第4話 声


それは女性の声だった。


それこそ、後ろ髪を引かれるように自転車は止まった。


その瞬間、電車が通り、私の視界からその死神はいなくなっていた。




 その女性の声が誰だったのかは分からない。


 分からないけれどもあのときの女性の声のおかげで死なずに済んだ、と思っている。




 世の中にはこんな体験を否定的にとらえる人もいるかもしれない。


 ただ主治医の言葉の通り、医学さえも分からない臨死体験が存在するのもまた、確かではないか。


 


 亡き立花隆さんもその難題に挑み、著書の『臨死体験』にも詳しく書かれている。


 もちろん、悪質な霊感商法などには気を付けたほうがいいが、私がいわゆるスピリチュアルな世界を全否定しないのはこのときの体験があったからだ、と思う。



 もちろん、かつての私のように毎日夢の中にいるようだ、という体験をしている方はすぐにでも受診することを勧める。




 私の体験で希死念慮が少しでも緩めてもらえば、幸いだ。


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