

いつも通り挨拶をしても無視されるが、まあそれも良しとしよう。でも、そんな僕にも少しだけ優しくしてくれる女子生徒がいた。

「おはよう!西本君」

この学園で二番目にかわいいと言われている女子が、僕に挨拶をしてくれた。その挨拶を気持ちよく受け取った。

「うん。おはよう。朝野さん」

朝野なぎささん。この朝野高校で、二番目でかわいいと言われている女子生徒だ。そして、この朝野なぎささんは、この朝野高校の理事長の孫でもあった。そのせいか、僕が何気なく挨拶を返しても、ほかの男子は、「クソが!」、「死んじまえ」、という言葉が聞こえてくる。

「ふん。なんとも悲劇なことだ」

僕は小声で呟いた。

「んっ、どうしたの西本君?」

「いいや、なんでもないです」

朝野さんは、この学園では、二番目にかわいいが、僕から見たところ、朝野さんを上回る美人はいないと思う。少し茶髪で長い髪からは何故かいい匂いがする。そのきれいな瞳で見つめられたものは、誰でも朝野さんに恋をする。

「それじゃあ、西本君。またね」

この会話を聞いたものからすると、僕のことをリア充と勘違いする人がいる。実は僕はあまりそこまで朝野さんを見ても、なんとも思わない。朝野さんも僕のことをどう思っているかは知らないけど。たぶん。僕のことを友達としか見てないと思う。

「おい、西本」

僕のことを呼んだのは、朝野さんと同じく。この学園で、一番の美男子である岡崎雄介であった。

「えっ!?なんで雄介が、西本なんかに・・・」

はいはい。そんなこと言われるんじゃあないかと思いましたよ!

「えっ・・・と。何の用ですか?」

「ああ、ちょとこいよ」

赤い髪が特徴の美男子に呼ばれて、僕は中庭の木の下に連れてこられた。そして、

「お前、朝野と付き合ってか?」

「いいや。ちがうけど」

僕は即答で、朝野さんとは、何の関係ではなことを説明した。

「じゃあ、なんで!朝野と会話できてるんだ。お前!本当は朝野と付き合ってるんだろ!」

「ち・・・ちがいます!決して、違うからね。岡崎さん」

「やましいことしてんじゃねえか!」

そのまま、話はややこしいとになっていった。

「だから、ちがうって!」

「いいや、絶対そうだ」

「どうしたんですか?西本君。岡崎さん」

えっ!?と僕は声の主のほうを見る。その声の主は、なんと朝野さんだった。

「あっ・・・朝野!」

「ええ、朝野ですけど。どうしたんですか?岡崎さん」

僕より驚いていた岡崎は、僕の肩に手を置いて、「いいや、こいつが、俺と友達になりたいっていうから・・・」、と言った。

はあーーーー!?僕は口から龍の息吹を出さんとばかり、岡崎に恨みを抱いた。だって・・・。

「まあ、西本君。ついに友達出来たんですね!」

「はっ?」

「ありがとうございます!岡崎さん」

朝野さんは、岡崎さんに近づき言った。それに好奇心を隠せない岡崎さんは、「おう!いいってことよ。これからもよろしくな。えっと・・・」

「西本ですけど・・・」

「そうか、西本、これからもよろしくな!」

僕に対してのキャラが変わってしまった岡崎さん。その光景をじっと見ている朝野さんは、「じゃあ、今度西本君に、友達ができたということで・・・。親睦を深めるために、ピクニックに行きましょう」、と言ったのだった。

えっ・・・。




どうしてこうなったーーーー!?




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