中 01

 男湯の脱衣所。誰もいないがらんとした空間。すべてを投げだしたような、味気ない場所。

 俺はむなしい気持ちで服を脱ぎながら、店番のことを思い出していた。あの笑顔――。

 俺はうなだれながら歩きだす。

 そしてドアを開けた。ガラガラガラとむなしい音が響く。水のぽちゃんという音が、久しぶりに静寂から俺を引き戻した。


「誰がいる――?」そこにいたのは。

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