あっけらかん
その日の「気付き」のおかげで、私は少し元気を取り戻した。
「元気を無くしたときの戻し方がわからないんだよね。だからできるだけ無くさないように過ごしてるんだ」
高校時代に仲良くしていた友人がふと放ったこの言葉を急に思い出し、何回も反芻する。ちなみに青井先生が同行してくれていることもあり、今回の滞在は二泊三日の予定だ。先生とは別行動で、彼女は休暇としての北海道旅行を、楽しく満喫していることだろう。
2日目の日中も、気付けば私はトキメキの側に身を置いていた。やはり食欲が無くなっていたらしく、私の想定以上に馬体重すらも少し減らしていた。
「トキメキ、元気だして?みんな心配してるよ?」
もしかしたら食べてくれるかな?と思って持って来ていた、バケツに刺さっているニンジンをトキメキの顔の前に「ほれほれ」した。
「がぶっ!」
トキメキは食べた。普通に。
何もなかったかのように、である。
ビックリして口をあんぐりあけつつも、私は滅茶苦茶に嬉しかった。だからこそ涙がこぼれ落ちる。トキメキも泣いていた?のかもしれない。再会出来た「嬉し泣き」ということにしておこう。
毎年秋から年末にかけて、競馬界では大きなレースが「これでもか」というくらい、たくさん行われる。そこに向かって再始動を切るトキメキの逆襲が、9月1週に行われる「京成杯オータムハンデ(G3)」からスタートする。
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