スーパー銭湯の極意!

沼津平成

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 スーパー銭湯に浸かるのなんていつぶりだろう。高校二年生の秋、同級生の春海獄しゅんかいごくと行ったぶりか。

 獄——俺の彼にまつわる思い出に、良かったものはない。卒業を意識し始めた俺の体と心をぶっ壊したやつとの思い出に。


 二十八歳にして、俺は、肩をすくめながらスーパー銭湯の戸を開けた。

 

 和風の旅館のような木造の戸は檜の香りが漂っていた。畳はなくて、テレビと椅子に、実用性に乏しい円いガラス・テーブルが実家を思わせる。

 俺は苦笑しながら店番に五百円を渡した。

 店番は久しぶりの銅貨に子供のような笑顔を見せながら、大事そうに木箱にしまった。

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