魔石コレクターの技術革命〜勇者パーティを追放されたけど、スキル【採掘】でもふもふや美少女たちと楽々スローライフ、勇者パーティは勝手に落ちぶれる〜
緑井えりんぎ
追放……された先は、王女?!
大国バナルド王国の王都バナシティ。
そこにある王宮では、世界最強のパーティと呼ばれる”黄金の虎”のメンバー4人が、国王との謁見に参加している。
そして僕ことアティラ・ルーナも”黄金の虎”の一員として、この謁見に参加していた。
「君たち、よくぞ魔王を討伐してくれた!これで我が国も安全になるのだろう?イザークよ」
「もちろんですとも!このイザークが保証いたします!ところで陛下……」
「わかっとるわい、報酬が欲しいのであろう?約束通り君たちには、特別な報酬を授けようぞ!」
そう国王が言うと、イザークら3人に最強クラスの武器が授けられた。
僕を除いて……
「陛下、ありがとうございます!今後の戦争等も、オレら3人に任せてくだされば絶対に勝利させます!」
「頼もしいな、イザークよ!敵国エベリア王国との戦闘は頼んだぞ」
「弱小国ですし、余裕ですとも!それより、アティラの処分を……」
「お、そうじゃった。アティラよ、お前はどうやら魔王を前にサボったと、イザークから聞いた。当然、処分は厳しいものになる」
国王は険しい表情で、僕をにらんできた。
「クスクス、魔王の前で私たちを見捨てるなんて、酷いなぁ、アティラ!」
「そうですよぉ〜!酷すぎるー!」
僕が魔王の前でサボる訳ない!
みんなを助けるために、必死に幸運値バフをかけていた。
それなのに、どうして……
「国王様!僕はみんなに幸運値バフを……」
「うるせーんだよ!!!お前のかけた幸運値バフが役に立った事なんてねーわ!」
イザークから突き飛ばされた。
全身が血まみれになった。
「アティラよ、無駄な抵抗をしてイザークに迷惑をかけるな!今からお前の処遇を読み上げるから、おとなしく聞くが良い!」
そして国王が書状を読み上げ始める。
「アティラ、この者は魔王の前でサボり、仲間たちを見捨てた罪に問われている。よって我が国での冒険者資格を剥奪する!!!」
「えっ……いやだ、そんなの……」
全身の力が抜ける……
現実が受け止められない。
頼むから、夢であってくれよ……
今までみんなを助けるために頑張って来たのに……
「万歳!!!ついにこのクソアティラを追い出した!」
周りは拍手喝采だ。
僕が今まで頑張ってやって来たことは、間違いだったのだろうか……
「僕、ほっ本当に、追放されるのですか……?」
「ゴミが!黙れや!!!」
イザークに突き飛ばされ、僕は意識を失った。
♢
目が覚めたら、そこは知らない部屋だった。
僕はどうやら、ベットに横たわっているらしい。
「ここは、一体どこ?謁見からの記憶が無い。スマホを見なければ……ん、スマホ?あ!」
僕は自分が異世界、それも日本からの転生者である事を突然、思い出した。
「逆に、今までなんで忘れてたんだろう?」
転生してから11年、自分が転生者である事を分からずに生きて来たと言う事か。
そういえば前世はブラック企業の社畜で、過労死してから転生して来たんだった。ずっと来世はスローライフできたらなぁって考えていた。
今世こそ、目指せスローライフ!勇者や英雄にはなりたくない!
「そういえば、”あの板”ってもしかしてスマホ?」
僕は腰についているポーチから、”あの板”を取り出した。
……うん、これは間違いなくスマホだ。
今思い返せばこれは僕が冒険者になる時、僕を育ててくれたおじさんから、お守りとして渡されたものだった。
ずっと、ただの板だと思ってきたが、まさかスマホだったとは……
「電源はつくのかな?」
試しに、前世で電源ボタンだったところを押してみると……ついた!
スマホには、僕のステータスが表示されている。
前世のスマホでいうロック画面みたいなものか。
<アティラ・ルーナ(11歳・男)>
総合力 231
耐久 1
魔力量 10
攻撃力 0
守備力 0
攻撃魔法 0
回復魔法 0
幸運値 220
スキル
【鑑定】
【採掘】(幸運値バフ・鉱山クリエイト・万能ピッケル)
ステータスが0だらけ、酷い有様だ。
「そういえば”幸運値バフ”以外の技を、今まで使う機会が無かったな」
この”鉱山クリエイト”と”地面破壊”は後で使ってみたい。
とりあえず、スマホの他の機能も確認してみる事にする。
ホームボタンを押すと、アプリが表示された。前世とまるっきり一緒のようだ。
アプリは【鑑定アプリ】と【採掘アプリ】のみ。どうやら所持しているスキルと連動するらしい。
すると突然、部屋のドアがノックされ、一人の小柄な少女が入ってきた。
14歳ぐらいだろうか、かなりの美少女だ。
「あ、起きた。その板は何?」
「あ、これはお守りです!」
とっさに言い訳した。スマホを持ってるなんて他人に知られたらマズイ。
「そう。ところできみ、この辺りの森の中で死にかけてたんだけど、なぜ?」
「あ、いや、実は僕、冒険者をしていたんですが資格を剥奪されまして……」
「そう。冒険者資格を剥奪されるって、相当やらかしてるんじゃ……」
「い、いや、僕はただ仲間達を援護していたんですが、サボっているっていう言い掛かりをつけられまして……」
「ふーん、それは災難だ。あ、ちなみに私、サラって名前だから、覚えてほしい」
「サラ様ですか。素敵な名前ですね!あ、僕の名前は……」
「えっ、い、いや、言わなくていい……私、きみのファンだから……」
サラは顔を赤らめて、恥ずかしそうに上目遣いで僕の方を見る。
「ファ、ファンって……どう言う事ですか!」
「きみ、アティラって名前だよね。勇者パーティの”孤高の勇者”アティラ。こっちの国では有名だ……それで実は、その、ずっと会いたくて……」
まさか!別の国では僕がそんな風に呼ばれていたなんて!
というか、そもそもここって別の国なの?!
「ここはどこですか?!」
「は、話聞いてた?ここはエベリア王国領ルリネシアだけど……」
ほう、やっぱり別の国……というか敵国じゃん!はやく逃げないと!
「す、すみません!ちょっとここ、失礼しますね〜」
僕はそそくさとこの場から逃げ出そうとした、が……
「ま、待って!というか、さっきから話聞いてないよね?」
「い、いや、聞いてましたけど、僕は”孤高の勇者”なんて呼ばれるほど強くは無いですから……それに僕、バナルド王国から来たんですよ?!」
「別に構わないし、アティラに危害は加えない。とにかく私は今、アティラに出会えて幸運だ。そこでお願いがあるんだが……」
「お願いとは何ですか?」
「あの……どうか、この私、エベリア王国第三王女の私と、一緒にここで暮らしてほしいっ!!!」
サラは顔を赤らめ、土下座してきた。
「だ、だ、第三王女?!!!そ、そんな大層なお方と生活するなんて、無理ですよ!」
「いや、そこを何とか!!!身分なんてどうでも良いから!」
急すぎて困るんだが!
というかサラ様に失礼な事をしていないか、急に心配になって来たんですけどー!
そんな事を考えていたら、ドカーン!っと急にドアが開いた。
「王女様!ただいま妾、参上!騒がしいから来てやったのじゃ!」
ドアの方を見るとそこにいたのは、メイド姿の少女だった。
魔石コレクターの技術革命〜勇者パーティを追放されたけど、スキル【採掘】でもふもふや美少女たちと楽々スローライフ、勇者パーティは勝手に落ちぶれる〜 緑井えりんぎ @kuromizawa
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