第2話 GATE起動

会場の上空にはマスコミのヘリコプターが飛び、VIPの面々は続々とGATEの側に集まってきていた。


そして、開発者である【陸土】や【士郎】もVIPとして壇上へと呼ばれていた。


アメリカ大統領であるウノ首相のスピーチが終わり、いよいよ、開発者の代表として、陸土がスピーチを行う


「2050年にGATEが作成されてから20年、ついに我々は空へと旅立つ時がやってきました!」


会場は歓声に包まれる


「このGATEは人類に様々な革命をもたらし、時間という概念を軽減したと自負しています」


「皆さん、想像してみてください。今から100年前、1970年。人類はようやく自由に海外へ旅行をするような時代になりました。」


「例えば、日本からこのアメリカへ行くにしても、片道15時間ほどかけ、狭いシートに身を預けながら移動していたのです。」


陸土は会場を見渡すように続けた


「それが今やどうでしょう?GATEが開発されたことにより、日本に住みながら、海外で働くのが当たり前になり、次は空へと旅立つのです。」


「100年前の人類には想像も出来なかったでしょう。自宅から海外へものの数分でついてしまう世界が」


陸土は力強く語る


「そして、これからは月へ!更にその先へと続く未来が!」


会場は大きな歓声に包まれた。


「人類はこれから更なる発展を迎えます!移動にGATEを使えるようになるだけで、火星へ、もしかしたら未知なる惑星へも容易に探索ができるようになるでしょう!」


陸土は大きく右手を突き上げ


「今日!私達は人類の大いなる1歩を見届けた証人となるのです!」


会場からは歓声や口笛が鳴り止まないほど響き渡っている。


「皆さん!お静かにお願いします!」


司会者のアナウンスが流れる


陸土は落ち着いた声で


「では、月へのGATEを起動したいと思います」


司会者のアナウンスが流れ、いよいよカウントダウンが始まった


「5…4…3…2…」


会場のみんなが手を空に掲げながらカウントダウンをしていく


「1…0!」


GATEのスイッチが押され、けたたましい音と共にGATEからは稲妻が放たれていた


「おかしい…実験の時にこんな現象は起きなかった…」


陸土は慌てて、士郎に呼びかけた


「士郎!スイッチを…」


その言葉を遮る様に低い爆発音が会場に鳴り響く、GATEからは激しく稲妻が会場中に放たれ、視界が遮られるほどの閃光が放たれた。


陸土は壇上の影に身を隠すことでなんとか爆風に巻き込まれることを防いでいた。


「士郎!大丈夫か!」


陸土は壇上に向かって呼びかけるが、誰一人として声が返ってくることはなかった。


土煙が落ち着き、GATEの姿がうっすらとみえてきた。


陸土はあまりの惨状に言葉を失い、ある者はその光景に抑えきれず、嘔吐をしていた。


壇上に散らばっているのは、既に人の形を留めていない肉片だけであった。


GATEの強制遮断をしようとしたのであろう、GATEを掴んでいるのは手首より先の部分だけで、その根元からは煙が上がり、黒く焦げていた…


稲妻から逃れようとしたのか、両足が地面から伸びているが…ふとももより先は見当たらなかった…


「士郎!!」


陸土は大きな声で呼びかけるが、返事はなかった。


会場のあちこちからも悲鳴が上がっていた。


放たれた稲妻や爆風は、壇上の人達だけでなく、会場の席のあちこちから、何かの焼けるような匂いが漂っていた。


そんな中、GATEは突然起動し、どこかへと接続されたようだった。


「一体…何が起きているのだ…」


陸土はこういう時こそ冷静にならなくてはいけないと、大きく息を吸い、呼吸を整えた。


GATE起動時の発光現象が起こり、その光の中から現れたのは


1匹の【】と【】だったのだ。

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MOON GATE 二つの地球と二人の英雄 パチンカス一平 @fablmasao

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