第2話:天使の次は悪魔かよ。

天使の「アクセル」が俺のマンションに居座った次の日のことだった。


俺はまた車道のど真ん中でうずくまってる女の子を助けた。


その子はアクセルと違って裸同然?・・・マイクビキニみたいな布切れを

着ていた・・・。

裸同然の子をへんに触ったりするとセクハラとかになっちゃうからな、最近は。


だけど触らないと助けられない・・・その子はお腹が痛くて動けないってウンウン

唸ってるし、これはいかんと思ってその子をお姫様だっこして歩道まで運んで

バイクの後ろに乗せて病院へ連れて行った。


なにかに導かれたように昨日と同じパターン・・・なんじゃこれ?デジャブか?


アクセル以外の女と関わるのはよそうと思ったけど、結果を確かめてから

でもいいかと思って彼女の点滴が終わるまで俺は待ち合いで待っていた。

その子は点滴打ってもらったら、よくなったみたいで薬を処方してもらって

ことなきを得た。


よく聞くと昨夜、あさりのバター焼きと生牡蠣を食ったんだそうだ。

待て待て・・・ここも同じパターンか?

アクセルと同じ店で同じもの食ったとか?

でもまあまあ命に別条がなくてよかった。


だからそのまま家まで送ってあげるからって言ったら家はこの地上にはない

なんて言うし・・・・・・そんなバカな。

待て待て、また指で上を差すんじゃないよいな。

修学旅行ではぐれた子がもうひとりいたとか?


改めてその子は俺にお礼を言った。


「どうも、ご面倒をかけてごめんね、おかげで死なずに済んだから」

「このお礼は私のエッチいご奉仕で返させて・・・」


「エッチいご奉仕?・・・ってなに?」


「家事手伝いはあまり得意じゃないけどエッチなら得意って言うか専門分野

だからね・・・」


(わ〜またまた面倒くさそうな女・・・でもアクセルと同じで可愛いかも)


「あの、エッチいご奉仕とかそんなこといいから・・・家まで送って行って

あげるから住所教えてくれる?」


そしたらその子、下に向かって指を差して言った。


「私の家は地下だから・・・そこまでバイクでは行けないと思う」


(地下ってなに?この子もヤバいじゃん・・・関わらないほうがよさそう)


「あの、よかったら、あなたのお名前聞かせてよ?」


「ああ、俺「芽家野 修理めかの しゅうり」一応社会人でバイク屋に勤めてます」


「君の名前は?」


「私の名前は「クラッチ」・・・」


「クラッチちゃんね」

「あのさ、とてもじゃないけどバイクで土の下までは潜って行かれないから

ここで別れようか・・・それがお互いの為になりそうだし・・・」


「シューちゃん私のこと面倒くさい女だって思ってるんでしょ?」


「君も俺のこといきなりシューちゃんって呼ぶんだ・・・アクセルと口裏

あわせてる?」


「アクセルってなに?・・・誰?」


「いまんところ俺の彼女・・・天使なんだけどね」


「シューちゃんの彼女って天使なの?」


「そう、信じられないかもしれないけど・・・今、いるんだよ俺のマンションに」


「そうなんだ、別に不思議じゃないよ・・・私も悪魔だから」


「悪魔?・・・まじで?天使の次は悪魔かよ?」


「ね〜、シューちゃん聞いて、聞いて?」


「私ね、修学旅行で地獄からバスに乗って地上にやって来たの?」

「うそ!!って言うのは後まわしにして最後まで聞いて?」


「また修学旅行かよ」

「あのさ、もしかして君みんなからハグれてで地上に取り残されたとか?」


「おい〜・・・なんで、知ってるの?」


「そうじゃないかって思っただけ・・・アクセルと同じパターンだから」

「どこも修学旅行の時期なんだね」


「私、地獄からやって来たの・・・ギャルデモネだよ」


「ギャルデモネ?・・・君はそう言う種類の悪魔なんだ」


「でね早い話が私、行くところがないのね・・・私、困ってるのシューちゃん」


「分かってるよ・・・でもさ、すでに俺には天使な彼女がいるわけ」

「他の女のなんか連れて帰ったら揉めるに決まってるよ」

「ましてや悪魔なんて・・・水と油、犬猿の仲、排他的な関係、不倶戴天」

「絶対同居なんて無理・・・」


「私はいいよ、シューちゃんに彼女がいたって・・・てか彼女がふたり

いてもいいじゃん」

「どうせ地獄には帰れないから私もシューちゃんの彼女になってあげる・・・

で、毎日エッチしようよ、ね?」


「そ、それは美味しい話だし、ね、願ってもないことなんだけど・・・」


(彼女になってやるって・・・天使も悪魔もあんまり変わんないだな)


「あのさ、でも悪魔だって言うなら証拠見せてよ・・・背中にコウモリの羽

生えてるとか?」


「コウモリの羽?・・・そんな煩わしいものあるわけないでしょ?」

「そんなもの生えてたらエッチする時、邪魔でしょうがないじゃん」

「ははあ、シューちゃんの中の悪魔のイメージってそれなんだ」

「あんなの嘘だよ・・・そのかわりこれでどう?」


そしたら羽の代わりにクラッチのお尻から尻尾がニューって生えていた。


「ああ〜尻尾が生えた人間なんていないからね・・・なるほどね〜」

「猫の尻尾みたいに気まぐれに動くんだ」


「これって私の武器にもなるんだよ・・変態男はこの尻尾で刺し殺しちゃう

んだから・・・」


「お〜先っぽ尖ってる・・・なにそれ・・・じゃ〜どっちかって変態な俺なんか

即、ブスッって刺されるじゃん」


「シューちゃんには助けてもらったし私の彼氏が変態でも刺し殺したりしないよ」

「ね?だからシューちゃんのマンションに連れて帰って?」


な訳で行くところがない哀れな悪魔、クラッチちゃん。

俺は見捨てられなくてマンションに彼女を連れて帰ることにした。

俺に天使と悪魔の彼女ができた。


「それはそうとクラッチちゃん・・・歳、何歳?」


「15歳だよ」


「ああ〜〜そこまでアクセルと同じなんだ・・・」


つづく。

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甘ったれ天使とわがまま悪魔。〜白と黒を混ぜても結局グレーにしかならない〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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