魔王の娘に召喚されたニートは全てを捧げるようです

虹ノ千々

第1話 脱童貞を果たしたニートの回想

 ――赤と灰の混ざった不気味な夜空。そしてゲームやアニメでしか観たことのない、馬鹿みたいに大きな城の一部が窓の外に広がっている。


 そんな外の景色から、俺はすぐ横に視線を移した。


「……ねえ流斗、私の純潔を奪ったんだから、約束は忘れない、でよ……?」


 そこには俺に腕枕をされながら、頬を膨らませる銀髪の美少女が一糸纏わぬ姿で横になっていて、ついさっき一九年間守り通した童貞を捨てた俺は、またしても元気になってしまった。


「……おう、ここが魔界だって忘れるくらいには天国だったし、約束は守る。……だから、もう一回いいか?」


「それは全然いいんだけど……ううん、流斗を強くするためにも、もっとシなきゃなんだけど――」

 するとその美少女――セラは顔をさらに赤く染めながらも、少し言葉を溜め、俺に聞き返してきた。




「――ちゃんと他の人間を、残さず殺してよね?」


 大きな、まるで俺を吸い込むような真紅の瞳が、俺を真っ直ぐに見つめていた――――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る