第17話「2本目、開始」
決戦の設定をコンコルディアが告げる。
「フィールドは衛星軌道。暗礁域あり。ターン制限10ターン」
これがメジャーな設定かどうかは、
見慣れない宇宙戦艦の艦橋で、惇は暗算した。
「フルで戦って、70分。1時間ちょっと、か」
バトルロイヤルや対戦に比べると、かなりの長丁場である。
アニメに出てくる宇宙戦艦の艦橋を模した場所に集まるゲーム同好会の面々は、今回も思い思いに設定した服装だった。
総指揮官である高浜がいう。
「まず艦隊の陣形を整える」
今、ゲーム同好会の艦隊は、出航したてのバラバラ状態にある。これを整えなければ、バラバラのまま進んでは各個撃破されるのみ。
「1ターン目はそれで終わるから、前進して、会敵するのは大体……3ターン目くらいか」
1ターンは陣形を整え、2ターン目から本格的な移動を開始し、目論見が上手く交わってくれれば3ターン目に互いの艦影が見える。10分から15分ほどかかる計算だが、今回は早く展開してくれる。
位置関係を確認する高浜は、既に互いの位置が表示されているのを見た。
「狭い衛星軌道上だからか。衛星を挟んで反対側にいる」
少しでも早く動け――高浜は艦船に指示を出していく。
***
まず
「電波誘導の信頼度が怪しいRiot Fleetsでは、
艦船を横一線に並べるにのは、艦砲、衝角、対艦ミサイルの全てが前方に配置されているからだ。
人型の機動兵器が使われる理由が、誘導するよりも妨害する技術が発展しているというRiot Fleetsの設定に従えば、この艦隊戦は戦艦というよりも、戦列艦同士の戦いに近い。
特に戦艦も
大きく頷くのだから、戦艦も提供いている
「横陣こそ最善手」
衝角による突入戦法だ。戦艦は主にキャリアーとして扱い、接近して機化猟兵の間合いを保つ事だけを考える。
悠も完璧だと笑みを見せる。
「Point blank艦隊、出撃といきましょう」
だが、その笑みは高浜艦隊を目にした途端、嘲りに変わってしまおが。
悠が失笑してしまう高浜の陣形は――、
「
縦一列に戦艦を並べたものだった。
文野も思わず
「考え得る中で、最も下らない手で来たな」
ただ、その言葉を悠も前回、口にしている事は知らないようだが。
それぞれの艦へ戻った悠と圷へメッセージを送る。
――名誉を
まず返信があるのは悠。
――
そして圷。
――確かに、名誉を掲ぐ
二人の返信を見て、文野は二人の艦へ敬礼した。
――凱旋を待て。
砲火が交叉するまで、残り1ターン。
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